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2022年のジェフを振り返る後編「J2降格後最少得点数に」

 後編でも引き続き、3年間のまとめをしていきます。
 中位には留まれたものの、なぜ上位に食い込むことが出来なかったのか。
 そこをしっかりと分析して、来季以降につなげたいところではないかと思います。

■42試合44ゴールでJ2降格後最少得点に

 この3年間で一番の課題は、やはり攻撃面でしょう。
 今年だけで見れば、昨年終盤のハイプレス&ポゼッションを維持・発展できなかったことが問題だったと思います。
 しかし、そもそもとして1年目から堅守速攻を築き上げることが出来ていれば、ハイプレス&ポゼッションにチャレンジしなくても良い状況になっていたかもしれません。

 尹監督就任から1年半はリトリート中心で戦っていましたが、結果が伸びなかったため昨年終盤からハイプレスにシフトしたと推測します。
 リトリートでは相手に押し込まれ、得点も奪えなかったので、ハイプレスとポゼッションで相手を押し込んでいく。
 それによって攻撃回数を増やし"質より量"で勝負して戦っていたわけですが、今年に入ってハイプレスでは体力的にフルシーズン持たず、遅攻の質も問われて苦しんだ印象でした。

 では、なぜリトリートで成績が伸びなかったと考えると、ロングカウンターが作れなかったことが大きな理由でしょう。
 トレンドであるリトリートしながらプレスをかける形も確立できず、守備時は引いて守るというクラシックな戦い方だったため、前でボールが奪えずハーフカウンターも狙えなかった。
 また、1年目は速攻のチャンスがあっても前に出ないよう指示を出していたり、SBの攻撃参加もセーブしていたように、人数をかけて攻めることに消極的な印象でした。


 尹監督は「修正力」の高い監督だったと思いますが、それも慎重な性格から生まれているのかもしれません。
 チーム作りでも慎重な面が出て、攻撃面で思い切った行動が出来なかったのかなと思います。
 その課題は数字上でも如実に表れていて、今年はジェフ降格後、最少得点数になってしまいました。

 一昨年は47ゴール、昨年は48ゴールだったのですが、今年は44ゴール止まり。
 42試合で44ゴールですから、ほぼ1試合に1ゴールしかあげていない計算になります。
 36試合しかなかった2010年、38試合しかなかった2011年を下回る数値で、いくら守備的な方針でもこれでは昇格も厳しいように思います。

 攻撃には属人的な印象が拭えず、リトリートしながらプレスをかける形も作れなかった。
 総じて、戦術的に古い印象が拭えなかったように思います。
 特に日本はJ2でもポゼショナルプレーを取り入れるチームが多いように最新のトレンドを追う傾向にあると思いますが、Kリーグは戦術的にクラシックな印象も強いので、そのあたりが苦戦した要因の1つだったのかもしれません。

■クラブ全体で強い野心を持てるか

 ここまで、3年間で結果が残せなかった要因を考えてきまた。
・「修正力」はあったけれど、「積み重ね」が作れず1つのスタイルを維持・発展できなきなかったこと。
・慎重なチーム作りで速攻にも遅攻にも課題があり、得点力を伸ばせなかったこと。
・戦術的に古さを感じ周りに後れを取ったこと。 

 それに加えて、厳しさが思ったよりもなかった印象がありました。
 ジェフでの尹監督は非常に温厚なイメージがあり、コメントも優しくいつも笑顔で接せられているイメージでした。
 ピッチ際で怒っている時も、味方ではなく審判や相手チームに対することが多かった。


 ただ、現役時代や鳥栖C大阪などでは、厳しい人物という印象でした。
 人間としては年を重ねて丸くなっていく方が良いのかもしれませんし、ファンサービスという意味でも親しみがある方が正解でしょう。
 しかし、監督としてはより厳しさが必要だったのかもしれないし、そこが以前の尹監督と大きく異なるところなのかもしれません。


 実際、鳥栖でも尹監督の指導を受けた安田は、以下のように話しています。
www5.targma.jp

個人としてもう1回這い上がるためには鳥栖の1年に懸けなきゃあかんという気持ちがあった時、監督が今の千葉の監督の尹晶煥さんで、厳しくもう1回叩き直してくれたというか。そこで尹さんに会ってタイミングすごいよかったと思いますよ。
(中略)
千葉ではあの時よりルールとかってそんなにないというか、鳥栖のほうがルールも多かったし練習も全然厳しかったと思います

 選手同様に監督にも旬というものがあると思うのですが、尹監督は戦術的な面でも今は少し合わないのかもしれませんし、精神的な意味でも少し難しかったのかなとも思います。
 今季終盤に選手のモチベーション問題があると話していた尹監督でしたが、尹監督自身もジェフで何を成し遂げたかったのか。
 内容の追求でも結果でもよいわけですが、そこがあまり見えなかった印象がありました。

 もちろん監督の動機付けが出来なかったのであれば、それはクラブの問題でもある。
 フロントだけでなくサポーターなど周囲も含めて、どのようなクラブを夢描いて、そこに向かって強い野心を持って戦えるか。
 それによって、監督や選手などを奮い立たせることが出来るのか。


 個人的には何よりも厳しさの面を尹監督に期待したのですが、今のジェフはクラブ全体として緩い印象があるし、監督ばかりに要求してもいけないのかもしれません。
 次期監督には監督経験のない小林コーチの昇格が決まりましたが、より一層監督を周りがサポートする意識を持たなければいけないかもしれません。
 その思いが結果的に、クラブ全体の意識改革へと繋がると良いですね。

 改めて、尹監督、お疲れさまでした。
 ライバルチームも同様ではありましたが、コロナ禍で苦労の多い時期だったと思います。
 今はゆっくりと休んで、次のステージでも頑張ってください。