ジェフU-18から今年トップチームを果たした矢口が、開幕戦からスタメン出場を続けています。
ちばぎんカップからスタメンに選ばれているので、実質3試合連続でレギュラーとしてプレーしていることになります。
多くの選手を輩出してきたジェフU-18ですが、トップに昇格し1年目で開幕スタメンを果たせた選手は限られています。
ジェフの高卒新人だと青森山田から加入した2017年の高橋壱晟の例がありますが、ジェフU-18出身だと阿部勇樹まで遡ることになるはずです。
阿部がトップ昇格したのは2000年のことですから、実に23年ぶりの快挙となります。
もっとも阿部に関しては、98年に当時J1最年少記録となる16歳でプロデビューを果たし、99年には高校3年生にして30試合に出場。
トップ昇格前からレギュラーの座を掴んでいましたので、矢口も昨年6試合の途中出場を果たしているとはいえ、さすがに状況は異なるでしょう。
とはいえ、さすがに時代も違いますし、ポジションを奪ったからこそ価値があるとも言えるかもしれません。
さらに矢口の場合、本来は右サイドの選手であるはずですが、左サイドでレギュラーを勝ち取っていることになります。
ポジションは異なるとはいえ、近年のジェフU-18は攻撃的なサッカーを展開しているそうですから、今年のサッカーには慣れを感じる部分もあるのでしょうか。
矢口本人も話しているように、ちばぎんカップでは緊張感も感じましたが、徐々に落ち付いてプレーできるようになってきたように思えます。
矢口駿太郎「試合を経験することによって、一番最初(の試合)よりもリラックスして自分がプレーできるようになってきたと思います」
柏戦では対面したマテウス・サヴィオのパワーに苦しんだ印象もありましたが、長崎戦では安定したプレーを見せていたと思います。
そして、山形戦でも、序盤から出足の良い守備でイサカなどに対抗していきました。
矢口は運動量が豊富で、粘り強い守備が出来タイプではないかと思います。
また、攻撃面でも一歩目の動きにキレがあって、縦に仕掛けることが出来る。
左足でのクロスでも、可能性を見せていると思います。
昨年6試合出場した際にも感じましたが、アジリティがあって攻撃面のセンスを感じました。
その点では昨年右SBのレギュラーだった1歳上の西久保以上に、ポテンシャルの高さを見せていたように思います。
西久保は高さもあってフィジカル的な強さを感じますが、攻撃面では課題が多くちょっと周りが評価し過ぎな印象がありました。
矢口は重心が低く一歩目の出足が鋭い印象で、それを今年は好守に出せているように思います。
今年はハイプレスがベースで、マンマーク気味に守る守備になったので、待ち構えるよりも前に出ていく選手の方があっているのでしょう。
全体的に何でも出来て、器用なタイプなのかなとも思います。
また、左足でのキックも期待できそうなので、左サイドで幅を取ることが出来る。
今のところはプレスが目立つチームになってはいますが、5レーンの意識などもあるのではないかと思いますし、ワイドに仕掛けたいのなら左利きの選手をサイドに置くのは重要。
その点が田邉などとの差で、矢口はシンプルにパスを繋げるところも、今年の方向性に合っているのだろうと思います。
ただ、柏戦ではマテウス相手に苦しんだ印象もあり、山形戦でもイサカに幾度となくチャンスを作られてしまいました。
ペナルティエリア内でイサカを倒しあわやPKかといったシーンもありましたし、守備時の詰め方やポジショニングなどには改善点もあるように思います。
それでも本人はイセカと対戦について、以下のように話しています。
「ああいった選手と対戦するのがやっていて一番楽しかったですし、良い経験になったのかなと思います」
こうやってポジティブに捉えらえるのは、プロ向きな性格なのかもしれませんね。
なお、44分には矢口がクロスを上げたところからボールを失い、カウンターを受けて同点ゴールを浴びています。
あそこは時間を使っても良かったように思いましたが、矢口がボールを受けた時点で対面の川井に詰められており、時間を使う余裕もあまりなかったのではないかと思います。
難しい判断ではありましたが、それよりもクロスの質や守備対応を少しずつでも向上していくことが、矢口に求められる部分なのかもしれません。
現在の矢口のポジションは、守備時は左SBで攻撃時は左WBに上がるような難しい役回り。
前方の見木が絞るので守備で不利になることも多いですし、攻撃では単独で仕掛けなければならない場面も目立ちますし、新人にとっては簡単ではないタスクだと思います。
怪我から復帰すれば日高がレギュラー有力ではないかと思いますが、それまでにたっぷりと経験を積んで簡単にはポジションを明け渡さないような活躍を見せて欲しいですね。