大分戦ではGK大野がボールを奪われたところから、先制点を奪われています。
試合開始30秒での失点ということで、セーフティにやらなければいけない時間帯に、あれが起こってしまったことも残念です。
切り替えろと言うのも難しいと思いますので、しっかりと残り越えて成長の糧としてほしいところではないでしょうか。
先週も話しましたが、前々節の山形も1トップ阪野がチェイシングをかけて、GK大野を狙ってきた印象です。
そして、GK大野が慌てて蹴ったところから山形がボールを拾い、裏を取られてPKを与えていることになります。
結果的に2試合連続でGK大野のボール処理のところから、失点が続いてしまったことになります。
先制点を決めた三平は、このように話しています。
三平和司「アップのときにも姫野(宥弥)が「GKのところでワンチャンスあるかもしれない」と言っていたのだが、GKのところまで追いかけていったらちょっとキャッチするのが遅いなと思った。」
このコメントからも試合前から狙っていたようですし、普通なら諦める距離でも大分の選手たちがGK大野を追っていたのが印象的でした。
失点シーンだけでなく43分にも右サイドにGK大野が飛び出して最終的にハンドで相手を止めていますが、あの場面でも先に大野が落下点に入ったにもかかわらず藤本にボールを奪われています。
また、GK大野がプレスをかけられると弱いところがある問題は、起用された当初から感じられていた部分で細かなボール捌きは苦手なタイプだと思います。
もちろん大分戦でのミスに関しては本人の問題も大きいところであることは間違いないですが、一方で山形戦でもGK大野を狙われて失点しているだけに、チームとしてどういった対策を取ろうとしていたのか気になるところでもあります。
大分戦での1失点目も簡単に蹴れば済むところだったはずですし、試合前に「狙われる可能性があるから無理はするな」と指導していただけでも状況は違ったのではないでしょうか。
あるいはコーチングやパスコースの作り方など、周りの選手からのサポートも十分だったのか疑問が残ります。
また、ジェフはGKが簡単には蹴らず細かく繋ぐビルドアップを行っていますが、チームとしてそれが身になっていないため、リスクばかりが目立っている印象もあります。
例えば大分もGKからのビルドアップを行っており、GK高木の起用理由も足元の技術を見込んでのことではないでしょうか。
しかし、ジェフの1点目のように、大分も無理に繋ごうとしてミスをしてしまうケースもある。
それでも大分の場合はGKからの攻撃も作れている印象で、デメリットだけでなくメリットも打ち出せている。
ジェフ戦でも20分にGK高木からのロングフィードを受けて藤本がシュートまで持ち込んでおり、GK大野のハンドに繋がった場面もGK高木からのロングボールによるものでした。
サイド奥へのロングキックとは言え、切れないボールをしっかりと落せたのは、GK高木の技術力があったらからこそだと思います。
なお、これに関して片野坂監督もこのように話しており、チームとしての狙いだったことがわかります。
「GKの大野(哲煥)君は高い位置で背後の予測をしている。真ん中に蹴るとGKにつながってしまうので、サイドに蹴れば基点を作れるんじゃないかと、選手には判断させるようにした」
ハイライン裏の中央はジェフのGKがカバーするため、中央ではなくサイドの裏を狙う。
これは昨年のちばぎんカップから見られた傾向であり、ジェフはそこを狙われた時の有効な対策を取れていないことにもなります。
また、大分3点目のビルドアップでも高木が左から右へとボールを展開していますが、この時のパススピードが速かったのでジェフのチェイスが遅れたように思います。
さらに近くにいた鈴木ではなく一つ飛ばして奥の岩田へと展開したことで、よりジェフの守備を揺さぶったことにも繋がったように思います。
高木はこの前の段階でもワンタッチパスでボールを散らしており、後方の司令塔として貢献している印象です。
一方でジェフはチームとして細かなビルドアップが出来ていないこともあり、GKが細かく繋いでも効果的に作用していないことが多いと思います。
その上でGK大野はあまり器用な印象はないので、さらに無理に繋ぐ意味への疑問が深まってしまいます。
それでデメリットがないのであれば良いのでしょうが、実際に失点に繋がってしまったわけですしね。
大野は今日で25歳を迎えるということで、決して凄く若い選手というわけではありません。
それでもここまで公式戦出場はなかったということで、いきなりすべてのプレーがうまくいくと望むべきではないでしょう。
若手に限らずではありますが、足りない部分は周りがサポートして、良い部分を引き出していくのがチームだと思います。
エスナイデル監督は頻繁に選手を入れ替えるので、若手の出番も少なくはないように思います。
ただ、良くも悪くも年齢にとらわれず、良い選手や好調な選手を使おうという傾向が強い印象なので、若手だからサポートするという意識や若手だから我慢するという考えはあまりないのかなとも思います。
そのため他に良い選手がいればスパッと変えてしまう印象で、今年も乾や溝渕、鳥海など一度は主力になりつつあった選手がここ数戦はスタメンを外されています。
特に若手選手はの場合は例え試合に出れたとしても、そこでうまくいかなければその後に響くケースも少なくありません。
実績のある選手なら次のチャンスが巡ってくることもあるでしょうが、実績がなければそのまま終わってしまうことも多い。
それだけ慎重に支援してあげなければいけない部分があるのではないかと思います。
大野もボールへの反応やセービングなどでは良いプレーを見せていると思いますし、そういった良い部分を打ち出すためにも苦手な部分は周りが手助けしてあげなければいけないのではないでしょうか。
優也やロドリゲスも決して安定感のあるパフォーマンスを見せていたとは思いませんし、だからこそ大野にチャンスが回ってきたところもあったのだろうと思います。
このチャンスがチームにとっても本人にとっても良い方向に進むように、残り試合を頑張っていってほしいですね。