金沢対ジェフ戦、試合序盤はジェフペース。
それ以降は金沢ペースといった印象で、試合内容からすれば引き分けが妥当かなといった印象もありました。
後半開始からの金沢の猛攻をジェフがうまく凌いだと言いたいところではありましたが、2回も決定機を作られていますから、相手のミスとGK新井に助けられた試合だったと思います。
それでも試合に勝てたのは、少ないチャンスをものにした見木の決定力が大きいでしょう。
言い換えれば、個人能力の差で勝てた試合ともいえ、ジェフは主力を欠いているとはいえ、やはり個々の能力は高いのではないかと思います。
全体的な感想で言えば、お互いに局面でしっかりとファイト出来ていて、締まった良い試合となったのではないでしょうか。
ただ、少し気になるのは、昨年から守備が安定していたジェフが、あそこまで流れの中で崩さたのは久々だということ。
金沢はうまく攻撃を作っていたと思いますし、ジェフ攻略法として金沢の攻撃を参考にしてくるチームも今後出てくるかもしれませんね。
■ソロモンの抜けだしから見木が先制
ジェフはブワニカがスタメンに入り、サウダーニャが控えに。田口がベンチに復帰し、川又が外れました。
思ったより選手が復帰していませんし、復帰できない人数からして怪我人も多いのかもしれません。
金沢は前節45分で交代した嶋田が不在で、代わりに大石が先発。
前節嶋田の代わりに後半から出場した大谷も不在で、2人とも怪我でしょうか。
ポルトガル3部から移籍した元山口の小野原と、19歳の杉浦力斗がサブ入りしました。
ジェフはチャンと小島のダブルボランチ、右シャドーにブワニカを入れた5‐3‐2に。
9分、ジェフのチャンス。
鈴木大輔が中盤でボールを拾ったところから、見木が長い距離を持ち上がってシュートを放つと、ブワニカが触ってコースを変えますがゴールの右。
その直後、ジェフが先制。
西久保の縦パスをブワニカが落とし、ソロモンが右サイドを抜け出してグラウンダーのクロス。
これを見木がフリーで合わせてゴール。
その後はジェフが押し込む展開が続きましたが、20分に金沢の攻撃。
大石が左サイドを持ち上がって、中央の林へ。
林がミドルシュートを放ちますが、GK新井の正面。
29分にはジェフの攻撃。
佐々木のパスをチャンが受けて、スルーパス。
見木が抜け出しブワニカがシュートを放ちますが、見木のところでオフサイド。
20分の攻撃から金沢が前に出て行けるようになり、一進一退の流れに。
31分、金沢の攻撃。
毛利がクロスを上げ、豊田が合わせますが枠の外。
その後も激しい展開が続きましたが、お互いにチャンスは作れず。
1点リードで折り返します。
■後半から金沢が猛攻を仕掛けて決定を作るも1-0で逃げ切り
後半から金沢がさらに勢いを増し、波状攻撃を仕掛けていきます。47分、金沢のチャンス。
右サイドからのCKを平松が蹴ると豊田が競り合いますが、GK新井がはじき出します。
52分、金沢の決定機。
左サイドで松本大弥が囲まれながら、林にスルーパス。
林が抜け出して完全にフリーとなった豊田がパスを受けますが、トラップに失敗しシュートはサイドネットの外。
55分にも金沢の決定機。
後方からのパスを受けたブワニカへ松本大弥がプレスに行くと、バックパスがミスキックに。
これを林が受けてGKと1対1になりますが、GK新井がファインセーブ。
劣勢のジェフは66分、小島、ブワニカ、西久保を下げて、田口、篠原、矢口を投入。
西久保は足をつっての交代に。
68分、金沢は毛利を下げて長峰を投入。
71分にはセットプレーからジェフのチャンス。
左サイドからのCK。
見木が蹴ると、ファーで鈴木がフリーになって合わせますが、GK白井がセーブ。
さすがに勢いが落ちていった金沢は73分、金沢は大石、平松を下げて、力安、小野原を投入。
81分、ジェフはソロモンを下げて佐久間を投入。
その直後、金沢は豊田を下げて、杉浦力斗を起用。
85分、金沢のチャンス。
左SB長峰からのクロスが流れたところ、松田が拾って再び中央へ。
最後はフリーになった杉浦が合わせますが、ふかしてしまいます。
88分にも金沢の攻撃。
松田力から中央へのパス。
杉浦力斗、藤村と繋いで、最後は小野原がミドルシュートを放ちますが、鈴木がブロック。
91分、ジェフは見木を下げて風間を投入。
試合終盤はジェフが時間を使って逃げ切り。
金沢戦6連勝となりました。
■金沢のテンポの良い攻撃がジェフ攻略のヒントに?
前節は5‐3‐1‐1で、山形のパスワークをブロック。山形は攻撃的なチームだっただけに、守備だけでリズムを作れていたところがあったと思いますが、今回はカウンターの金沢相手ということで、どう戦うのか注目していました。
今回の注目は攻撃面で、ジェフは試合序盤からシンプルに右サイド裏を狙っていた印象です。
走力のあるブワニカを走らせて縦に仕掛ける形で、ゴールもソロモンがサイドを抜けた形ですが、狙い通りの展開だったのではないでしょうか。
金沢は左SB毛利が攻撃的な選手ですし、システムもミスマッチになるということで、そこがチャンスと踏んだのかもしれません。
守備においては、ボランチ松本大弥が起点になることが多いということで、そこをブワニカが警戒することが多かった印象です。
ただ、ブワニカも懸命に守備をする姿勢は感じたのですが、守備の仕方には課題があって、ポジション修正や次への予測が遅い。
そのブワニカに中央とサイドを見させるのは無理があって、結果的に前半はジェフから見て右サイドで殴り合いのような展開になりました。
試合序盤はジェフのシステムやスタメンに相手が戸惑ったのか、ジェフが右サイドで攻勢に。
しかし、20分以降は金沢もそこを警戒してきて、今度は金沢が左サイドで攻勢に。
それも含めて、引き分けが妥当かなといった印象もありました。
注目は金沢の後半からの攻撃で、ジェフは久々にあそこまで攻撃を作られてしまった印象でした。
後方で人数を構えて守るジェフは、昨年後半からなかなか崩されることが少なかった。
足が止まってやられることやセットプレーやミスから失点することはあっても、セットした状況でここまで劣勢になったのは久々ではないかと思います。
まず、金沢は昨年からカウンターを作るのがうまいチームで、単純にボールを奪ってからの速攻の作り方が良かった。
後半から勢いを増した金沢は、プレスも積極的でそこから奪ってカウンターを作れていました。
オシム監督時代のジェフもマンマークからのカウンターが武器でしたが、マンマークで相手から奪えればそれだけでチャンスになるし、カウンターならジェフが守備を固める前に攻撃が作れる。
さらに遅攻の状況でも素早く前にパスをつけて、ジェフを前後にかわしてきました。
前方にジェフのマーカーがいても、怖がらずにパスを繋いでいくことで、少しずつジェフの守備をずらして隙を作っていく。
前節山形などはパスワークのサッカーでしたが、ポジショナルサッカーでフリーな選手を探し過ぎた結果、パスワーク全体が遅くなりジェフの守備が修正しやすい状況にあったのかもしれません。
柳下監督は試合前に、ジェフはゆっくりしたテンポのサッカーだが、テンポよく戦いたいと話していました。
それが速攻時だけでなく、遅攻時にもやれたことが、後半良い攻撃を生んだのではないでしょうか。
そこが今後のジェフ攻略のヒントになるのかもしれませんし、ジェフとしてはそういった攻撃にどう対応するのかが見ものとなるのかもしれません。
ジェフに関しては、この日も一部の選手が欠けて、若い選手が多く出場しました。
それによって粗削りな面も出てしまいましたが、その分勢いを感じたのも事実であり、決してマイナスだけではなかったと思います。
金沢も若い選手は多いチームですし、選手層は厚いとは言い難いでしょう。
その中でも見木が一仕事を見せたのはさすがで、そこがこの試合における勝負の決め手だったと思います。
あとは、やはり相性もあるのでしょうか。
これで金沢戦は6連勝ということで、こういった相性というものは不思議と続く印象がありますね。