長谷部監督にとっての初陣となった、横浜FC戦後のコメントです。
佐藤優也や長澤も守備を意識し過ぎたと話しており、特に前半は受けに回ってしまったところがあったように思います。
相手がボールを持てば前に出ていく守備をしていましたが、攻撃時には前に出ていく選手が少なかったですし、守備時のポジショニングを意識し過ぎていた印象もあります。
ロングボールが多かったのも、リスク回避の意味合いが強かったのかもしれません。
ただし、前節清水戦では、4失点をしていること。
前週の3連戦では合計7失点し、6月8日の山形戦から完封試合がないことなども考えると、守備の意識が強まるのもある程度は仕方の部分もあったのかもしれません。
監督が変わっての初戦となりますし、清水戦終盤での逆転負けの影響もあったのかもしれませんね。
特に守備に追われていたのが、井出だったのではないかと思います。
サイドへのスライドも行い前にも出ていく仕事を任され、広い範囲を井出が守っていた印象でした。
その分、攻撃で力を出し切れなかった部分も、あったのではないかと思います。
しかし、関塚監督の意向もあってか、今年は前方の選手に縦へ自分で仕掛けられる攻撃的な選手が多い。
その分、今年は攻守に貢献できる選手や、水を運ぶような周囲のために犠牲になれる選手が少ないように思います。
守備やサイズの面において課題があるため、前方の4枚のうち誰かが体を張って守るという仕事もしなければいけないのでしょう。
また、左サイドは阿部の活動量が上がってこないので、左SHがそのサポートもしなければいけないように思います。
エウトンが投入された際に船山が左サイドに回ったのも、町田より下がっての守備が期待できるという考えがあったのかもしれません。
その分、阿部が攻撃で効果を発揮できればいいのですが、横浜FC戦でもパスが引っかかったり上がりが遅かったりと、攻撃でももう1つだったところが残念ですね。
かといって、阿部の代わりになる左SB候補も少ないというのが悩ましいところですが。
長谷部監督は守備の課題に関して、「横浜FCのSBが高いポジショニングをしてきてそこを追わされてしまったこと」。
「中央で引きすぎてしまってしまったこと」を、課題として上げています。
確かにこの2つの課題が、目立っていたように思います。
特に相手の左SBに対しては長澤と丹羽が相手のSHやFWに食いつきすぎて、相手SBへのマークの受け渡しがうまくできていなかった印象です。
積極的にチェックに行ってボールを奪えるのであればそれでいいのでしょうが、奪いきれない時にどうするのか。
奪いに行くか、行かないかの判断の意思統一も、重要だと思います。
また「中央が引きすぎてしまった」ことに関してはこれまでの癖というのもあるかもしれませんが、イバと大久保のポストプレーを潰し切れないこともあって、ボランチが押し込まれてしまったという点があったのではないでしょうか。
その結果、相手のボランチが前を向きやすい状況になって、ポストプレーから中盤が拾って縦へ展開するという形が作られてしまいました。
ジェフとしては相手の攻撃のどの部分で止めにいくのかをはっきりしたいところだったように思いますし、潰せないにしても遅らせる、自由にやらせないというところが必要だったのではないでしょうか。
とはいえ、長谷部監督も「後半は狙いどおり奪えていた」と話していました。
ポイントとしては前からプレスがいけるようになって、最終ラインも高く維持できるようになったことがあるのではないかと思います。
最終ラインが高く維持できれば、ポストプレーの位置も下がるため、決定打にもなりにくい。
その分、DFラインの裏を狙われることもありましたが、スピードのある2トップではないためそこまでの怖さはなかったと思います。
しかし、ラインが高い状態でも中盤は空くことがあったので、中盤のスペース管理に関しては後半も引き続き課題として感じました。
とはいえ、前半より攻守に置いて、全体的な状況は改善されていったと思います。
これが相手がリードして引き気味になったことによるものなのか、あるいはここ数戦のジェフは後半から巻き返す形になっているためなのか。
それとも新チームになって時間が経過したことによって、試合を通じて修正が出来ていったのか。
今後を考えると、このあたりが気になるところだと思います。
横浜FCからすると、特に前半は前節北九州戦と同じように2トップのポストプレーから押し込んで、中盤で拾って展開してチャンスを作ったことになります。
選手たちも調子も良さそうで狙い通りの形が出来ていたと思いますが、この形が出来たのも前節からでありそれまでは三浦カズがスタメン出場していました。
そこまでの成績も決して良くはなかったですし、中田監督になって2ヶ月ほど経ってようやく形が出来てきたと言えるのでしょう。
もちろん時間をかければ必ず良くなるというわけでもないですが、長谷部監督がじっくりチームを作り上げるタイプの監督だとすれば今から周りが焦るのも良くないはずです。
まずは守備の連係がどれだけ改善していくか。
やはりそこが気になるポイントとなっていくのではないでしょうか。