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2023シーズンを振り返る スピードで右サイドを制圧した田中和樹

 2023年、京都からレンタル移籍でジェフに加入した田中。
 当初は左サイドでの途中出場がメインで、開幕戦では途中出場からレッドカードによる退場も経験しています。

 しかし、第6節岡山戦で右SHとして、初めてのスタメン出場を果たすとそこからはコンスタントにプレー。
 その後、一時はスタメンを外れる機会もありましたが、シーズン後半は完全にレギュラーとして定着しました。
 1年間を通じて見ると途中出場も少なくはなかったですが、38試合の出場数は風間と並んでチーム3番目タイの結果となっています。

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 田中は末吉、椿など、多くのライバルとのポジション争いに勝ってポジションを自分のものにしたとも言えると思います。

 田中は運動量が豊富で、球際も強く、守備面でも大きく貢献できるという点が、評価されたのではないでしょうか。
 昨年ジェフの監督に就任した小林監督は、球際での勝負を重視していて、ハイプレスからのショートカウンターが重要な狙いの1つとなっていました。
 さらに、SHはサイドだけでなく相手の最終ラインまでプレスにいくタスクを要求されることも多く、広範囲を走り回れるタフな田中はかなり重宝されていた印象です。


 また、攻撃面でも、田中は圧倒的なスピードで、マッチアップした相手を抜き去ることが出来た。
 末吉や椿のドリブルは可能性こそ感じましたが、完全に抜き切るところまでいかず、チャンスを作れない場面も目立ちました。
 SHをワイドな位置に張らせて、1対1の勝負を仕掛けさせるシステムだったからこそ、1対1で勝てるか否かが非常に重要な点だったのだと思います。

 加えて、ワイドな位置で田中が成立したのは、フィジカル面も大きかったのかもしれません。
 あえてSHを孤立する形を作って、サイドで仕掛ける展開を狙っていた印象ですが、そうなるとタッチライン際に追い込まれて潰される展開も増えてしまう。
 しかし、田中はそこでフィジカルを使ってある程度耐えられるので、ワイドでも戦えていたところがあったのかもしれません。


 2023年のジェフはハイプレスからのショートカウンターに加えて、後方で引き付けて縦に展開するビルドアップも狙っていました。
 相手を引き出し後方からロングパス一本で相手の裏を狙うことも多く、その狙いの1つとしても田中は重要な役割を担っていました。
 さらに、ロングカウンターでも、田中のロングスプリント能力は大きな武器になっていたと思います。

 ジェフのサポーターからも、田中のプレースタイルは、かなり好評だったのではないでしょうか。
 やはりジェフサポは、歴史的にハードワークをして泥臭く頑張れる選手を好む傾向があると思います。
 田中も当初はどんなキャラクターかわからないところがありましたが、広範囲をサボらず走り回るだけでなく、ゴール前にも体ごと飛び込むプレーは、ジェフサポ向きのプレーだったのではないかと思います。


 ただ、一方で田中も遅攻時の攻撃への関与に関しては、課題が多い印象です。
 ショートパスなどの精度は高くテクニックのない選手ではないと思うのですが、狭い局面でスムーズにパスを回したり、中盤でパスを受けたりといった動きはあまり得意ではない。
 さらに、クロスの精度ももう1つで、せっかくサイドを駆け上がってもチャンスに結びつかないという場面も目立ちました。

 クロス精度に関しては仕方のない部分もあるかとは思いますが、もう少しアイディアを持って攻撃に関与する必要があるのかなと思います。
 左足でも扱える選手ではありますが、左足という選択肢もあることで、逆に迷いが生じて判断が遅れる部分もあるのかなと感じる部分も。
 さらに欲を言えば、左SHだとワイドでプレーできないのか、右SHほどはまっていない印象もありましたね。

 どのポジションで起用するのかはまだわかりませんが、FC東京からレンタル移籍で加入した岡庭もサイドプレーヤーでクロスの精度も期待できる選手。
 田中のライバルとなるのであれば、うかうかしてはいられないかもしれません。
 特に昨年終盤はジェフも研究されて、相手も簡単にはスペースを与えてくれなくなった印象でしたし、より細かな部分での質の向上が期待されるのではないかと思います。