椿は2023年に、水戸からジェフに移籍。
24試合に出場しスタメンが12試合で、2ゴール1アシストとまずまずの成績を収めています。
ただ、主に活躍したのがシーズン前半だったので、シーズン後半は失速したイメージもありました。
2023年のジェフのサイドアタッカーの推移を振り返ると、当初は攻撃時に左SH見木が中に絞って3バックになる形で、左WBに日高、右WBに末吉がベース。
途中から末吉と田中が入れ替わりますが、4バックが主流となっていき、第11節熊本戦からは左SH椿、右SH田中がメインに。
そして、第22節大分戦で左SH高木、右SH米倉が起用され、第28節山口戦から左SHドゥドゥ、右SH田中が固定化されて、シーズン終盤まで戦い抜いたことになります。
そこまでは8試合連続でスタメン出場を果たしていた椿ですが、第22節大分戦でいきなり控えからも外れています。
その後、離脱者が出てもメンバーに入ることがほぼなかったことからも、怪我などがあったのではないかと思います。
それでもシーズン終盤にメンバー入り復帰を果たすと、リーグ戦ラスト3試合とプレーオフ東京V戦で4試合連続の途中出場を記録しています。
椿は積極的に仕掛けて、相手を交わしに行くタイプのドリブラー。
特に左サイドの位置からカットインしていって、クロスやシュートなどを狙っていくプレーのインパクトが強いですね。
シーズン途中に岡山へレンタル移籍となった末吉などよりも、ラストプレーの精度を期待できるところが、残留できた違いの1つだったのかもしれません。
ただ、シーズン前半はスタメンが続くにつれて、徐々に椿のドリブルが相手チームにばれていった印象です。
足元で受けて1人かわそうというプレーが多いので、相手もサイドに追い詰めた状況を作ったり、カバーをつけたり、時には2人で潰しにきたりと、自由に仕掛けさせない状況を作ってきた。
椿自身もドリブル以外の選択肢が少ない上に、判断に一歩迷って攻撃が遅れてしまうことが多く、チームの攻撃においても、椿自身においても、行き詰まりを感じつつあったように思います。
第22節大分戦からの離脱はアクシデント絡みではないかと思いますが、その前から厳しい状況にはなっていた印象でした。
小林監督としては現在のパスサッカーのトレンドのように、ワイドな位置にドリブラーを置いて、相手を引き付けたり中盤でパスを回したりして、ドリブラーへ展開する攻撃を作りたかったのかもしれない。
しかし、三苫のように高確率で1対1に勝てるアタッカーは、世界を探してもそういるものではないということではないかと思います。
さらに椿は、守備面でも苦労していた部分があったと思います。
前からプレスにいく姿勢は見せていましたが、フィジカルに強いタイプではない。
さらに、戻ってからの守備への関与に関しても、課題があると思います。
ただ、シーズン終盤のジェフはチームの好調もあって、相手を押し込むことも多く、相手も引いて守ってくる試合が目立ちました。
そういった展開になると、スピードでスペースを取っていたものの、クロスの精度などには課題がある田中は、活きづらい状況になりがちでした。
そこでアクセントをつけるには、サイドから仕掛けられる椿が必要となるのではないかとも思います。
今年の話になってしまいますが、現在のSHを大きく分類すると、ゴールに飛び込めるのがドゥドゥ、米倉、スピードで縦に走り込めるのが田中や高木や岡庭ということになるでしょうか。
椿はそのどちらとも異なり、ドリブルで相手をかわしてチャンスを作れる選手。
昨念終盤の流れのままだとレギュラーは難しいかもしれませんが、試合途中から相手を打開するときなどに欲しいタイプとなるのかもしれません。
ただ、昨年のプレー内容では攻守にまだまだ課題があって、ボールを持った時ももっと周りを活かすプレーなどを増やして、プレー判断の幅と判断スピードを上げていかなければいけない。
現状のままだとサイドで潰されることも多いので、意外と前線やトップ下の方がまだ活躍できる道があるのかなと思わなくもないですが、そちらの方が層は厚い状況ですからよりポジション争いは厳しくなるかもしれません。
いずれにせよ、まだ23歳の選手ということでもっと上を目指すためにも、今季更なるレベルアップを期待したい選手ではないでしょうか。