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船山と工藤の活躍で3試合ぶりの勝利

 金沢戦は2-1で3試合ぶりの勝利を遂げました。
 スタメンとなった工藤と船山の運動量と、ゲームメイク能力が効いた試合だったのではないでしょうか。
 その他の選手も最後まで大きなガス欠をすることはなく、集中して守れていたと思います。

 試合前にも少し話しましたが、金沢は中盤が押し込まれやすい印象がある。
 ジェフ戦でもその課題が出たことによって、ボランチに回した工藤の展開力が効果的に機能した。
 そこから良い戦いが出来たのではないでしょうか。

■一進一退で前半を折り返す

 鳥海が出場停止となったジェフは、工藤がボランチに下がり船山が前線でスタメン。
 ベンチには久々に安田が入りました。

 金沢もFWクルーニーが累積警告で2試合出場停止となっており、22歳の垣田がスタメン。
 19歳のCB石尾が控えに回って、ベテランの廣井が出場。
 その他にも21歳の小島、22歳の大橋、24歳の山本など、若い選手がスタメンに名を連ねます。


 5分、金沢の攻撃。
 大橋からのアーリークロスに対し、垣田が前を取ってヘディング。
 しかし、シュートは枠の外。

 7分、ジェフの攻撃。
 エベルトからのロングボールをクレーベが落とし、アランが拾ってミドルシュート
 しかし、枠を捉えきれず。


 10分、金沢のチャンス。
 山本からのロングキックに反応した金子が斜めに飛び出していき、左サイドからクロス。
 垣田が飛び込んで合わますが、GK優也が対応。

 20分、ジェフが先制。
 左サイド奥の下平から中央の熊谷に繋ぐと、下平が再び受けてさらに中央の船山へ。
 そこから、パスを受けたアランがシュートを放ち1-0。


 前半は一進一退といった印象。
 立ち上がりは、金沢のパスワークに押し込まれる展開が多かったジェフ。
 それでも徐々にジェフが盛り返し、攻め込む時間が増えていきました。

 しかし、29分には金沢が同点。
 左サイドからのCKを藤村が蹴ると、ニアの工藤が触って軌道が変わります。
 ニアでフリーになった加藤が、頭で合わせて1-1。


 34分にも金沢の攻撃。
 中盤で得た直接FK。
 少し距離がありましたが、沼田が左足で直接狙うもゴールの左。

 その直後にはジェフの攻撃。
 下平からのパスを受けた為田から、グラウンダーのクロス。
 クレーベには合いませんでしたが、ファーのアランが受けてシュートを放つもポストの右を逸れます。


 42分、金沢の攻撃。
 廣井からの楔のパスを垣田が受けて反転。
 そこから金子が受けてミドルシュートを放ちますが、GK優也の正面。

 その後もお互いに攻めあいますが、大事なところでのミスも目立ちチャンスまでは生まれず。
 1-1で折り返します。

■船山のゴールで2-1の勝利

 後半序盤も、中盤でのせめぎあいが続きます。
 52分、ジェフの攻撃。
 米倉からの長い距離のアーリークロスに反応したクレーベが、前を取って頭で合わせますが、枠を捉えきれず。

 60分、金沢は杉浦を下げて山根を投入。
 その直後には金沢のチャンス。
 工藤から藤村がボールを奪い、垣田が頭で落として、こぼれを藤村が拾ってシュートを放ちますが、枠を捉えきれず。


 67分、ジェフが勝ち越し点。
 米倉が右サイドの奥で加藤をドリブルで抜き去り、グラウンダーのクロス。
 これに船山が合わせて2-1。

 その直後、金沢は金子を下げて大石を投入。
 69分にもジェフのチャンス。
 中央の船山から為田が左サイドで受けてクロスを上げると、クレーベが飛び込みますが、GK白井がセーブ。


 77分、ジェフはアランが負傷交代しゲリアを投入し、そのまま右SHに。
 85分、金沢は加藤を変えて小松を投入。
 山根が左SHに回って小松が前線に入りました。

 84分、金沢の攻撃。
 左サイドのショートコーナーから、こぼれたところを大石が拾ってミドルシュート
 しかし、ゴール前で山本に当たってGK優也がキャッチ。


 86分、ジェフは船山を下げて堀米を投入、攻撃時は4バック気味で守備時は3バックに。
 その直後にはジェフの攻撃。
 中盤中央の位置で受けた堀米が思い切ってミドルシュートを放ちますが、GK白井がセーブ。

 92分、ジェフは工藤を下げて矢田を投入。
 試合終盤、金沢はゴール前に長いボールを供給しますが、ジェフはしっかりと体操。
 2-1の勝利を遂げました。 

■船山と工藤のセンターライン

 初めにも話した通り、最近の金沢は他の試合でも中盤が押し込まれやすい印象があります。
 その要因は守備方法で、金沢は中盤はマンマークで相手を見る守り方をしている。
 そのため、相手の2列目がどんどん前に出ていくと、中盤の選手がDFラインに吸収されてしまうところがある印象です。


 以前の金沢はここまで押し込まれやすくはなかったと思いますし、前からのプレスの意識も今より強かったと思います。
 マンマークにする分、粘り強く守ろうという狙いと、プレスを緩くすることで体力の温存を図っているのでしょうか。
 無理をしないことによって、その分攻撃に力を注ぐという発想もあるのかもしれません。

 ただ、マンマークだと1対1の対応がどうしても増えるので、個々の勝負で負けると厳しいところがる。
 また、ジェフ戦でも押し込まれる時間が長かったように、守備時のバランスを保つのが難しいところがありますね。
 オシム監督時代のジェフもマンマーク主体でしたが、走力で負けると全体が押し込まれ、押し返しづらくなる傾向がありました。


 金沢の守備の問題もあって、ジェフは相手を押し込む時間がいつもより長かった。
 エスナイデル監督時代からそうですが、ジェフは相手を完全に押し込むと強いところがある印象です。
 1対1の仕掛けで攻撃を作れる選手が多いし、前を向けばよいパスを出せる選手もいる。

 そのため、中盤から後方で自由にやらせてもらえると、優位に戦いやすいということなのかもしれません。
 ただ、普段はその前のビルドアップの時点で苦戦することが多いので、相手を押し込む前段階で止められることが多い。
 あるいは、相手のプレスをうまく回避できないので攻撃を制限されてしまい、高い位置まで持ち込めても窮屈な攻撃になってしまう傾向がみられるように思います。


 さらにこの試合では、相手を押し込んだ状況で、ボランチに入った工藤が自由にボールを持って展開することが出来た。
 相手の中盤から前の守備が激しければ、あそこまで工藤のパスセンスも活用できなかったかもしれません。
 しかし、金沢の中盤は低くなりがちなので、ジェフのボランチエリアにスペースが出来がちだったように思います。

 これに関しては、もしかしたらジェフのスカウティングがうまく機能したところもあって、金沢の中盤は押し込みやすいのでボランチに工藤をという狙いだったのかもしれません。
 また、一方で守備に関しては不安もあって、相手のフィジカルに苦しみ工藤がボールを失うシーンもありました。
 また、相手のボランチにボールを持たれる時間帯もありましたが、何とか全体で走ってカバーできた試合と言えるのかもしれません。


 さらに、久々のスタメン起用となった船山も、前線でよく走っていたと思います。
 ボランチの工藤が機能して、前線の船山も攻守に効いていたことによって、センターラインがいつもよりも強固になった。
 そこも金沢戦がうまく言った要因ではないでしょうか。

 ただ、工藤はボランチとしてはサイズの面で不安があるし、相手を押し込めず前を向けなくなると苦戦するかもしれない。
 それだけにこの試合だけで光明が見えたとは、言いにくいところもあると思います。
 この日の金沢はアウェイということもあってか、そこまで調子が良くなかったようにも見えましたし、柏や山口ほどの激しさや強さは感じなかった。

 しかし、今日のジェフはチーム全体が最後までしっかりと走れていたと思うし、球際でも戦えていたと思います。
 メンタル的に下降気味だったのかなとも感じていましたし、そこを脱せたのであれば良かったですね。
 これを最後まで続けられるかが、注目ではないかと思います。

何をしたいのかわからないまま11月へ

 山口戦後、似た者同士の戦いになったものの、相手の方が選手の強みを活かせたのではないかと話しました
 どちらもプレッシングサッカーと言えるのではないかと思うのですが、山口は前線の宮代と三好がしっかりと強度なプレスを継続できていた。
 そこで思ったのですが、以前にも指摘したように、そもそもクレーベを起用してプレッシングサッカーを構築しようというのが無理があることなのではないでしょうか。

 さらに言うと、今季はエスナイデル監督でスタートしたはずですが、エスナイデル監督は最後までハイプレス・ハイラインを実施したかったのだろうと思います。
 しかし、そのためには前線から追い続ける選手が必須なはずで、クレーベでは厳しかったのではないでしょうか。
 クレーベ獲得時に、私はこのような話をしています

動画を見てみると、188cmの長身ですが足元でのシュートがうまく、直接FKも蹴るようです。
また、空中戦で競り合うときに身体がぶれない印象があり、体幹も強い選手なのではないでしょうか。
ただ、自分で突破するような動きは見られず、敏捷性に優れた選手ではないようにも見えます。
(中略)
今年もハイプレスを実行するのであれば守備力やスタミナなども求められると思うのですが、スピードがないのであれば守備面が不安材料になるのかもしれません。

 動画で見た限りではありましたが、強さがあり足元の技術もある選手。
 しかし、スピードがあるタイプではないように見えたで、この段階ですでにハイプレス実施には不安が残るのではないかと話しています。
 また、「他にCFタイプがいないだけに、もしクレーベが外れたらどうするのか」とも書いています。

 クレーベは期待以上の得点力を見せてくれているとは思うのですが、それ以外においては予想通りだったのではないかと思います。
 ようするに加入前から、守備への不安は考えられたことであるということ。
 エスナイデル監督の方が江尻監督以上にハイプレスへのこだわりを持っていたと思いますし、もしエスナイデル監督が続投していたらさらに悩ましい状況になっていたのかもしれません。


 改めて、フロントは今季のチームに対して、何を期待したのでしょう。
 そもそもエスナイデル監督のハイプレス・ハイラインは昨年の段階でほぼ実現できていなかったわけですが、それ以外のサッカーをするのであればエスナイデル監督である必要はないでしょう。
 その上でそのサッカーにそぐわない選手をさらに補強しているとなれば、うまくいかないのも自然な流れ。

 昨年までラリベイ、町田でプレスをかけていたところがあるわけですが、2人が抜けても継続的にプレスをかけられる選手の補強はなかった。
 本気でハイプレスを実現するのであれば、山口の前線のように走れて追える選手が何人も必要だったはずですが、それもせずにハイプレス・ハイラインを期待していたというのであれば、計画性がないと言わざるを得ないのではないでしょうか。
 もちろんエスナイデル監督からの補強オーダーもあったのかもしれませんが、2年目でうまくいかなかった監督を3年も引っ張った時点で、フロントが主導して改善を図らなければいけなかったはずです。


 その上でさらに、今季途中から指揮を執っている江尻監督に対しても、何を求めていたのかはっきりとしない。
 高橋GMと江尻監督のコメントからはスタイルの継続を目標に掲げたようにも思えますが、そもそも2年以上うまくいかなかったスタイルを継続するというのが無理難題だし、エスナイデル監督を解任した上で継続を目指す必要性がわからない。
 結果的に江尻監督就任以降は、目指すべきスタイルや目標もはっきりとせず、やたらと長い消化試合になってしまったように思います。

 11月に入って残り4試合となりますが、結局今季は何をしたいのかわからず、江尻監督に何を求めたのかもわからないまま、シーズンが終わってしまいまそうです。
 残り試合でそれが見つかるとも思えませんし、江尻監督自身も何をしたいのかが見えてこなかった。
 もはやチーム単位ではなく、選手個々や局面で来季につながる何かが見つかれば…という淡い希望を抱く段階にあるある印象ですが、それすらも厳しい状況ということになるのではないでしょうか。


 さて、ジェフの残り4試合を確認したいと思います。

11月3日(日)  金沢  フクアリ 10位
11月10日(日) 東京V フクアリ 13位
11月16日(土) 京都  たけびし 7位
11月24日(日) 栃木  フクアリ 21位
 11月はホームでの試合が多い上に、中位以下のチームとの試合が主となります。
 最後の月に勝ち点を稼げるでしょうか。

 ただし、京都はPO圏を争う位置にいますし、栃木も残留争いに残っている可能性があります。
 さらに、東京Vとは激しい試合になることが多いイメージも。
 そして、現在10位の金沢も良いチームになっていると思います。


 14勝14分10敗の勝点56で6位岡山との勝点差7と、PO進出は厳しくなってしまった金沢ですが、前々節は山形に1-0、前節は長崎に4-2と現在2連勝中です。
 クルーニー、垣田、小松など長身FWへのロングボールとサイド攻撃が印象的ですが、それによって相手を押し下げるとしっかりと楔のパスからの攻撃も展開できるチームとなっています。
 カウンターからも遅攻からも、明確な狙いを持ったサッカーが構築できていると言えるのではないでしょうか。

 さらに守備時もプレスとリトリート守備を使い分け、GK白井やCB山本を中心に粘り強く守っている印象です。
 中盤が若干押し込まれやすい気もしますが、攻守において真面目にサッカーをしているチームと言えるのではないでしょうか。
 基礎がしっかりとしていてやるべきことをやるチーム作りをしていることもあって、垣田、大石、山本、石尾、大橋、小島、長谷川など、多くの若手選手が伸びているチームでもあると思います。


 対するジェフは、2連敗中。
 しかも、失点が非常に多い状況になっています

10月6日(日)  千葉 1-4 山形
10月12日(土) 長崎 0-2 千葉 
11月20日(日) 千葉 0-3 柏
11月27日(日) 山口 2-3 千葉
 こちらは10月の成績ということになりますが、2-0で完封勝利を遂げた長崎戦以外は全敗。
 しかも、3敗ともに3失点以上と、酷い成績になっています。
 単純に局面の守備が緩く、組織的にも問題がある印象です。


 また、細かいところで言えば、ジェフの選手と選手の間を取られて失点することが多いように思います。
 例えば柏戦では熊谷が米倉に譲るような形で江坂にミドルシュートを放たれ、船山とエベルトがお見合い状態になって三原に間を取られて失点。
 さらに、山口戦でも米倉とアランの間を通されて、高井にゴールを奪われています。

 それだけマーク役の選手が集中力を欠き、粘り強く守れていないという問題が1つ。
 もう1つにはチームとして、チャレンジ&カバーの関係が作れていないのではないかという疑問があります。
 それは守備においては基礎中の基礎だと思うわけですが、それすらできていないチーム状況になっているということなのかもしれません。


 細かなことを言っていてはキリがないとも思いますが、その細かなことが出来ていないのが現在のジェフ。
 やるべきことをやれていない、戦うべきところで戦えていないということになれば、結果が出ないのも当然のこと。
 基礎を大事にしている印象がある金沢とは、対照的なチーム状況となっているのかもしれません。

 そこはチームビルディングや組織的な問題も、大きいのではないかと思います。
 その一方で、選手においては気持ちの面で、問題が起こっているのではないかといった印象も受けます。
 ただ、そこは選手個々の問題、あるいはリーダーシップの問題なども大きいと思うわけで、チーム作りの部分とは別に考えるべきではないかとも思います。


 個人的には山口戦前にもすでに考えていましたが、バッサリとメンバーを入れ替えてもいいのではないかと思います。
 気持ちは入っていないけれど能力が高いので残している選手もいるのかもしれませんが、それではチームのためにも個人のためにもならないのではないか。
 しかし、負けるのが怖いので、大鉈を振るうことはできないということでしょうか。

 けれども、このままでは江尻監督は、今回監督に就任をして何も出来なかったことになってしまいます。
 最後くらいは、漢気を見せるべきなのでは…と個人的には思います。
 厳しい状況には変わらないでしょうが、残り4試合はそれぞれのプライドと将来をかけて戦ってほしいですね。