試合終了間際に先制ゴールを上げて奇跡的な勝利を飾った栃木戦ですが、2008年に起こったジェフの奇跡の残留同様に奇跡が起こって救われたということは、それまでの過程で何らかの問題がある可能性が高いと思います。
栃木戦でも前節秋田戦に続いて、引いて守る状況での攻撃に苦労していた部分があったのは事実。
劇的勝利に浮かれないように、しっかりと反省もしてく必要があるのでしょうね。
見木も試合後に「前半はチャンスを作れなかった」と語っているように、攻撃面で苦労していた感触はあるようです。
見木友哉「前半はチャンスらしいチャンスを作れなかったし、[5-4-1]のブロックを組まれると簡単じゃないなと思いました。ただ、後半の立ち上がりは相手のウイングバックの縦のスライドをうまく利用して、ロングボール1本でドゥドゥに入るようなシーンも作れました。ちょっとずつギャップも出てきて、あと一歩というところまでは行けたと思います」
相手が5バックと言うことで、プレス時や攻撃時などWBが前に出てくることがある。
そこを何度か付けた部分もあったと思います。
現在のトレンドの1つであるパスサッカーを展開する4‐1‐2‐3で戦うジェフですが、左右SHは大きく開いて高い位置をキープすることが多い。
相手に引かれて後方中央を固められた際には、左右SHへ展開して縦に仕掛けさせるというのが1つのパターンになっていると思います。
先日ドイツ代表に勝利した日本代表も冨安などからSHの足元へ、ぴたっとはまる大きな展開を見せており、そこがビルドアップのアクセントになっていました。
ジェフでもそういった展開が見たい気持ちもありますが、実質的に日本代表のBチームで戦ったトルコ代表戦では後方からの鋭い展開はあまり見られなかったですし、冨安などワールドクラスの選手だからこそ出せたボールだったのかもしれません。
それでも栃木戦の40分には、中盤左のドゥドゥから右前方へ鋭いパスが展開されました。
カウンター気味の流れではありましたが、後方からではなく中盤からなどでも1つ飛ばしで、SHを活かすようなボールを出せると良いのかもしれません。
また、見木のコメントにもあるように、ドゥドゥの突破が目立った試合でもあったと思います。
名古屋からレンタル中の若いWB石田とマッチアップし、何度も優位に立っていました。
勝てるところはしっかりと使うのも戦術の1つだと思いますし、そこからゴールの可能性も感じたと思います。
しかし、ドゥドゥがサイドで仕掛けてチャンスを作る役割を果たすと、今度はゴール前が薄く感じてしまう印象も受けました。
ここ数戦のジェフは小森が引いて中盤と絡むことも多く、その分ドゥドゥがゴール前に走り込んでいった。
結果的にドゥドゥが最終ターゲットとなって、ゴールを狙うシーンが目立っていたと思います。
小森の欠場で出番が回ってきた呉屋も、攻守に体を張って頑張ってはいましたが、小森ほどチャンスは作れなかったし、ゴール前での存在感ももう1つだったかなと思います。
また、逆サイドの田中もスピードでは群を抜いていますが、やはり最後のクロスの質などに関しては大きな課題が残る。
結果的にドゥドゥがチャンスを作る展開となりましたが、そういった攻撃が増えるのであれば他選手にゴールへの動きをもっと期待したくなりますね。
ドゥドゥがチャンスを作って他選手がゴールに迫るにしても、逆のパターンだとしても最終的に問われるのはゴール前でのプレーの質だと思います。
シーズン前半のジェフはアタッキングサードまで持ち込むところまでに苦労していましたが、今はチームとして成長を遂げてアタッキングサードまではまずまず良い形でボールを持ち込めていると思います。
ここまでくれば、あとは決定力など、個人の質を問われる段階に入ってくるのではないでしょうか。
過去のジェフはそこまでの形すら作れず、チームとしての攻撃の狙いも曖昧なところが多かったので、決定力以前の問題ではないかと思っていましたが今年はそうではない。
ここまでこれたことを喜ぶと共に、最後の違いを選手たちに見せて欲しいところですね。
夏に加入して活躍しているドゥドゥもそろそろ相手に警戒されてくるのではないかと思いますし、田中や呉屋など他選手のブレイクにも期待したいところではないでしょうか。