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2023シーズンを振り返る ポジショナルプレーで攻撃の起点となった風間宏矢

 2022年に琉球からジェフに移籍したものの、1年目は25試合と主力だった前年から大きく出場機会を減らしてしまった風間。 
 しかし、2023年はシーズン後半にレギュラーに定着して38試合に出場し、シーズン終盤の追い上げに貢献しました。
 守備重視の尹監督体制にはフィットしなかったことになりますが、クラブとしては翌年以降も考えての補強だったのかなとも思います。

 ただ、2023年もシーズン序盤は、あまり出番の多くない状況でした。
 当初はボランチでの途中出場も多く、そこからパスセンスを見せていましたが、シーズン終盤のような役割ではなかったことになります。
 怪我人も多く出ていた第6節大分戦で初スタメンを果たしトップ下でプレーすると、そこから高い位置で攻撃を循環させていくようになっていきます。


 風間は間で受ける動きがうまく、後方からのボールを引き出す位置取りを取ることが出来る。
 相手が攻め込んでいる時でも中盤のフリーな位置で待ち構えているので、遅攻時だけでなくカウンター時も攻撃の起点となっていました。
 攻守に位置取りで優位に立つ、まさにポジショナルプレーと言えるでしょう。

 昨年も見木、田口、小林などが苦労したように、相手の間で受ける動きというのは見た目以上に難しいプレーなのだと思います。
 さらに風間の場合は体格も良い選手なので、狭い局面でもキープすることが出来る。
 そこからのスルーパスなどにもセンスを感じ、オシム監督なら「サッカーを知っている選手」だったり、「賢い選手」と評価していたかもしれません。


 特に昨年シーズン中盤はハイプレスを諦め、遅攻からの展開がメインとなっていただけに、風間の存在感は大きくなっていった印象でした。
 いわゆる"ビルドアップの出口"と言われる存在で、後方の選手が相手を引き付けてパスを回し、風間に縦パスを送るというパターンが増えていきました。
 ただ、シーズン前半から可能性は見せてはいた風間でしたが、なかなかレギュラーに定着するには至りませんでした。


 1つにはチームとして、風間しか"ビルドアップの出口"を作れていなかったため、そこを相手チームに警戒されてしまったこと。
 それによって、風間が間で受けても、そこから前を向く形を作りにくかったところがあったと思います。
 また、小林監督はシーズンを通して、攻守の切り替えや球際の強さを重視していたため、テクニックタイプの風間は評価を勝ち取り切れなかった部分もあったのではないでしょうか。

 それでもシーズン後半には守備時は前線、攻撃時は右インサイドでプレーするポジションに定着していきます。
 これは左SHドゥドゥが入ったことなどもあって、左サイドからも攻撃が作れるようになった結果、風間のマークが分散したことも大きかったのではないでしょうか。
 風間が間で受けて田中を走らせる攻撃も1つのパターンとなっていましたし、プレスの部分でも貢献できるようになっていった印象があります。


 ただし、シーズン終盤の風間は、若干疲れも見えていた印象も受けました。
 攻守に運動量が落ちて、プレスにいけない場面も増えていった。
 それによって、結果的に途中投入の福満が目立った部分もあったのではないでしょうか。

 さらに欲を言えば、ラストプレーの質ももう少し期待したいところではあったのかなと思います。
 そのあたりの課題もあって、今オフに藤枝から横山を補強することになったのではないでしょうか。
 ただ、横山も線は細い印象ですし、風間には風間の良さがあると思いますから、良いライバルとして戦ってほしいところです。


 小林監督は守備で前へ激しく行ける強さを要求している上、運動量も求められて、技術力も問われるサッカーをしている。
 さらに、そこへ間で受ける動きなども必要となっているわけですから、選手にとってはかなり難易度の高い環境だと思います。
 その中でも風間は天性の攻撃センスを見せていたと思いますし、プレスなどでも努力が見られた1年だったのではないでしょうか。

 個人的には前へのアグレッシブな姿勢だけでは昇格は難しいと思っていますし、風間のような存在が今年も大事になってくるのではないかと思います。
 結局90分間のフル出場はなかった2023年の風間ですが、よりタフに戦えるように努力しつつも、賢さをチームに与えて欲しい選手ですね。