失点はセットプレー絡みが多いので、つい攻撃面の話が続いてしまいますが、金沢の柳下監督もジェフが多くのチャンスを作っていたことを認めています。
試合直後のインタビューでも同様の話をしていましたし、あまりお世辞を言うようなタイプでもないと思いますので、本音なのでしょう。
柳下正明監督「千葉はどのゲームも相手よりもチャンスを多く作っている。それを決め切れなくて勝点を落としている。今日もまさにそう。かなり危ない場面はあったし、それをウチのGK(白井)裕人が防いでくれて、ゼロで追えることができた」
チャンスメイクを褒めてくれているようにも感じますが、一方で「決め切れなくて勝点を落としている」というコメントからは、まるで叱咤されているようにも思えてしまいますね。
他の試合も含めてジェフを見ていると、どこか歯痒く思えてしまうところもあるのでしょうか。
ジェフとしては敵将のコメントではありますが、良い意味で受け取って次に活かしたいところではないかと思います。
実際、DAZNの中継でも度々取り上げられていた通り、ジェフは「ゴール期待値」で金沢を圧倒していたようです。
「ゴール期待値」とは文字通り、「シュートがゴールに繋がる確率」を機械的に計算したもので、試合単位のデータではそれを足していって計算する方法が主流となっているそうです。
欧州などで取り入れられた発想で、日本ではデータスタジアムが運営するSPORTERIAなどが公開しています。
金沢戦でのデータは以下の通り。
金沢が0.82なのに対し、ジェフは2.3と大きく上回っています。
後半8分に金沢の「ゴール期待値」がグッと伸びたのは、CKからの得点シーンが影響したものと思われますが、それ以外ではあまり増えていません。
それだけ、ピンチも少なかったということになるのではないでしょうか。
さらに前節岡山戦も、ジェフが「ゴール期待値」で相手の上を行っています。
こちらも岡山が0.69なのに対し、ジェフは1.82。
金沢戦よりは「ゴール期待値」が低いですが、金沢戦以上に相手にチャンスを作らせなかったことにもなります。
もっとも、SPORTERIAによると、「ゴール期待値」の計算は「ゴールに近くかつ正面からであるほど高い期待値」になるとのこと。
ジェフはここ2試合遅攻の展開が多かったですし、完全にGKと1対1になるようなシーンは、そこまで作れていたわけではないと思います。
相手DFなどがいる状況も多かったですから、「ゴール期待値」ほど相手に差があったかどうかはわかりません。
また、何度も取り上げていますが、今年のジェフは小柄な選手が多い。
それだけにフィジカルやサイズで相手を上回り、上からガツンと競り勝ってゴールを決めるような展開は期待しにくい状況になっています。
そのため、ゴールに迫っても最後のところでパワー不足を感じることもあるわけで、より確実なチャンスメイクを作っていく必要性があると言えるのでしょう。
数字だけでは表れない部分もあるので、「ゴール期待値」もそのまま受け入れるべきではないと思います。
とはいえ、今回の場合は柳下監督もチャンスが多かったことを認めているわけですし、数字だけではなく実際にゴールまで迫れた回数を多く作れたと言っていいのではないでしょうか。
そこは岡山戦も同様だと思いますし、少なくともこの2試合に関しては、後は決めるだけという状況だったと改めて思います。