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第35節 ジェフ 2-1 甲府 劣勢の展開も田中和樹を右SHに回して逆転勝利

 試合内容としては、甲府ペースの方が長い展開だったと思います。
 特に前半はシュート0本に抑えられ、後半途中までも甲府の方が決定機を作り、ジェフが先制点も許す展開でした。
 1週間の休みが入りましたが、あまり状態は上がっていない印象も受けました。

 ただ、ここ数戦のように、後半のスタミナ切れは起きなかった。
 それとホームの後押しも相まって、試合終盤に入って押せ押せの展開が作れました。
 厳しく言えば、その最後の勢いだけで、逆転勝利を上げられた試合だったと言えるのかもしれません。


 特に大きな変化だったのが、田中を右SHに回したことではないでしょうか。
 前半は左SH田中が甲府に止められたこともあって、ジェフの攻撃全体が封じられたところがありました。
 先々週にも話しましたが、やはり田中は右サイドの方が伸び伸びとプレーできるところがあると思います。

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 ただ、もちろん、そこだけが試合を決めたのではなく、甲府からすれば前半から良い攻撃を作れていたわけですから、前半のうちに1点を取りたかったところではないでしょうか。
 甲府は大事なところでのミスも多かったと思います。
 また、早々に怪我人が出てカードを切らざるを得なくなり、ウタカを使い切れなかったことも不運だったと言えるのかもしれません。

 逆にジェフも勝利を上げたとはいえ、全体的な内容が乏しかったことには変わらず、ここ数戦調子が上がってきていないことが心配な点だと思います。
 この勝利に勘違いすることなく、修正していくことが大事ですね。

■甲府ペースで前半のジェフはシュート数0本

 ホームのジェフはエドゥアルドがメンバー外で、田口がスタメンに。
 控えには小林が入りました。

 甲府はスタメン変更なし。
 控えには孫、宮崎が入って、マンシャ、三沢が外れました。
 ベンチにはウタカが控えています。


 2分、甲府の攻撃。
 右に開いた三平のポストプレーから、鳥海が拾ってミドルシュート。
 しかし、ゴールの左を逸れます。 

 試合は甲府が流れを掴んでいきます。
 高いラインでジェフの攻撃を自由にさせず、攻撃でも序盤は長いボールでジェフのプレスをかわしてきました。
 ただ、甲府も大事なところでのパスミスが目立つ展開に。


 24分、ジェフにアクシデント。
 田口が突然怪我を訴えて交代となり、小林を投入。
 そのまま、守備時はボランチ、攻撃時は右インサイドに上がる位置に入りました。

 前半途中までは動きの少ない展開でしたが、前半終盤は完全に甲府ペース。
 36分に甲府の攻撃。
 PA目前で得たFKを荒木が直接狙いますが、枠を捉えきれず。


 40分にも甲府の攻撃
 中盤左の中山から、裏を通すスルーパス。
 アダイウトンが高橋の裏を取ってシュートにいきますが、松田がブロック。

 42分にも甲府の攻撃。
 佐藤がバイタルエリアを取って仕掛けますが、ここは高橋がクリア。
 これをアダイウトンが拾って、ミドルシュートを放ちますが、バーの上。

 45分には、甲府のヘナト・アウグストが負傷交代し、孫を投入。
 その直後にも甲府の攻撃。
 左サイドからの荒木のロングスローから、こぼれ球を飯田が狙うもジャストミートせず、0-0で折り返します。

■甲府に先制を許すも試合終盤に押せ押せの展開で逆転勝利

 後半から、甲府は佐藤を下げて木村を投入。
 50分、ジェフの攻撃。
 左サイドからのFKは跳ね返されますが、杉山がミドルシュートで狙うもGK渋谷の正面。

 60分にもジェフの攻撃。
 中盤での奪い合いから、横山が奪って田中へ。
 田中が長い距離を持ち上がってシュートに行きますが、GK渋谷がキャッチ。


 61分、甲府の決定機。
 右サイドで、鳥海が品田をかわしてラストパス。
 三平がフリーで合わせますが、バーの上。

 67分、甲府が先制。
 甲府が攻め続ける展開で、クロスのこぼれを中山が拾って左に繋ぐと、荒木が木村から受け直してクロス。
 三平のヘディングシュートはGK鈴木が止めますが、こぼれ球をアダイウトンが合わせて0-1。


 失点直後、ジェフは杉山、小川を下げて、林、山越を投入。
 佐々木が左SB、田中が右SH、横山が左SHに回りました。
 その直後、甲府は三平を下げて、内藤を投入。

 75分、ジェフが同点ゴール。
 右サイドに移った田中のクロスは跳ね返されますが、小林が繋ぐと品田が前へ。
 最後は横山が合わせて1-1に。


 79分、甲府はアダイウトンを下げて宮崎を投入。
 83分、ジェフは佐々木、横山を下げて岡庭、ドゥドゥを投入。
 後半終盤のジェフは、押せ押せの展開に。

 すると85分、ジェフが勝ち越し点。
 小森がPA内左で、1人、2人といなしてクロス。
 ファーの田中がボレーで決めて2-1に。

 91分には甲府の攻撃。
 中盤右からのFK。
 中山が蹴ると孫が頭で合わせますが、GK鈴木がセーブし、2-1でジェフが逆転勝利を上げました。

■甲府の田中対策に苦戦したジェフ

 甲府も4バックに変更してくる可能性があるのではと思っていましたが、5バック継続で戦ってきました。
 最終ラインを高く保って後方を5枚で守る守備は、先日の日本代表戦でのオーストラリア代表も思い出させるような守備でした。

 甲府もプレスにいく時は1トップ2シャドーの前3枚で追いかけて、そこにWBも加勢する展開に。
 しかし、プレスに行けない時には、5-4-1で守っていきました。
 ただし、最終ラインは非常に高く、簡単には押し込まれない状況を作り出していたと思います。


 特に重視していた印象なのは、田中の左サイドだったのではないかと思います。
 右WB飯田も右CB関口も、守備力が高い上にスピードもある選手。
 1人で田中を抑え切ることも多かった上、例え1人が抜かれたとしてもどちらかがサポートに入ればいい。

 しかも、5バックで守れれば、ポケットを取られる危険性も減るメリットがあります。
 横山などが中からサポートに来ても、WBが田中に、CBが横山に付くことによって、数的不利を作らせない。
 ジェフも一本でラインの裏を狙えればよかったのですが、甲府はうまくラインコントロールしていた上、関口、林田、ヘナトの最終ラインは機動力もあるので、簡単には取らせない状況だったと思います。


 さらに、ラインを押し上げられれば、前掛かりになりがちなインサイドの横山を、甲府のDFラインに吸収することも出来る。
 そうすると、中盤で間を取られる危険性も減るし、中盤の数的不利も解消できることになり、品田への守備もいきやすくなる。
 この甲府の守備に、非常に苦労した試合だったと思います。

 甲府のイメージとしては、ジェフのビルドアップを止めるために2CBとアンカーに守備へいくのではなく、ジェフのチャンスメイクを止めるために田中封じを優先したということではないでしょうか。
 田中さえ止めてしまえば、右サイドからも中央からもあまり攻撃は作れていないのが今のジェフですから、小森までボールがいくことはないという判断なのかもしれません。
 言い方を変えれば、そこが今のジェフの課題の1つだと思いますし、どうせ田中からしかチャンスが作れないのであれば、この日の終盤のように田中が得意な右に回した方が良いようにも思います。


 守備面でも課題が出ていて、この日もジェフは最終ラインが深くなりがちだったと思います。
 失点シーンもセカンドボールを拾われたところからで、連続攻撃になってしまったのもラインが押し上げられていないから。
 群馬戦でもそこは気になったところで相手の攻撃力にも救われた展開でしたが、やはり甲府のような中位以上の相手だと防ぐのは厳しいということではないでしょうか。

 また、ボランチの裏を取られてしまう問題も引き続き感じました。
 この試合でも、何度もバイタルエリアを侵入されて、そこから攻め込まれています。
 甲府がうまく引き付けて縦に出すビルドアップを展開してくるからこそ苦戦したところもありますが、そこへの守備が中途半端だったとも言えると思います。


 それでも最終的には、終盤のスタミナ面と勢いで逆転勝ち。
 オーストラリア代表もそうでしたが、あの守り方だと最終的にはDFに負担が募るという問題点もあるのでしょうか。
 単純に甲府は怪我人もあって、交代カードにも問題もあったようにも思います。

 最終ラインに走力のあるDFを並べられたからこそやれた守備とも言えるかもしれませんし、今後の試合で同じ対策を取ってくるチームがいるかどうかはわかりません。
 ただ、逆にジェフの方もホームということでコンディションが良かった上、あの雰囲気があったからこそ逆転勝ちできた試合だったようにも思いますし、攻守に課題を感じた試合だったことは事実。
 そこをどれだけ改善できるのか、注目ということになりますね。