当ブログはプロモーションを含みます

キム・ボムヨンが契約満了で韓国へ

 清水からレンタルでジェフに加入していた、キム・ボムヨンが契約満了となりました。
 キムは今年3月に加入すると、すぐにスタメン起用されます。
 当初は3バックの左CBとしてプレーしていました。


 まもなくしてチームが4バックに移行し、本職である左SBに移ります。
 この時はSBながらも中央寄りの位置からボールを持ち上がり、相手のSHとボランチの間をとって、そこから前線やインサイドハーフにボールを供給するプレーで貢献。
 これで一度は定着するかと思いました。



 しかし、左SBが中央寄りでプレーすると、結果的に左SBの位置に選手がいない状況となる。
 守備時にはカウンターで左サイドのスペースを突かれ、攻撃時には左サイドでウイング1枚が孤立してしまう。
 それもあって、4バックの左CBにキムを移すことになったのではないでしょうか。


 エスナイデル監督は当初から西野を左CBで起用しており、後方の左サイドでロングボールを蹴ることが出来る左利きの選手を置きたがっていたように感じます。
 欧州では細かくパスを繋げないと、ロングボール一本で打開する策を持つチームが多いと思います。
 欧州の方がパワーがあってキック力もありロングボールで展開できる選手が多い印象がありますが、日本人にはそういった選手が少なくキムにその役割を期待したことになるのではないでしょうか。


 その分日本の選手は細かな動きに長けていると思うのですが、エスナイデル監督は基本的に細かなパスワークを構築できるタイプではない。
 そのため、キムのロングボールからの展開は、非常に貴重な武器となっていた印象です。
 長いボールで前線だけでなく、左右の奥に振り分けることができるキックが特徴的で、カウンターなどの起点となっていきました。



 ただ、守備においては最後まで問題が多かった印象です。
 CBのポジションでは相手に裏を取られると後方にはGKだけしかいない状況であるため、しっかりと相手との間合いを取って、リスク管理をしつつアタックに行くのが基本だと思います。
 しかし、キムの守備はSBでの守り方とあまり変わらず、一発でボールに行くことが多く、そこで失敗して裏を取られることが多かった。


 また体で止めに行ってしまうプレーが目立ち、ボール奪取の技術にも課題を感じ、カバーリングなどもあまり期待できなかったと思います。
 さらに181cmの身長があるものの、相手後方からのロングボールへの競り合いでは苦戦し、近藤を避けてキムのところを狙われることも目立っていきました。
 キムだけの問題ではないとはいえ、PO名古屋戦でもPKを与えてしまいましたが、軽率なプレーが多かったと思います。


 また、ロングボールでの展開は出来るものの、細かくパスを繋ぐプレーは苦手だったと思います。
 素早く散らす、セーフティーに繋ぐといった判断が出来ず、相手プレスの狙いどころとなっていました。
 攻守において安全第一が必要となるCBとしてのメンタリティが足りなかった印象で、最後までSBがCBとしてプレーしていたという印象は大きく変わらなかったように思います。



 確かにキムのロングキックが大きな武器となる試合もありましたが、守備面も考えるともろ刃の剣となっていた印象があり、CBとしての評価は難しいところがあったと思います。
 とはいえ、エスナイデル監督としては、守備などの不安はわかっていても攻撃面を期待してキムを起用し続けたのでしょう。
 攻撃重視のエルナイデル監督らしい判断で、これまでサイドでプレーし続けてきたキムとしては仕方のないところもあったと思います。


 しかし、シーズンが進んでジェフ対策が明確になり、キムが狙われることも増えていた印象でしたから、来年はさらに苦戦する恐れもあったと思います。
 キムが残留して安定感のあるCBを補強したとしても、監督は攻撃重視でキムを起用する可能性がありましたし、強化部としては悩みも多かったのではないでしょうか。
 いずれにせよ、チームとしては大久保、多々良も抜けていますし、CBの補強が極めて重要ということになりました。



 キムのコメントを読むと、兵役もあって韓国に戻るということのようです。
 キム加入時にも取り上げましたが、韓国で兵役中にサッカーを続けるためには尚州尚武牙山に所属しなければいけません。
 そして、そのいずれかのチームに移籍するためには、Kリーグの選手であることが条件となります。


 そのため、移籍する1年前からKリーグでプレーする必要が出てきます。
 兵隊チームの尚州尚武と警察チームの牙山があり、特に今季1部で戦った尚州尚武に加入するためには、実績も必要となるのではないかと思います。
 キムとしては選択の幅を広げるためにも、来季の活躍が重要となるのかもしれません。



 ただ、韓国の兵役は年齢の問題もあり、どこがタイムリミットなのかがわかりにくいところがありました。
 こちらの記事などによると、韓国での兵役は「30歳の誕生日を迎える前までに入隊」しなければならないとのこと。
 キムは現在27歳で誕生日は7月ですので、もう1年は猶予があるのかなとも思っていました。


 これがキムのコメントにある、「ジェフに残れるようクラブには努力していただいた」という話に繋がるのでしょうか。
 しかし、実際にはキムと同じ年齢で、Kリーグに戻る選手が多いようです。
 さらに調べると、以下のような記事がありました。

最後に在籍した古巣の横浜FCでは次期キャプテンも噂されたペ・スンジンだ。しかし入隊のため、急きょチームとの契約を解消。その直後、仁川ユナイテッドに電撃移籍した。『プロに参戦する軍隊チームに入隊するためには27歳前に1年以上Kリーグでプレーする必要がある』というルールがあるからだ。(FOOTBALL CHANNEL

 また、今年鳥栖から水原に移籍したキム・ミヌに関して、このような記事も。

もう1つ問い合わせが多かった点は「なぜ今、徴兵に?」という点だ。
この点は、尚武への入団の年齢制限が27歳に定められているという点が、明確な答えとなるだろう。
1990年2月25日生まれの金民友は、今年27歳になってしまう。実力を有する選手のみが入団できる尚州尚武でプレーするには、これが最後の機会、ということだ。(Number

 下の記事が確かであれば、キム・ボムヨンの場合は来年で28歳になりますから、もう尚州尚武には入団できないということでしょうか。
 それでも牙山に加入するためには、1つ前の記事のように「27歳前に1年間Kリーグでプレーする必要」があって、今年がリミットだったのか。
 そうだとすると、加入チームによっても条件が異なる、複雑な状況と言うことになるのかなと思います。


 いずれにせよ、キムは大学から直接Jリーグに加入して山形でキャリアをスタートしていますので、Kリーグは初挑戦となるはずです。
 いろいろと苦労することもあるでしょうが、ぜひ母国で頑張って欲しいと思います。
 ひとまずの日本での挑戦はここまでということで、お疲れ様でした。