当ブログはプロモーションを含みます

3-4-3のハイプレスと5‐4‐1のリトリートを使い分けるジェフ

 連戦中に主力メンバーが戻ってきて、調子が上向いてきたように感じるジェフ。
 前々節新潟戦の流れを振り返ると、序盤はジェフがハイプレスをかけて新潟のパスワークに向かっていきました。
 しかし、前半中頃からは5‐4‐1で待ち構える守備になり、防戦の時間が長い展開に。

 前半を無失点で乗り切ったとはいえ、このままではさすがに厳しいと感じる流れでしたが、後半からは3‐4‐3のような状態で再び積極的なプレスを実施。
 そこから相手を押し込む時間帯が長くなっていき、チャンスも作っていきます。
 最終的に試合終了直前のラストプレーで、セットプレーからゴールを決め1‐0で勝利しました


 立ち上がりもハイプレスをかけていっただけに、後半も序盤だけプレスをかける流れかと当初は思いました。
 しかし、後半はそのまま前への圧力をかけ続けいった印象で、5-4-1のリトリートで守ったのは前半中頃から前半終わりまで。
 特に後半はかなり強度の高いプレスで、全体的にアグレッシブだったと思います。

 例えば54分のシーン。

f:id:aratasuzuki:20220405201824p:plain

 動きもあるので、実際のポジションをすべて網羅出来ているわけではないと思いますが、そこはご了承ください。

 ジェフが右から攻め込むもスルーパスがあわず、新潟GK小島がキャッチしたところから相手の攻撃がスタート。
 新潟は前半からGKも含むビルドアップを実施しており、ここでも2CBが極めて低い位置でGKとボールを回そうとしています。
 これによって相手を引き出して、入れ替わろうという意図だと思います。


 しかし、それに対して、ジェフは3トップがそのまま高い位置でプレスに行きます。
 千葉が持ったところでソロモンと風間が前に出させずにいると、千葉が逆サイドへ展開。
 舞行龍が受けると松田へ縦パス。

 松田には高い位置まで鈴木がチェックに出て行くと、松田が落として舞行龍が前へと繋ぎます。
 この新潟のパス回しも見事で、素早くジェフのプレスをかわしたことになります。
 しかし、縦パスを受けた谷口に対して、熊谷が逆サイドから猛然と潰しに来たことで、ジェフのプレスの裏を取られずに終わりました。


 プレスを成功させるためには、前だけでなく後ろがついてくることが大事で、その点で鈴木と熊谷が長い距離を走って松田と谷口を止めたことは非常に大きかったと思います。
 しかし、そういった無理な守備のアタックが可能になったのも、前方の3人が良い守備をしかけているからこそ。
 図の黄色いエリアでも示した通り、3人が等間隔で守って相手CBのパスコースを厳しく限定したことによって、新潟が素早く縦に出せず横へ展開しているうちに、ジェフの選手が前へと潰しに行けたのだと思います。

 前半の5‐4‐1ではそのプレスに行けていなかったため、新潟が一方的に攻める攻撃練習のような状況になっていました。
 5‐4‐1のセットした守備で後方を固めていたとはいえ、新潟は2CBとダブルボランチの4人がしっかりとパスを出せる選手なだけに、そこにFW1人では分が悪く、パスの出し手を抑えられていなかった。
 さらに新潟は中盤で流動的に動くのに対し、ジェフの中盤はマンマークの意識も高い守り方ですので、そこで混乱しかける部分もあったと思います。


 それだけに後半は3トップにしてシャドーを前方中央に寄せ、中央で縦パスのコースを消せたことは非常に大きかったと思います。
 これに関しては、前半途中からの防戦がさすがに厳しいと思って、後半から前に出たのかなとも思いました。
 しかし、続く町田戦でも同様に、立ち上がりは3‐4‐3で勢いをつけ、前半途中から5-4-1で守り、再び後半からハイプレスをかけていったように見えただけに、そういったプランで戦おうという意図なのかもしれません。

 今年のジェフは早々に失点して、苦戦することが多い。
 もともと攻撃に課題があるチームなだけに、簡単にリードを許して相手が守備に回ると、焦りも生じて劣勢に立たされてしまうというところがあるのではないでしょうか。
 攻撃に自信がないのか、尹監督になってから1点欲しいというところで諦めムードになってしまうところがあるのも、良くないところですね。


 また、90分ハイプレスを続けていては、スタミナが切れる不安もある。
 それもあって、3-4-3のハイプレスだけでなく、5‐4‐1のリトリートを使い分けるという発想なのかもしれませんね。
 今後迎える夏においてハイプレスだけでは心配ですから、大事な考え方だと思います。

 ただ、5‐4‐1はあまりにも守備的で、カウンター作りも苦手なだけに、守りの時間が長くなってしまう。
 守りの時間が長くなれば、失点の確率も高まりますから、そこでどれだけ耐えられるか。
 特に新潟はロングボールがなかったからDFラインも維持できましたが、町田のようにロングボールのこぼれからの展開も持っているチームだと苦労するところがあると思います。

 また、3‐4‐3のハイプレスは、3トップの負担も大きいと思います。
 上記シーンでも見木は広範囲を走っていますし、町田戦でもソロモンが交代した途端にガクッとプレスが弱まって、相手の時間帯になってしまった。
 その直後に失点もしているだけに、消耗の激しい3トップの負担をいかに軽くするか、3トップが今後も戦い続けられるかにも注目ではないでしょうか。