改めてちばぎんカップでは柏のカウンターに沈み、0‐1で敗戦となりました。
昨年新型コロナウィルスの影響で中止となったちばぎんカップですが、過去5大会を振り返るとジェフの1勝4敗。
その1勝もPK戦での勝利ということで、実力通りとはいえ、悔しい結果に終わっています。
失点シーンを振り返ると、まずジェフが前年のスタイル同様に、左サイドに人数を集めてパスワークを展開。
田口から見木へとハーフスペースで縦に繋ぎますが、大南のチェックが入っていた見木は、小林へのバックパスで精度を欠いてしまいます。
そこを戸嶋に奪われたところから、柏のカウンターがスタート。
戸嶋は近くの椎橋へ落とすと、椎橋が前方へ鋭い縦パス。
これを細谷が受けて反転し、前方へスルーパス。
ドウグラスが裏へと走り込み、シュートを流し込んでゴールという流れでした。
図にすると、だいたいこんな感じに。
柏のカウンターも見事ではありました。
細谷のスルーパスを出した際、ドウグラスは右前方へ抜け出しています。
ちょうどチャンの裏を狙うように走り込んだことによって、チャンは前に出られず、細谷がフリーでパスを出せる状況を作っています。
細かな駆け引きではありますが、さすがベテランストライカーですね。
また、チームとしても、カウンターを狙う意識を明確に刷り込まれている印象でしたね。
守備時には5‐3‐2のシステムになり、2トップを前方に残していることからも、守備で粘って速攻という意図を感じました。
前線でのプレスは無理に行かず、相手を引き出しておいて、その裏を狙うという攻撃が作られていたと思います。
一方でジェフは試合後にも話しましたが、結果的に弱点を突かれた格好となったと思います。
左WBや左シャドーだけでなく、左CBや左ボランチもサイドに寄って、パスを繋ぐ動きを昨年から狙っている印象です。
図で示した黄色のエリアですね。
しかし、そのパスワークからシュートまで持ち込めずカウンターを受けると、薄いエリアを突かれる不安が生じる。
左CBが前に出ているので後方の人数が少なくなるだけでなく、ボランチもサイドに寄るので中盤中央も少なくなりがちに。
その状況から相手に攻め込まれると、今回のように一転してピンチになる可能性があります。
"左寄せ"の状態でカウンターを受けたため、白いエリアのように、後方で2対2の状況が作られてしまう。
あるいは、この後に鈴木大輔と戸嶋が走り込んできたため、3対3の状況とも言えるでしょうが、どちらにせよ数的に厳しかった。
さらに、ジェフはボール保持時に全体も押し上げるので、黒いエリアの通り裏のスペースも広大な状態でした。
まだ開幕前の段階で、コンディションにも問題があって、やられた部分もあったと思います。
見木のパスミスも状態が上がってくれば起きなかったかもしれないし、昨年はボールを失っても素早く潰しに行って回避することが出来ていた。
ただ、今年はJ1から降格してくるチームも多く、柏のようにうまくジェフの潰しをいなしてくるチームも増えるかもしれません。
改めて黄色いエリアを見ると、確かにジェフは左サイドに人数を集めて、大外とハーフレーンにそれぞれ2人ずつ選手がいることになります。
しかし、それに対して柏も中盤で2枚、後方で2枚が対応しており、ポジションで優位は取れていないことになります。
5レーンを意識した攻撃に対して、5バックでの対応は有効だと思いますし、そこも含めて柏の戦術がジェフにはまってしまったところもあるのかもしれません。
ただ、いずれにせよ遅攻の質は昨年からの課題で、ポゼッションの意識は高いのに崩しは得意ではない。
千葉テレビで解説だった増嶋も、両チームともに「攻められている時の方がゴールが生まれそう」と話していましたが、裏を返せば遅攻でのチャンスに課題が残るということ。
ボールを持てたから良しではなく、いかにそこからゴールに迫り、勝利に結びつける道筋を作れるかが大事ですね。
昨年後半もシュート数では上回っても、勝ちきれないことが目立っていました。
それもジェフが遅攻時に確実に崩せずミドルシュートが増え、逆にカウンターから薄くなったところを確実に仕掛けられたから、相手のシュートが少なくとも苦労したのだと思います。
ボールを持つサッカーをする以上は、パスワークでのミスを減らすことや崩しに行く部分の質を高めることが、やはり重要なのではないかと思います。