アムカル・ペルミ対アラニア・ウラジカフカスの試合。
スタメンで出場した巻は後半17分に交代。
悔しかったのでその時点で寝ようと思ったのですが、巻に変わって入ったヴォルコフ(先日巻のライバルになるのではないかと言っていた選手です)が投入直後に直接FKを決めて、その後のプレーが気になったので、つい試合を見続けてしまいました(笑)
試合の方は、その得点を守りきったアムカルが1-0で勝利という結果になりました。
■信頼を徐々に勝ち得てきた巻
前半2分。
巻は後方からのくさびのパスを受け、左に叩き、前線に走り込んでまたボールを受けようとする動き(残念ながらオフサイド)を見せます。
当り前のプレーではありますか、この流れで2度も後方からボールが入ってきたことを考えても、デビュー戦だった前節に比べ巻への信頼は高まっているのではないかと感じました。
巻はその後も精力的に動き回り、後方からのボールを引き出そうとしていました。
前半9分には前線のパートナーであるクシェフが前線から下がってボールを受ける動きをし、最終ラインが凸凹になったところで巻が裏を抜け出そうとするシーンも。
あと半歩…というところでパスが合いませんでしたけど、可能性は感じるシーンでした。
その直後には中盤からのロングボールに抜け出して、オフサイド…というプレーも。
オフサイドは残念ですが、しっかりと中盤の選手が巻の飛び出しを見てくれるようになったのだなと感じました。
前半15分過ぎ。
右サイドの選手が裏に飛び出し、
グランダーで中央にいた
クシェフにセンタリング。
しかし、これが相手選手にあたって軌道が変わると巻の前に転がり、巻は右足でダイレクトシュート。
相手DFにシュートコースを消されて大きく外してしまいますが、1つの見せ所はつくれたんじゃないでしょうか。
その後も前節はなかったゴールキックのターゲットに数回なっていましたし、前節に比べればしっかりとボールがまわってくる印象を受けました。
■前節に比べて良い状況
チーム全体としても、前節のアンジ戦に比べればだいぶ内容が良くなっている印象でした。
まず、DFラインが押し上げる位置がかなり高くなっています。
これによりカウンターへの守備の対応や攻撃面でのサポートも改善され、前節より締まりのあるサッカーになっていたと思います。
局面でのプレーの淡白さも少なくなり、全体的に見ればアムカルが勝ちに値するサッカーをしていたのではないでしょうか。
ただ、このあたりの改善が練習によって良くなった部分なのか、ホームだから良いサッカーが出来たのかは、2試合しか見ていない自分にはわからないですけどね。
アウェイに比べホームでの勝率の方が良いようですし、もしかしたらアウェイだから前節は良くない内容で、今回はホームだからまずまず良いサッカーだったのでしょうか…。
そうなのであれば、今後もアウェイの戦い方には不安が残りますね。
退いて守る形が作れているのならまだいいのでしょうけど、前節を見る限りでは守備陣がずるずると下がるだけで、相手にスペースを与えることになっていましたし。
それと、中盤の守備でマークが遅れるシーンが多いこと。
DFラインからのビルドアップが効果的にできていないこと。
攻撃のラストプレーに関する質の問題などに関しては、まだまだ課題のあるチームなのでしょうね。
前回も言いましたがボールを失うことが多いのは、ロシアサッカーがそういったスタイルなのではないかと思います。
良く言えば「ボールを失うことを恐れない」ということですね。
積極的に前に運ぼうとするプレーに関しては、ミスをしても許されるということでしょうか。
逆に言えば(特に中盤で)雑なプレーが多いようにも見えてしまいますが…。
特にアムカルはアンジ戦に続きこの試合でも相手より背の高い選手が多いように見えましたし、繊細なサッカーよりはガツガツと行くサッカーを目指しているのかもしれませんね。
■巻獲得の理由
後半22分。
巻との交代直後に直接FKを決めたヴォルコフ。
スピードもありしっかりチェイシングもするFWで、なぜ巻が必要だったのかな?と思っていたのですが、試合が進むにつれなんとなくそのあたりの理由がわかった気がします。
もう1人のFWであるクシェフは、175cmのヴォルコフが投入された後も下がってボールを受けるプレーを頻繁にしていました。
188cmの長身FWなので「巻が加入したからそういった仕事をやってくれているのかな?」と思っていたのですが、そうではなくこれが彼のプレースタイルのようですね。
すると、どうしてももう1人のFWが前線で体を張らなければいけない。
しかし、ヴォルコフはそういったタイプのFWではないようで、この試合でもくさびのパスを受けても何度かボールを失ってしまっていたし、サイドに流れてゴール前に人がいなくなるシーンもありました。
(無責任ながら、サイドで使ってみればいいのでは?と思ってしまったのですが、そこまで器用な選手ではないのでしょうか。)
そこで、体も張って前線で動き回れる(裏も狙える…という印象なのでしょうね)巻を補強したのでしょうね。
しかも、アムカルはサイドから攻撃を作る意識が強いチーム。
ヴォルコフではクロスに合わせる形はあまりないのでしょうし、キャプテンで実績も十分あるベテランクシェフとの相性を考えると巻の適切な補強だったのかもしれませんね。
とはいえ、ライバルの得点で、巻も結果を残してより周りの信頼を確固たるものにしたいところです。
チームとしてもまだ巻をどのように活かすのか、細かな部分は作りきれていないように感じましたし(この試合でも巻の基本タスクは走り回って裏に抜けることではありましたが)、1点でもゴールを決めることで“巻の形”を周りに見せつけ、ゴールまでの形を作っていきたいところではないかと思います。
考えられる得点パターンとしては、当然1つはクロスからの形でしょうね。
後半にも一度「もう1人相手選手を超えれば…」というクロスが左サイドからきていましたし、巻としてはクロスのターゲットに回数を増やしていきたいところではないでしょうか。
それともう1つはスルーパスなどに反応して裏を抜ける形なのでしょうね。
Jリーグの頃はあまり考えられませんでしたが、前線で継続的に動き回り、裏を狙い続けるプレーはロシアリーグのDFもかなりマークがつかみにくそうな印象を受けます。
もしかしたらヘディング以上に裏を抜けるプレーが、ロシアでの巻の持ち味になっていくのかもしれませんね。
この試合では味方選手にボールを要求していたシーンがかなり目立ちましたし、実際前節よりもボールは確実に回ってきましたから悪くない状況ではあると思います。
試合にも勝利しましたし、残留というのチームの大きな目標にとっても良い試合だったのではないでしょうか。
…巻のライバルがゴールを決めたということを除けば(笑)
ただ、ヴォルコフもこれまで11試合に出場していますが、まだ2ゴールしか上げていないようで、まだそこまで焦ることもないんじゃないかと思います。
実際、得点後のプレーは良い部分よりも、噛み合っていない印象の方をうけましたしね(彼自身が悪いのではなく、使われ方の問題だと思います)。
巻としては、まずは何よりも自分らしさを出していくことが重要だと思いますし。