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巻誠一郎「自分がやらなきゃいけないプレーが体に染みついている」

 まだ余韻が残っているというか、引きずっているところもあるので、もう少しだけオシム監督追悼試合に触れていきたいと思います。
 当時のブログも月曜日に試合の感想をアップして、火曜日からオシム監督や選手のコメントを取り上げるというパターンでした。
 特にオシム監督のコメントは為になるものでしたから、毎試合しっかりとチェックしてオシム監督の言葉を読むのはすごく勉強になりましたし、それを補填する選手のコメントにも助かっていました。


 それに準じて選手たちのコメントを見ていきたいのですが、まず印象に残ったのは試合直後のセレモニーでの巻ですね。
 途中詰まるところもありましたが、それも含めて生の言葉だったと思いますし、さすがのスピーチでした。
 オシム監督に「巻は政治家になれる」と、言われただけのことはありますね(笑)

www.sponichi.co.jp

オシムさんは“リスクを負って走りなさい、攻めなさい”と教えてくれた。これからの人生でもオシムさんの魂、言葉を思い出して勇気を持って一歩踏み出せる人間でいたい。ずっとサッカーとオシムさんを愛し続けてください

 巻は追悼試合があった当日、広島でもトークショーを行っていたそうです。
 この後はAbemaでのW杯の解説業もあるそうですし、オシム監督の教えをしっかりと体現して、ハードワークしていますね。

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 正直、当時のジェフ内での立ち位置を考えると、巻がセレモニーでコメントするというのも意外でした。
 やはりそこはキャプテンだった阿部から、一言欲しかったかなという思いも。

 ただ、巻のスピーチを聞くと、巻で良かったんだなと思いました。
 引退してからトークショーなどを多数行っているだけに、巻はこういった場でのコメントがうまくなっているように思います。
 また、引退後の活動だけでなく、ジェフでの苦悩、ロシアや中国への挑戦、熊本での被災など、さまざまな経験を積んだからこそああいった言葉が出るのかもしれません。

 華のある選手でもありましたし、適材適所といえるのでしょう。
 指導者として活動しているOBや、クラブスタッフとして働いているOB。
 サッカー界以外で頑張っているOBもいますが、それぞれ持ち味を出せることが大事ですし、そう考えると巻の起用は正しかったのかなと思います。


 一方、ジェフの公式サイトには、鈴木啓太闘莉王、阿部、巻のコメントが掲載されていました。

jefunited.co.jp

 阿部もジェフ時代に比べると、凄く大人なコメントをしているように思います。
 もともと真面目な性格ではありましたが、大人になってより言葉に深みが増しましたね。

 阿部は「サッカー以外の仕事をしている方にも活かされるるんじゃないか」という話をしていますが、ここは巻のスピーチにも引っ張られた部分もあるのかもしれません。
 こうして選手たちが良い方向に影響し合えることが、当時の選手たちの良いところだったのかなとも思います。
 一部除けば凄く仲が良いという感じでもなかったようにも思いますが、程よい関係性こそが良いチームを生んだのかもしれません。

 心情的には誰か阿部に「ジェフサポに一言」と、聞いてほしかったなと思ってしまいます(笑)
 そこはオシム監督の追悼試合ですし、望み過ぎなのでしょうか。
 でも、それを聞く機会ももうないと思うんですよね。


 また、巻は「自分がやらなきゃいけないプレーが体に染みついている」とコメントしています。
 先々週行われた阿部の引退試合にも巻は出場していましたが、その時から現役時代の面影を感じました。
 スピードなどは落ちましたが、チャンスがあれば体から飛び込む姿勢や、守備時には必ず前へのパスコースを消しながら追いかけていく動きなどは、オシム監督時代に学んだものが大きかったのではないでしょうか。

 阿部も「当時のようなサッカーは難しかったけど、両チームともオシム監督の教えを受けている」と話しています。
 鈴木啓太も「オシム監督の言葉、しぐさ、サッカーが心の中に刻み込まれているのを感じた」と話していますし、ピッチ上でも当時の教えがどこかに残っていることを感じたのではないでしょうか。
 試合を見ていてもあの頃のイメージの残るチームになっているように感じたのは、偶然ではなかったと思います。


 また、この試合は塩屋園文一さんが主審を務めましたが、これも素晴らしいサプライズでしたね。
 当時のオシム監督は毎日のように練習試合を組んでいたので審判もハードワークだったわけですが、塩屋園さんがその試合を担当してくれていました。
 私も練習試合で何度かお見掛けしましたし、当時からのサポには馴染の深い方だったと思います。

 さらに、ジェフのTwitterアカウントにメンバー表が出ているのですが、追悼試合はコーチ陣も豪華でした。
 両チームの監督は「イビチャ・オシム」となっていますが、スタッフには祖母井さんをはじめ、小倉さん、大熊さん、江尻さん、間瀬さんなど、錚々たる面々が並んでいます。
 改めて、凄い追悼試合だったんだなと思いますね。

 羽生はDAZNのインタビューで、ジェフがJ2にいる中で、今日は日本代表の選手たちがフクアリでプレーしてくれているけれど、当時はそれが当たり前だった。
 そのことを、いろんな人に感じて欲しいと話しています。
 遠巻きではありますが、羽生なりの叱咤激励でしょう。

 これほど豪華な関係者が来てくれたのも、多くの観客が集まったのも、オシム監督の存在があったからこそであり、現状のジェフと比較して考えると複雑な思いもあります。
 オシム監督が愛してくれたジェフを、しっかりと立て直さなければない。
 過去の成功や失敗からさまざまなことを学びつつ、前に進んでいかなければいけませんね。