先日、30周年を迎えたばかりのJリーグ。
オリジナル10同士の対決となったジェフ対清水戦は、派手な展開ではなかったかもしれませんが、引き締まった好ゲームになったと思います。
ジェフは前半から慎重に戦い、ここ数戦と同じような戦い方でスタートしました。
しかし、サイドに入ればプレスに行く形で、簡単には相手を自由にさせなかった。
そこから速攻が狙えれば素早く縦に仕掛け、遅攻となれば風間が間を取ってチャンスを狙うという攻撃でした。
しかし、この試合では前半はある程度耐えて戦い、後半からはプレスの意識を強めてリズムを掴んで先制ゴールを奪いました。
今までは後半失速することも多くそこが課題の1つでしたが、この日は90分を通して賢いゲーム運びができた。
小森、熊谷などが怪我から復帰し交代カードが増えたことも大きかったのだと思いますが、そこが大きな収穫ではないでしょうか。
それ以上に、この日はいつも以上に粘り強く戦えたこと。
守備時の細かなポジション修正や前へのアプローチなどにおいて集中して戦えたことが、一番の勝因ではないかと思います。
相手が絶好調の清水ということで、普段よりも気持ちを込めて戦えたのではないでしょうか。
DAZNの中継でもJ2はJ1などよりも、相手の良さを消すサッカーをしてくるという話題が出ていましたが、もう1つ上位候補が苦戦する理由として、他チームが上位相手の試合だとより強い気持ちで戦ってくる点があると思います。
清水は1ミスでもチャンスをものにしようよする強さ・うまさを感じましたし、それがジェフの意識も高めたところがあったのではないでしょうか。
いつも以上に走れていた印象もあります。
攻守において丁寧にさぼらず戦う意識を、今後の試合でも続けられるか。
1試合だけでは意味がないわけですし、今後もその意識を繋げていくことが大事ですね。
8試合負けなしのチームを止められる地力はあると分かったわけですから、今後の試合でも気持ちを切らさず頑張ってほしいですね。
■じわじわとチャンスを作っていく清水
前節勝利をあげたジェフはスタメン変更なし。サブを松田に代えて、末吉を入れました。
絶好調清水はカルリーニョス、中山を控えに回し、神谷、西沢をスタメンに。
前節序盤に負傷交代したチアゴ・サンタナは、スタメンを継続。
トップ下に乾、GKに権田が入り、右SBのスタメンに北爪、GKの控えに大久保と元ジェフ選手も在籍しています。
お互いに慎重な立ち上がり。
ジェフは相手にボールを持たせつつ、カウンターを狙う展開。
ボールを持ったら相手を引き出し、主に風間が間を狙い田中のスピードを使う、いつもの戦い方となりました。
15分、清水の攻撃。
後方からのパスを受けた乾が、間を通すスルーパス。
吉田が走り込んで左からクロスを上げ、西澤が頭で狙いますが、大きく外れます。
その直後にも清水の攻撃。
宮本が、見木からボールを奪い縦パス。
サンタナがミドルで狙いますが、バーの右を逸れます。
25分には清水の決定機。
後方右に流れた宮本からのロングパスを、裏へ走り込んだ宮本が受けてシュート。
これが西久保にあたってこぼれたところを乾が狙いますが、ゴールライン前で鈴木大輔がクリア。
31分にはジェフの攻撃。
小林からのパスを受けた風間が持ち上がって、田中がマイナスのクロス。
小林が繋いで、椿がシュートを狙いますが、相手DFに当たります。
38分、清水の決定機。
右サイドのパスワークから、ホナウドが見木の前を取ってスルーパス。
北爪が走り込んでクロスを上げ、ニアのサンタナが合わせますが、ゴールの左。
その後も清水が優勢に進めていく展開。
前半最後も清水がFKからゴールに迫りますが、スコアは動かずに折り返します。
■後半はジェフがボール奪取からチャンスを作り1‐0で勝利
HTに清水がホナウドを下げて白崎を投入。53分にも、清水は西澤を下げて中山を投入。
ジェフが徐々にプレスの意識を高め、均衡した展開になっていきます。
58分にはジェフのチャンス。
吉田のパスミスから、ブワニカが繋ぎ、風間がキープ。
椿が受けてシュートを放ちますが、ゴールの右を逸れます。
61分には清水のチャンス。
中盤でのパスワークから乾が間で受けて落とし、宮本が浮き球のスルーパス。
中山が裏へ走り込んでシュートを放ちますが、バーの上。
その直後、ジェフは田中、椿を下げて、米倉、末吉を投入。
65分、清水は乾、神谷に代えて、カルリーニョス、北川を起用。
徐々に清水の運動量が落ち、ジェフがボール奪取から仕掛ける展開が増えてきます。
71分、ジェフは、ブワニカ、風間を下げて、小森、熊谷を投入し、見木が前線へ。
74分、ジェフの攻撃。
左サイドのプレスでボールを奪い日高が持ち上がって、見木へ繋ぎ、熊谷がミドルで狙いますが、バーの上。
78分、セットプレーから清水の決定機。
中盤後方右からのFK。
中山が蹴ると、井林が小森の前を取ってヘディングで狙いますが、ゴールの左。
81分、清水は北爪を下げて岸本を投入。
86分、ジェフが先制。
左サイドから西久保がロングスローを投げると、ニアでバウンドし鈴木大輔が競ってこぼれたところを米倉がボレーで合わせ1‐0。
1点ビハインドになって、清水が積極的に前へ仕掛けていきます
しかし、ジェフは冷静に時間を使い、1‐0で連勝となりました。
■後半から左SHがプレスに活きカウンターからリズムを作ったジェフ
立ち上がりから、ジェフの守備は集中していたと思います。4‐4‐2で2トップは相手2ボランチの前に立ち、コースを止めることを優先する形は変わらず。
けれども、相手の左サイドにボールが入ったら、田中が前にチェイスにいって相手を自由にさせない守り方でした。
清水は左で攻撃を作り、右は北爪を張らせて大きく展開することが多いので、左でプレスにいこうという狙いだったのかもしれません。
また、田中の走力に期待して、右でプレスにいこうという意図もあったのではないでしょうか。
しかし、後半に入ってからは、左の椿も前へプレスにいくようになりました。
しかも、北爪を追い越して右CB井林へとプレスにいき、北爪には日高がいって、後方は左にスライドする。
相手3バックの時にはこのプレスを見せてきましたが、4バックの時は見られませんでしたし、かなり積極的な姿勢を見せていきました。
左右SHの負担が大きいプレスですが、後半途中に左右SHを同時交代していることからも、交代ありきのプレッシングなのでしょう。
末吉、米倉が入ってからもプレスの意識は変わらず、ボール奪取からのカウンターでリズムを掴んでいきました。
その流れが、結果的にゴールを生んだところがあると思います。
前半からこのプレスだと持たないことが多いですし、後半からプレスをかけていくゲームプランは賢いと思います。
特に現状のブワニカ、風間だとハイプレスをかけ続けるのは難しいでしょうし、使い分けていくということかもしれません。
清水戦ということで、全体の守備意識も高かったですね。
一方の攻撃に関しては、この日も後方で引き付けて風間が間を狙うパスワークが何度か作れていました。
ただ、清水の守備もさすがで、簡単にはジェフのCBに食い付いてくれなかったし、プレス時のポジションバランスも乱れが少なかった。
引き付けるビルドアップの中でも相手のプレスに負けて失うシーンがありましたし、特に見木あたりは何度かまずい失い方をしていたように、狙われていたところがあったのかもしれません。
また、チャンスメイクに関しても、風間が間で受けるところまでは作れていた。
しかし、そこからもう一歩、チャンスが作り切れていませんでしたね。
DAZN解説の渡邉一平は風間のラストパスの精度を課題としてあげており、確かに気になる部分でもあります。
ただ、風間は間で受けて後方と前方のパイプ役になっているわけですから、そこからさらにラストプレーまで期待するのは酷ではないかとも思います。
風間のボールを受けた次の選手がラストパスを出して、ゴールを演出するというのが理想ではないでしょうか。
遅攻だと風間が流れて受ける右サイドに攻撃が偏る課題もありますし、もう1人、2人、そこに絡んでチャンスを作るところが現在足りていない部分ではないかと思います。
まだまだ攻守に課題もあるし、個々のプレーでもやはり清水に比べると、物足りない部分があるようにも思います。
とはいえ、成績も徐々に改善しつつありますし、やることもハッキリしてきて、バランスも取れるようになってきた。
ここからさらに上に行くためにも、若手から中堅にもっと成長してもらって、ワンランク上のチームを目指したいですね。
ともかく、今季初の連勝ということで、これをさらに続けることが大事だと思います。