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『オシム監督への挑戦』のスタート

 一昨日の深夜、NHKで『オシムの改革』放送されました。
 改めて番組を見ると懐かしさや当時の感動を思い出してしまったのですが、それ以上に感じたのが悔しさのようなもの。


 あれだけの成功を収め、喝采を浴びたジェフがなぜこれほどまでに苦しんでしまったのか。
 オシム監督の築きあげたものを活かせなかったのか。
 そういったことを考えてしまいました。




 オシム監督があのような形でチームを離れた直後、ジェフはオシム監督の影をそっくりそのまま追ってしまったのではないかと思います。
 特に成績とカリスマ性の問題。
 ここがアマル監督就任直後、大きな差となって表れてしまった部分だったんだと思います。
(一方、現在の日本代表の場合はオシム監督の頃にそこまでの成績が出ていなかった分、岡田監督への移行の中でそこまで大きな問題が発生しなかったのかなと思います。カリスマ性だとか人気の部分で問題が出ている感じはしますが。)
 もちろんその2つの要素だって重要な部分ではあったはずですが、主力選手の移籍や日本代表選手のコンディションなども含めて考えると、総合的に見て公平な評価を受けていたようには私には見えませんでした。


 戦術などに関して批判する人も多かったですけど、実際のやり方に関しては大きく変わっていなかったと思います。
 なぜか中島、楽山、山岸あたりの起用を槍玉に上げる意見が多かったのですが、彼らはオシム監督にも非常に高く評価されていた選手達。
 山岸はそのまま日本代表にも選ばれ、最近のインタビューでも現代表には山岸が必要だといっているくらいです(笑)


 「新居を起用せよ」という声も多かったですけど、アマル監督が指揮を執った06-07のJリーグはちょうど3バックから4バックへトレンドが移行していた時期でした。
 オシム監督のマンマークディフェンスは相手が4バックの時は3トップになる形で、そのままでは新居を使うことは困難でした。
 そこでアマル監督はシーズン途中から新居を活かすためにゾーンディフェンスに変化させていったわけですが、それに対しての評価はほとんどされることなくチームを去ることになってしまいました。



 アマル監督後のジェフは「オシム監督を追っていた」というよりは、むしろ「オシム監督から逃げていた」んだと思います。
 いや、アマル監督への批判が強まっていた頃から、ある意味で逃げていたのかもしれません。
 高質なモノを継続するというのはそう簡単なことではなく、ジェフは我慢しきれなかったということではないでしょうか。
 けれども、その結果その後のジェフはチームの方向性、サッカーのスタイルがフラフラして定まることはありませんでした。


 「オシム監督の後は何も残らない」だとか「ジェフのような小さなチームではオシム監督のような偉大な監督は逆に被害を与えてしまう」なんて意見も聞きましたが、私はそうは思いません。
 一度チームが大きな成功を成し遂げれば、どうしても問題は出てしまうもの。
 問題はその後のあり方にあるんだと思います。





 昨年途中から江尻監督が就任。
 結果として、一回りしてオシム監督に近いサッカーを目指すことになったんだと思います。
 そういったサッカーこそがジェフというクラブにとって一番フィットするサッカーであることを、改めて感じる機会になるのではないかと私は感じています。


 江尻監督が就任して「オシム流の復帰」だとか「オシムサッカーへの原点回帰」ということをマスコミに言われ、それを嫌う意見もありました。
 私もアマル監督の頃の経験もあるからこそ、その気持ちはわかるのですが、しかしあの頃とは状況が違うと思います。
 アマル監督の時はベースはオシム監督が作ったチームだったら、ちょっとした変化でも指摘され、批判も出ていたと思います。
(もしオシム監督の直後だったら、江尻監督だって批判の矢面に立たされていたかもしれませんね。)


 しかし、今のチームはあの頃とは違ってベースも大きく変わり、長い年月が経ちました。
 選手も大きく入れ替わっていますし、同じコンセプトのサッカーをするにしても、そのままそっくり同じサッカーとはならないでしょう。
 オシム監督の頃に近いサッカーを目指しても、決しておかしな批判や比較が起こることはもうないんじゃないでしょうか。



 そういったことを総合的に考えると、そろそろ準備が出来たころではないかと。
 オシム監督の影をそのまま追うのではなくオシム監督から逃げるのでもなく、オシム監督の頃のような面白い攻撃サッカーでオシム監督に立ち向かう準備が。



 結局のところ、どうやったってもジェフはオシム監督の頃の栄光と比べられてしまうことになるはずです。 
 サポーターも含めた当時からのジェフ関係者も、あの頃のチームというのは忘れたくても忘れられない思い出だと思います。
 それだけのインパクトがあったはずだし、実際に結果も残しているわけで。


 それならばもう我々に残された選択肢はただ1つ。
 オシム監督の頃のチームに挑戦にし、それと同等かそれ以上の成功を収めること
 それこそがジェフがオシム監督といい意味でけじめをつける、唯一の方法ではないかと私は思います。
(成功とは何かという点については今回あえて触れませんけど。)



 確かに簡単なことではないはずです。
 数年ですぐに成し遂げられることでもないと思います。
 けれど、あの頃よりもサポーターは増えたし(今期の観客動員数がどうなるかはわからないところがあるけど)、資金力もあるし、立派な練習場もできた。
 全てがあの頃よりも劣っているとも思いません。


 ちばぎんカップや練習を見ても戦術家としての江尻監督には可能性があると感じています。
 若干心配なのが経験不足の問題と選手育成の能力。
 特に育成能力に関しては、再びジェフが成功するためにも非常に重要なポイントであるはずですからね。


 
 とはいえ、私は決して可能性は0ではないはずです。
 フロントからはACL出場を目指すという話しも出ていますが、その前にまずはやるべきこと、けじめをつけなければいけないことがジェフにはあるのではないかと思います。


 まずは明日の熊本戦。
 『オシム監督への挑戦』のスタートとして、素晴らしい試合を期待したいと私は思います。