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2トップも不発で横浜FCに1-3の完敗

 4月3日、寿人のゴールで勝利した琉球戦後の感想で、「勝ったから良かったものの今後が気になる試合」と書きましたが、実際にそうなってしまったように思います。
 あの試合以降1分2敗で、勝ち星から遠ざかっています。
 横浜FC戦は終盤にジェフの足が止まったことも大きかったとは思いますが、それ以上に問題だったのは攻撃面の差ではないでしょうか。

 同じ3バックではありましたが、横浜FCのほうが攻撃の狙いがはっきりしていた。
 その分、前半から確実なチャンスは、相手のほうが作れていたと思います。
 それが結果的に、試合終盤にも効いてきたのではないでしょうか。
ショートコーナーから工藤が先制
 ジェフはクレーベがスタメンで茶島が控えに回り、寿人とクレーベの2トップに。
 左WBには為田が入り、乾、下平がベンチに並びました。
 前節負傷交代した田坂は欠場し、鳥海が復帰しました。

 横浜FCは元ジェフの北爪、戸島がスタメン復帰し、ボランチでプレーしていた田代はリベロに戻りました。
 カズ、伊野波がメンバー外でボランチ渡邊一仁、シャドーの松浦がスタメン復帰。
 左WBには明治大から加入した新人袴田がプレーしていましたが、今日は専修大出身の新人中山が入りました。


 両チーム、積極的な立ち上がり。
 11分には横浜FCの攻撃。
 セカンドボールを拾った北爪がそのまま持ち上がってシュートまで持ち込みますが、GK優也がセーブ。

 18分にも横浜FCの攻撃。
 ヨンアピンの裏へのボールに中山が走りこんでクロス。
 戸島がニアで触りますが、GK優也が対応。


 24分にも横浜FCの攻撃。
 CB川崎からのボールに、戸島が反応して裏を取ります。
 そのままシュートを放ちますが、ゴールの左。

 立ち上がりはお互いにゴール前に迫っていましたが、徐々に横浜FCペースに。
 横浜FCのほうが明確に攻撃の形を持っている分、シュートまでいく回数が増えていきました。
 逆にジェフはボールを持っても、ゴールに攻め込めない展開が目立っていきます。


 しかし、30分にジェフが先制。
 左サイドでのCKからショートコーナーで侵入していき、矢田が工藤へと落とします。
 工藤がワンタッチでシュートを放ち1-0に。

 得点をあげて、ジェフが勢いを増していきます。
 33分にもジェフの攻撃。
 左サイドを持ちあがった為田がそのまま狙いますが、枠を捉えきれず。

 37分にもジェフの攻撃。
 新井が右サイドを持ちあがってクロス。
 クレーベがニアで足元で合わせますが、相手DFがブロック。


 39分には横浜FCの決定機。
 北爪が右サイドを駆け上がってクロス。
 戸島が頭で合わせますが、GK優也がファインセーブ。

 このプレーで、若干ジェフの勢いも落ち着いた印象でした。
 そのまま1-0で折り返します。
■後半だけで3点を取られ1ー3の敗戦
 後半開始と同時に、横浜FCは渡邊を下げてイバを投入。
 田代をボランチに上げて、4-4-2になりました。
 49分にはレアンドロ・ドミンゲスからのパスを受けた戸島がシュートを放ちますが、GK優也がセーブ。

 後半から横浜FCが押し込む展開が続きます。
 53分、横浜FCは松浦を下げて斉藤光毅を投入。
 56分、ジェフは寿人を下げてアランを投入。


 57分、ジェフがミスから失点。
 エベルトのGKへのバックパスがそれて、ゴール方向へ。
 GK優也が何とか掻き出すも、戸島が拾い最後はイバがゴール。

 その直後にも横浜FCの攻撃。
 北爪からの浮き球のパスを受けた、レアンドロ・ドミンゲスがシュート。
 強烈なシュートでしたが、枠の外。


 65分にはジェフの攻撃。
 左サイドで受けた為田が、思い切ってミドルシュート
 しかし、GK竹重がセーブ。

 同点直後はジェフが勢いを上げていましたが、徐々に落ち着いてきます。
 68分、ジェフはゲリアを下げて茶島を投入。
 69分、横浜FCの中山が負傷交代し袴田を投入。


 72分、横浜FCの攻撃。
 袴田のパスにイバが裏を走り、最後はレアンドロ・ドミンゲスがシュートを放ちますが、ゴールならず。
 その直後にはクレーベが落としてアランが抜け出しシュートを放ちますが、GK竹重がセーブ。

 76分、ジェフは矢田を下げて堀米を投入し、工藤がボランチに下がりました。
 81分、横浜FCが勝ち越しゴール。
 CKの流れからレアンドロ・ドミンゲスがクロスを上げると、田代が増嶋の前を取ってゴール。


 続いて85分。
 横浜FCの斉藤が疲れの見えた新井をかわして、角度のないところからシュート。
 GK優也もコースを消しきれず1ー3に。

 試合終盤は完全に足が止まったジェフ。
 横浜FCは2点差になっても最後まで攻め込み続け、試合終了間際にもレアンドロ・ドミンゲスがシュート。
 しかし、これはジェフDFがブロックし、1ー3で試合終了となりました。
■前回指揮を執った時を思い出す展開に
 ジェフは相手が3バックということもあって、一部メンバーを変えてきたのではないでしょうか。
 1トップ2シャドーでのジェフは、守備時には5-4-1になりサイドが二枚で対応する。
 しかし、相手が3バックということで、サイドは基本1枚でいいと判断して、クレーベと寿人の2トップにしたのかもしれません。

 さらに同じ3バックならサイドでの1対1が増えるため、為田をWBで起用しても問題ないという判断だったのかもしれません。
 相手が4バックだとボールを持ちすぎる為田は、相手のサイド二枚に囲まれて潰されてしまうことも多い。
 そこからその裏をカウンターでとられる可能性もありますが、同じシステムなら攻守に北爪だけを見ればいい。


 ただ、これらの変更はそこまでうまくいかなかった印象です。
 クレーベと寿人の2トップにしたのは、やはりこれまでの試合でポストプレーなどで起点を作れず、寿人が消えてしまうことが多かったためではないでしょうか。
 2トップにすればクレーベがポストプレーを出来るし、2つのターゲットが出来るため寿人もクレーベも起点になりやすい。

 しかし、その分2シャドーからトップ下の1枚になってしまったため、ポストプレーの落としを受ける選手も少なくなってしまう。
 これによって、結局中央からの形が作れず、サイド攻撃ばかりに。
 結果的に為田の単独でのドリブルばかりが、目立つ展開になってしまった印象です。

 また、為田のWBも攻撃面では機能していましたが、守備面においては北爪に走られることが多かった。
 さらに相手が4バックになってからは、為田のサイドからクロスを上げられる展開も増えてしまいました。
 こういったマッチアップではサイドで殴り合いの展開になることが多いですが、より決定的な場面を作れていたのは相手の方だったようにも思います。


 一方の横浜FCは、ジェフ以上に攻撃の形が明確だったと思います。
 レアンドロ・ドミンゲスのキープからの展開や、戸島やイバのポストプレーから左右のサイドを走らせる攻撃。
 攻撃の形が明確だからポジションごとのタスクも確実なものになり、選手の起用法もはっきりしていく。

 中央にはキープできる選手とそれをサポートできる選手を配置して、左右にはアップダウンできるWBを起用する。
 横浜FCレアンドロ・ドミンゲスなどは決してスタミナがある選手ではないとは思うのですが、ハードワークすべき選手と相手を仕留める選手が明確なので、無駄なく戦えているところがあると思います。
 一方でジェフは全員ががむしゃらに走っているため、気温も上がって90分間持たなかった。

 また、キックオフ直後やスコアが動いた直後だけは相手を押し込めるけれど、そうではない時間帯は横浜FCの時間帯だったと思いますが、これも攻撃の形が明確ではなく勢い先行となっているからではないでしょうか。
 一方の横浜FCも1失点目の守備は軽かったし、イバなどもやはり以前ほどの怖さはなかったと思います。
 それでも差が明確に出てしまったというのは、残念なところですね。


 やはり相手がどうこう、以前の戦い方がどうこうではなく、自分たちの形を1つ作っていかないと、ブレが生じてしまうと思います。
 「まだまだ時間がかかる」という言い訳はできるのでしょうが、前線の形や選手のタスクをころころと変えてしまっては、いくら時間をかけても積み重ねは難しいでしょう。
 左WB1つとっても下平、乾、為田ではタイプが全く違うわけですし、最終的に何がしたいのかが大事だと思います。

 もちろん取り外して選手を入れ替えられる場合もあるとは思いますが、それも含めて変えていいところ変えてはいけないところ。
 攻撃におけるチームの軸や監督のポリシーを明確にすべきだと思います。
 徐々に前回指揮を執った時の江尻監督を思い出すようなチーム作りになってきたような気がするのが心配なところです。

途中就任はいつまで免罪符となりうるのか

 試合ごとに首位が入れ替わっている現在のJ2ですが、現在は水戸が首位に再浮上しています。
 前節岡山戦でスコアレスドローとなったジェフは、2勝4分3敗で勝点10の16位。
 今週末は3勝1分け5敗で、勝点同数の15位横浜FCと対戦します。


 今季の横浜FCは開幕戦から2連敗でスタートするなど、苦労している印象です。
 伊野波などを獲得したとはいえ補強の出入りが少なく、チームが活性化できなかったところがあるのでしょうか。
 イバやレアンドロ・ドミンゲスなど、ベテラン外国人選手の動きが重い印象もあります。

 武田や齋藤功佑などが負傷していたこともあって、松井がリベロや左SBでプレーしたり、田代がボランチでプレーしたり、ヨン・ア・ピンが左サイドでプレーしたり、52歳のカズや17歳の斉藤光毅がスタメン出場したりと、いろいろなことを試しています。
 しかし、大きく成績は伸びず、ここ3試合も1勝1分1敗。
 前節も大宮に1ー2で敗れています。


 チームの印象は大きく変わらず、ブラジル人のタヴァレス監督らしく、ショートパスでゆっくりと繋いで中長距離のパスで縦に展開し攻撃のスイッチとする。
 あるいはカウンターで前線の外国人選手たちが起点となりつつ、2列目以降の選手たちが縦に走りこんでいく。
 緩急を使った攻撃をしてくるイメージで、J2の中では珍しいリズムを持ったチームといった印象もあります。

 ただ、昨年は最終的に堅守をベースにしたカウンターでPO進出を果たした印象ですが、今年は簡単な失点が増えているようにも感じます。
 勢いに乗り切れていない印象もありますが、基本的にはハイテンションで結果を残すというよりは、のらりくらりと戦うチームではないかと思うので、これで大きくは間違っていないのかもしれません。
 全体としてのコンディションも、少しずつ上がっているのかなと思います。


 ジェフのポイントの1つは、京都戦以来となる3バックチームとの対戦が予想されること。
 京都戦でもミラーゲームとなったため、守備がはめ込みやすいところがあったと思います。
 前節岡山戦でも前半に相手が後方3枚でボールを回していた時はプレスをかけやすかった印象がありましたし、サイドチェンジでギャップを突かれる課題も減るかもしれません。

 ジェフはまだサンプルが少ないのではっきりとは言えませんが、マンマークの意識が高い守備となっている印象ですし、相手が3バックのほうが戦いやすいのかなと思います。
 ただ、それは相手にとっても同じことでミスマッチが生まれない分、相手も守備でマークをとらえやすくなる。
 攻守において、1対1での勝負が重要となってくるのかもしれません。

 特にジェフは相手のプレスを受けると、ビルドアップでバタバタするところがありますから、そこをどう改善するのか。
 なお、ここからジェフは、横浜FC、大宮、甲府、山形と3バック主体チームとの対戦が続きます。
 その初戦ということで4バック相手と、どのような変化が生まれるのかも気になるところです。


 チーム作りにおいては、攻守の軸を明確にすることがなのではないでしょうか。
 確かに江尻監督はエスナイデル監督にシーズン途中でバトンを渡されたため、改善しなければいけない部分も多かったという見方もできるかもしれません。
 さらに就任して間もないから、ここから向上していくという発想もあるでしょう。

 ただ、細部の動きや連携に関しては時間がかかるとは思うのですが、大枠での攻守の方向性ややりたいサッカーに関しては、早い段階で見えてくることも多いと思います。
 実際、守備に関しては就任当初から明らかな変化が見えていましたし、攻撃面においても当初は中央での縦パスという新たなパターンがみられていた。
 しかし、攻撃においてはそれが失われつつあるようにも思うわけですから、やはり不安な部分も見えつつあるように思います。


 シーズン途中の監督交代だとしても、いつまで…あるいはどこまで、それが免罪符となりうるのか。
 個人的には細部の修正・構築に関しては当然時間がかかるものとも思うのですが、「これだ」という目指すべき攻守の軸に関しては、早期に見えてこなければその後も期待しづらいのではないかとも思います。
 それが具体的なパターンの構築などではないとしても、特に攻撃において監督のポリシーのようなものが見えてこないのは少し気になるところではないでしょうか。

 現チームの責任の所在が曖昧になってしまうからこそ、エスナイデル監督のサッカーを引き継いだ上での改善などではなく、一からチームを作るという姿勢でやってほしかったという思いがありました。
 さらに言えば、こういった状況になってしまうからこそ、シーズン中の監督交代は本来やるべきではないことでもあると思います。
 前体制を引きずってしまっては、良くも悪くも評価がはっきりとしない状況が続いてしまう可能性もあります。

 もちろん無駄に焦るのも良くはないでしょうが、歴代のジェフの監督を思い返しても、あるいは日本代表などを考えても、意外と監督交代の効果は早く出るもので、その監督の色もすぐに表れるものだと思います。
 だからこそ、チーム作りは初期が重要という印象もありますし、ダラダラと免罪符を与え続けるのもどうなのかなと思います。
 時間がかかるから仕方ないとすべき部分と、そうではない部分はしっかりと分けて考えるべきなのかもしれません。


 また、江尻監督としてはこれが監督就任二回目。
 今回失敗すれば次はないという可能性も十分にあり得るわけで、今年中に何らかの可能性を見せなければいけないという状況にもなるのではないでしょうか。
 江尻監督に関わらず二連続で失敗すれば次はないということが多いようで、例えば鈴木監督も大宮、ジェフ、関塚監督も磐田、ジェフで途中解任を経験し、そこから監督業を離れています。

 それだけに今年のジェフの目標をどこに定めるのかは置いておくとしても、江尻監督とすれば意外と切羽詰まった状況でもあるともいえるのかもしれません。
 個人的にはともかく基礎的な約束事を明確にして、攻守に狙いがはっきりと見えるチームを作って欲しいと思います。
 例えば金沢や水戸などは奇抜なサッカーはしていないかもしれませんが、堅実で良いチームを作りそれが結果にもつながっている印象ですから、そういったチームも参考になるのではないでしょうか。
 ちなみにこの2チームに関しては、開幕前の順位予想の段階でもコレクティブな良いチームという話をしていました

 ともかく、攻撃においては新たな展開を目指すにしても、1つ前に戻すにしても、明確な形を1つ作ること。
 守備においてはサイドチェンジや押し込まれた後の対策を考えつつ、バランスをよりよくしていくことが大事なのかなと思います。
 それがいつどこで見えるようになり、効果が表れるのかに注目ですね。