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ちばぎんカップでCBチャンがスタメン出場

 尹監督就任で新チームとなったジェフ。
 注目されたちばぎんカップのスタメンですが、CBには新加入のチャンが左CBに入りました。
 しかし、結果的には残念ながら2失点に絡み、ほろ苦いスタートとなったといえるのではないでしょうか。

 チャンに関しては、サッカーマガジンこの記事で取り上げられています。
 コメントの部分を一部引用させていただきます。

「キャンプでやれたのは短い期間ですが、それでも合わせてきたと思っていましたが、まだまだ不足しているものがあるんだなと感じました。(守備面の問題点は?)組織力ですね。カバーのタイミングが合っていなかった。1失点目はとくに」

 あのシーンを、カバーリングでどうにかしようという発想なのでしょうか。
 尹監督も失点に関してコメントを求められ、「スペースをカバーしなければいけない」という話をしているので、チームとしてそういった考え方なのかもしれません。
 熊谷も「ラインコントロールで防げた」と話していますし、組織で対応できたということなのか。

 ちなみに、カバーリングという言葉をおさらいするためWikipediaを見ると、こう説明されています。
 サッカー用語などの基礎を学び直すには、意外とWikipediaが充実している印象です。

カバーリング(Covering)あるいはカバー(Cover)とは守備の空いているスペース(空間)を埋めることである。直接ボールを奪うプレーではないが、相手選手のプレーの選択肢を狭めスペース(ディフェンスのいない空間)を有効活用させないようにして攻撃を阻むことが出来る。

 その上で失点シーンを振り返ると。

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 素早く戻れば、カバーできたのかもしれない。
 しかし、そのために1人だけ下がってはラインが凸凹になりますし、全体で下がらなければいけなかったことになります。
 だから、組織で対応するためには、熊谷のいうように全体のラインを下げて対応すべきだったように思います。

 しかし、一度は中盤でボールを奪って田坂が縦パスを出し、クレーベが追う展開だったので全体のラインが上がっていた。
 さらに、クレーベが戻らず本来FWがいるべきエリアががら空きでしたから、この状態でラインを素早く下げても中盤が間延びしてしまうし、現実問題としてDFラインを下げる動きは間に合わなかった可能性もあると思います。
 一言でまとめると相手のカウンター状態になっていたわけですから、基本的には個々で対応するしかなかったのではないでしょうか。


 そう考えるとこの状況において最終ラインで必要だったのは「カバー」ではなく、オルンガを1人がしっかりと「マーク」しなければいけなかったはずで、状況からすればチャンがオルンガを見なければいけなかった。
 チャンはボールが出た一歩目の対応で半歩、オルンガに後れを取っていた印象で、そこでまず後手を踏んでしまいました。
 ようするにパスが出た時のポジショングが悪かったように思います。

 ただし、江坂にはプレスがかかっていない状況だっただけに、相手のタイミングでパスを出せた。
 そうなると、CBとしては不利になりやすい状況だったわけですから、チャンにとっても非常に難しい状況だったと思います。
 そのため、組織面の問題で言えば、やはりプレスがかかっていなかったことが一番の課題だったのではないかと思います。

 ちなみに、オルンガはこのゴールの時のように、裏への飛び出しやポジショニングなどもうまい選手。
 高さだけでなく前へも強さがあるのがオルンガの怖さであり、クレーベには若干物足りなさも感じるところです。
 1人で相手をなぎ倒した突進が出来るので、カウンターでも脅威を与えられる選手ですね。


 また、この場面でのチャンは一歩目の対応だけでなく、スピード面でも問題がありオルンガに追いつけけなかった。
 オルンガやクリスティアーノにも高さがあるため、高さやサイズ面でも小さく感じたチャンですが、このシーンを見返してもスピード面もあまりないのかなと思います。
 もちろん一歩目で先を取られているのですから、スピードがあっても潰せなかった可能性はあるとは思いますが、ポテンシャル面においてそこも課題なのかもしれません。
 
 チャンはこのシーンだけでなく、2失点目でもクリスティアーノをサイドまで追いやったにも関わらず、そこから完全に抜き去られてやられてしまいました。
 確かにオルンガ、クリスティアーノは驚異的な個の能力を持っている選手ですが、昨年まではJ2でプレーしていた選手。
 今年もウタカやジュニオール・バホス、ファンマなどとマッチアップしなければいけないわけですから、あまり言い訳を与えたくはないですね。


 失点時においては課題が出てしまったようにも思いますが、決してチャンも悪いプレーばかりではなかったと思います。
 尹監督も一耀とのCBコンビに対して「少しずつ試合に慣れていった」と話しているように、徐々にチャンも良くなっていった印象もありました。
 若いCBではありますが、そこまでバタバタしていたわけではなく、安定感のあるタイプなのかもしれません。

 一番印象的だったのは、55分に難しい体勢から利き足ではない左足で鋭い楔のパスを船山に送ったシーンで、両足でボールをさばける選手なのかもしれません。
 予想以上に技術力のあるCBで、そこを評価されて左CBで起用されたのかもしれません。
 少なくとも昨年同ポジションでプレーしていたエベルトなどよりは、足元が器用なCBではないでしょうか。


 一方でラフなボールへの対処や浮き球のボールへの落下点への入り方などには、不安な部分も感じました。
 後ろを向いてボールをさばくような場面でも、危なっかしいところがありましたね。
 この辺りを経験を積むことで、どこまで対応できるようになるかが、序盤戦での一番のポイントとなるのかなと思います。

 他方、気になるのは、岡野がベンチ入りすらしていなかったこと。
 この日の控えCBは増嶋ですが、増嶋は自分のタイミングで深くラインをコントロールする傾向もある印象ですので、尹監督のコンパクトなサッカーには合わないのではないかと思います。
 さらに全体的にガツンと潰せる選手が少ない印象で、チャンもそういったタイプのCBではないように見えます。

 その点で岡野に期待したいところもあるのですが、尹監督のお眼鏡にはかなわなかったのか、あるいはコンディションに何かしらの問題があったのか。
 もちろん岡野にも課題はあって、足元の技術や安定感という意味ではもう1つなところもあるのかもしれませんし、そこを問題視されたのか。
 いずれにせよ、現時点ではチャンが一耀のパートナーとして第一候補なのでしょうし、チャンがJ2に慣れてどこまで改善されるのか気になる状況ですね。

長期離脱から田坂が復帰し柏戦でスタメン出場

 昨年右膝前十字靭帯を損傷し、全治7か月の大怪我を負った田坂が、ちばぎんカップでいきなりのスタメンを果たしました。
 まずは復帰、おめでとうございます。

 ちばぎんカップを見る限り、ジェフは前線からある程度追いかけてコースを限定し、相手の左サイドにボールを展開させる。
 そして、左サイド後方で相手選手がボールを持ったら一気にプレスをかけ、それに周りの選手が連動して動く守備を狙っていたように思います。
 そのファーストディフェンスを任せるために、田坂が右SHで選ばれたのではないでしょうか。


 田坂自身は頑張っていたとも思うのですが、もう一歩寄せが甘い場面も何度かあった印象です。
 復帰直後というのもあるのかもしれませんが、万能なプレーヤーではあるもののもともと守備的な選手ではないですし、そこまで守備で多くを期待するのは難しいのかもしれません。
 しかし、他に守備的なSHがいないため、大ベテランの田坂にその重役が回ってきたのではないかと思います。

 例えば45分には船山と囲いに行ったプレスが甘く、間を取られて三原にフリーでボールを持たれてしまいました。
 この日のジェフは連動して守る守備を目指しているせいか、同時にプレスに行って動きが被ってしまうことも多かったですね。
 千葉テレビで解説をした勇人も話していましたが、1人が寄せに行って1人がカバーするのが守備の基本だと思いますし、この辺りは連携が深まれば改善するのでしょうか。


 また、50分にも田坂の寄せが一歩甘く、江坂にクロスを上げられる場面がありました。
 これに関しては、体力的な問題もあったのでしょうか。
 ただ、他に守備的なSHが少ないだけに、スタミナ面も含めて悩ましい問題ですね。

 今回は45分の場面を図にしてみました。

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 目立たないシーンですが、ここも見どころが非常に多く、まずクレーベがチェックに行ったもののかわされ、船山が代わりに追いかけて行きました。
 そして、古賀のところで、船山と田坂がプレスに行くのですが、簡単にかわされ三原に繋がれてしまいます。
 三原は大きくサイドチェンジして、高橋がボールを受けて攻め込むという流れでした。


 前半終了間際で2点差がついていたこともあって、高橋は無理に攻め込まなかったので、大きな問題にはなりませんでした。
 しかし、黄色い四角で示した通り、逆サイドには大きくスペースがあった。
 柏はこの場面に限らず、左右の開いたスペースを狙っていた印象がありましたね。

 今季のジェフはプレスに連動して、他の選手も寄せていき、全体をコンパクトに守ろうとしています。
 それによってボールのあるエリアは選手が密集しますが、逆サイドなどは空いてしまうことが多い。
 だからこそ、局面の寄せが大事で、そこでボールを奪わないにしても簡単には展開させないようにしなければいけないはずですが、クレーベや田坂などに限らずそこが足りていなかった印象です。
 

 また、この場面では古賀に田坂がプレスに行った動きに連動して、米倉もボールサイドに近い瀬川へ寄せに行っています。
 これが試合後に書いたプレスに連動した2人目、3人目の動きで、こうやって周囲の選手もしっかりと捉えることで、近くにパスを出させない守備を狙っているのだと思います。
 しかし、柏のインサイド江坂はその動きをしっかりと分析し、その裏を走り込んでいきました。

 この動きに対して、対面の熊谷がつられて下がってしまった。
 これとクレーベ、船山がスタートポジションにいなかったこともあって、黒い四角のエリア…ようするにFWとMFの間が、ぽっかりと大きく空いてしまったことにもなります。
 SB裏や中盤を取られないようにするためにも、やはりプレスに行った時には局面への圧力が必須ですし、特に2人以上で囲った時には躊躇なく潰しに行かなければいけないと思います。


 私も立ち上がりは良いプレスが出来つつあるのかなとも思ったのですが、それは柏がジェフの出方を見ていたか、ジェフの守備に戸惑っていたところがあったのかもしれません。
 しかし、上記のようなシーンではしっかりプレスの弱点を突くなど、ジェフのプレスに慣れて対策を取っていった。
 こうやって相手に研究されていくのでしょうから、その後にどう戦うのかも重要となってきますね。

 田坂に関しては、川崎から加入した時に「町田の穴埋めではないか」という話をしていたのですが、それが1年越しに当たったことになるような気もします。
 そして、尹監督はやはりSHに、何でもできるオールラウンドな選手を置きたいのだろうなとも感じました。
 プレスのスタートにもなる上、攻撃時もサイドで三角形にパスを繋いで、持ち上がる狙いのようにも見えましたから、SHにはより中盤的な仕事を期待したいのでしょう。


 ただ、問題なのは、そういったタイプが少ないことではないでしょうか。
 為田、堀米などは純粋なアタッカーといった印象ですし、田坂も工藤もベテランでコンディションなどには不安が残るかもしれません。
 田口や小島などを、SHに回すことなどもあり得るのでしょうか。

 しかし、ひとまずは田坂が、どれだけ多くのタスクをこなしてくれるのかという状況なのかなとも思います。
 ただ、ベテランですからうまさはあるけれど、プレスをかけるアグレッシブさやスピード感はもう1つだったようにも見えました。
 そこをどう補うのか…ということになるのでしょうか。