ジェフ3年目となった小林祐介は、昨年32試合に出場。
2013年に柏アカデミーからプロへ昇格した小林ですが、これはプロキャリアで最多出場となったようです。
シーズン前半にはMVP級の活躍を見せた小林ですが、ちばぎんカップや第1節長崎戦ではスタメンに選ばれていませんでした。
その長崎戦で途中出場から素晴らしい活躍を見せて、自身のポジションを確立。
第2節からレギュラーとして、スタメンでプレーしていきます。
当初のジェフは小林と田口がボランチに並び、小林がアンカーで田口が右インサイドに上がっていました。
第4節秋田戦などでは相手対策か役割が逆になることもありましたし、第12節大宮戦以降は一時的に田口が離脱したこともあって見木や高橋ともボランチコンビを組むことになりました。
しかし、基本的には小林がボランチの中心で、チームを支えていたと思います。
小林が中心となったポイントは、やはりボール奪取能力の高さでしょう。
次への予測とアプローチが非常に速いため、気付いた時には相手を潰しにいって、守備に入っている。
そこからの球際の強さもあって、ボールの奪い方が非常にうまいですね。
さらに、ボール奪取後に素早く縦へパスを通すことが出来ることも、大きな武器となっていました。
小林の存在もあってシーズン前半のジェフは、ボールを持っている時間以上にボールを失った後の方が、奪い返しからのチャンスを狙えるのではないかとすら感じたほどでした。
小林が中盤でボールを奪えるので、無理な縦パスを狙ってボールを失っても良いというチャレンジが、出来ていたところもあったのではないでしょうか。
特に小林監督が就任した新チームのシーズン序盤は、攻守の切り替えからのショートカウンターがメインのチームだったと言えるでしょう。
その中でボールを奪える小林が、チームの中心になったのも当然とすら言えるのかもしれません。
小林としても得意な仕事を求められて、水を得た魚状態だったのではないかと思います。
しかし、ハイプレスだけでは、1年間を通して戦い切れず。
徐々にチーム全体のプレスが緩くなって裏を取られる試合も増えたり、相手がボールを持たずロングボールで中盤を回避されることも目立っていきました。
ハイプレスが効かなくなったシーズン中盤のジェフは、プレスを諦めて後方からのパスワークというもう1つの狙いに、力を注いでいった印象でした。
そんな中、小林は怪我のためか、第26節清水戦から一時不在に。
新国立で行われたこの試合で攻撃時に田口がアンカー、左インサイドに見木、右インサイドに風間という、シーズン終盤の顔ぶれが選ばれました。
守備面では小林不在で中盤で潰しきれない物足りなさも当初は感じましたが、攻撃面ではよりスムーズにパスを回せるようになっていきました。
その後はチームの連携も深まり、小林も主力不在時はスタメンに戻ったり、途中出場を果たしたりしましたが、思いの外うまくはまりませんでした。
アンカーのタスクもよりパスを散らすプレーが求められるようになり、インサイドでも相手の間で受けなければいけない。
どちらも小林はあまり得意ではないようで、シーズン序盤とは打って変わって悩みの多いシーズン後半になってしまったのではないかと思います。
それでも攻撃時は右インサイド、守備時は前線でプレーするポジションで途中投入されたり、守備固めで起用されたりと、小林監督としてはチャンスを与えたい気持ちはあったのではないでしょうか。
しかし、田口と見木はチームの中心でもあったわけで、大事なところでは変えづらかったところもあったはず。
結果的に好成績を上げていったチームの流れに乗り切れずに、終わってしまったのではないかと思います。
それでも貴重なボランチ候補でもありますし、田口は毎年どこかで怪我をしてしまう傾向もある。
今年の主力ボランチ候補は田口とエドゥアルドになるのではないかとは思いますが、何かあった時に小林がうまくはまるようになっておいて欲しいところですね。
ハイプレス時のボール奪取能力に関しては言うことない選手ですから、ボール保持時にうまくパスワークの流れに組み込めるかが重要ということになるのではないでしょうか。