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高橋GM「監督は現状や問題点を受け入れ省みることができている」

 本日は改めてジェフの公式サイトで公開された、高橋GMのインタビューを見ていきたいと思います。
 来季における疑問点は多数あるのですが、これ以上うだうだと話しても仕方ないと思うので、とりあえずチームの総括は今回で一度締めるつもりです。
 もちろん何か大きなニュースがあれば取り上げますが、監督・GMの続投以上にチーム単位での大きなニュースはあまりないだろうと思います。



 ちなみに、何を言っても文句を言われたり、居残りのようなこともされてしまうのだから、クラブが現状説明をしなくても仕方がないという意見も出ているようです。
 私も厄介なファンの1人という自覚はあるのであまり強くは言えませんが、個人的にはクラブの利益を考えてもぶれない主張があるのであれば、しっかりとした説明をすべきだと思います。
 例えばJ2降格の決まった長崎やホーム最終戦を終えた清水は、それぞれの社長が現状を説明し、今何が足りないのかなども伝えて、今後の夢や目標といったビジョンについて熱く語っています。


 これによってサポーターやファンはクラブの現状を再認識することが出来るでしょうし、ビジョンを共有化することによって一致団結して前に進むことが出来る。
 結局、サッカーというのは勝つ時もあれば負ける時もあるわけですから、不平不満が出るのも当然でしょうし、クラブが観客に我慢を強いることもありうる。
 それでも出来限り納得して我慢してもらうためには、クラブがサポーターとしっかりと対話をして、どういった計画で運営されているのかを提示することが重要であり、それを怠るのはクラブにとっても大きな機会損失となってしまうと思います。



 そんな書き出しをしてしまったので指摘しにくい部分もありますが、高橋GMのインタビューを見ていきたいと思います。
 インタビューの要所をまとめてみました。
 どうでもいいことですが、結構番記者さんの主張の激しい記事ですね。

・昨年終盤の7連勝で、クラブに慢心があった
・僕の仕事は「補強」が大きな割合を占める
・キム、高木の抜けた穴、町田の離脱が状況を難しくした
・引き締め役の羽生、大久保、ムードメーカーのキム、比嘉の退団も影響があった


・継続理由は監督が現状や問題点を受け入れ省みることができていることと、多くの選手が監督についていけていると感じたこと
・戦力や戦い方を変える方法より、戦力や戦い方を維持して問題解決する方法を選んだ
・スタイルを確立させるという意味でも同じ監督に任せたい
・課題はたくさんあるが、すべてが「解決できる課題」だと感じた


エスナイデル監督は変わっていける、もっと成長できる
エスナイデル監督は「変わる選択」をした

 気になったのは、こんなところでしょうか。


 まずは昨年の7連勝で、クラブに慢心があったと語っています。
 では、今年は慢心がないと言えるのか。
 そして、慢心があったことでクラブはどういった失敗を犯し、今年はどうやってそれを回避するのかが重要ですね。
 監督の続投自体が、慢心の結果でなければいいのですが…。



 続いて、キムや高木の退団、町田の負傷離脱などが大きかったとも話しています。
 ただ、今年も茶島、小島、増嶋などを補強している上、為田や矢田などがレンタルから完全移籍になったため、今年は開幕時からプレーしています。
 スタイルとの相性やポジションにおける戦力のばらつきなどはあったとしても、戦力ダウンだけでなく戦力アップもそれなりに果たせていたと思います。


 何より個人的には先日も話した通り、昨年もハイプレス・ハイラインでは12位だったという認識でいます
 そのため、今年は周りからの研究が進んで苦しんだ部分もありましたが、結局は14位で結果も内容も前年と大差なく終わった印象です。
 ですので、戦力問題によって今年大きく苦しんだという印象はないですし、そもそも昨年からの引き算で考えている時点でどうなのか…といった印象もあります。


 なお、羽生や大久保などピッチ外で貢献した選手の重要性にも触れています。
 この流れからすると、もしかしたら今オフは控えでも貢献できるような選手を補強していくということなのでしょうか。
 もしかしたら、目立った大型補強は少なくなるということ暗示しているのかなとも思います。



 そして、次が一番重要な話で一番疑問点を感じたところでもあるのですが、監督を継続した理由として「監督が現状や問題点を受け入れ省みることができていることと、多くの選手が監督についていけていると感じたこと」と説明しています。
 後者に関しては印象の問題でもあると思うので置いておくとして、問題は前者でしょう。
 ストレートに言えば、エスナイデル監督で問題を解決することが出来るのか?ということだと思います。


 改めてエスナイデル監督のサッカーをざっくり振り返ってみると、昨年はハイプレス・ハイラインを実施するも8月から勝星が遠ざかり、10月から引いて守ってカウンターに移行。
 今年は開幕時に再びハイプレス・ハイラインを実施しようとしたのかもしれませんが、やはり結果が出ずにGW中にはアウェイでは引いてホームでは前に出るサッカーを実行。
 その後は中途半端なサッカーになっていた印象ですが、涼しくなったためか10月14日の山形戦から再びハイプレス・ハイラインを試したものの続く大分戦で敗れると、次の岐阜戦ではまた引いて守ってカウンターに変更したといった印象です。



 ようするに今年のジェフは戦い方が安定せずバタバタとしていた印象ですが、さらにエスナイデル監督は就任直後からシステムや選手起用も頻繁に変更しており、3バックから始まって、4バック、ダブルボランチ、時にはトリプルボランチ、ツインタワーなどなど、様々な変化を与えてきました。
 これはなぜかと考えると、本来やりたいハイプレス・ハイラインがうまくいかないため、戦い方やシステムなどを大きく変えることによって、打開しようとしていたのではないかと思います。
 それはすなわち、問題の細部を見つめて修正をする"問題解決"を目指すのではなく、大幅にチームを変えることによって問題が起こらないことを期待する"問題回避"をしてきたのではないかと思います。


 それが昨日もワードとして使った"奇跡"的にハマったのが7連勝だったのかもしれませんが、過去2年間において根本的な問題解決には至っていないし、そもそも熱心に問題解決に取り組んでもいないのではないかというのが個人的な印象です。
 ここが高橋GMのインタビューを聞いていて、一番疑問に感じるところでした。
 ただ、よく読むと高橋GMは「監督は問題点を省みることができている」と話してはいますが、「監督は問題点を解決できる」とは一切言っていないわけで、そこに関してどう思っているのか謎のままです。



 言い方は良くないかもしれませんが、さすがに少々ずるいのではないかと思うのが、「スタイルを確立させる」と話してはいるものの、具体的なスタイルに関しては一切触れていないことではないでしょうか。
 前年も途中まではハイプレス・ハイラインで戦っていたものの失敗し、終盤に引いて守ってカウンターで成功したわけですが、では、翌年はエスナイデル監督にどういったサッカーを期待するのか・期待していいのかはハッキリしていなかった。
 そして、そのまま開幕を迎えて失敗したのが今季だったという印象ですが、さらに今年はより頻繁に戦い方が変わって中途半端になっていた印象もあったにも拘らず、「スタイルを確立させる」と言われてもどの戦い方を示しているのかわからないことになります。


 当然この話は高橋GMの「戦力や戦い方を変えるより、戦力や戦い方を維持して問題解決する方法を選んだ」という話にも結び付くはずで、そもそもとしてエスナイデル監督の戦い方が安定していないのであれば、「戦力や戦い方を維持して問題解決する方法」も成立しないのではないでしょうか。
 一方でインタビューの終盤には、エスナイデル監督は成長でき、「変わる選択をした」という話もしています。
 前後の文脈からするとハイプレス・ハイラインを諦めて、より現実的な戦い方が出来るようになったというニュアンスのようにも取れなくはないですが、実際には今年10月に入ってもコロコロと戦い方を変えていた印象でしたわけで、ここでも具体的にどう変わったのかはぐらかされている印象がなくもありません。



 もちろん高橋GMは直接監督とも話せる立場ですから、シーズン終了後に来年は現実的な戦い方をするというような話し合いを持った可能性は否定できません。
 しかし、インタビューでもそういった話は一切でてこないですし、外部から見ればピッチ上で起こっていることから判断せざるを得ない。
 ピッチ上だけで見れば正直この2年間でエスナイデル監督が大きく変わったようには思えないし、細部を構築できないという根本的な問題は解決できていない印象は変わらないだけに、来年もフラフラと戦い方を変えるのではないかとしか思えないわけです。


 そのあたりの大事な話は避けているように感じるのが、ちょっとずるいようにも思えてしまうところなのかもしれません。
 先日も話しましたが、今回も高橋GMのインタビューは分析などがメインで、最終的にどういったチームにしたいのかに関しては明言を避けている印象です。
 もしかしたら賢い方だからこそ、実現できるかどうかわからない最終的なビジョンは語らずに、現状報告に努めているのかもしれません。


 ただ、その結果として、何となく腹を割って話してくれていないのではないかと感じてしまう部分があります。
 今回のインタビューでも本当にそう思っているの?と感じるところがいくつかあって、ますます本音なのか読めないところがありますね。
 もちろん全てが本音である必要など全くないわけですが、相手に「本音ではないのではないか」と思われるような話が続いてしまえば、信用という面では薄れてしまうところがあると思います。



 また、冒頭で「僕の仕事は「補強」が大きな割合を占める」と話していますが、このことからもクラブに問題が発生している階層(レベル)の認識が違うのではないかという疑問を感じます。
 J2に落ちてからのジェフは江尻監督、ドワイト監督、木山監督、そしてエスナイデル監督と、実績の少ない監督を招聘しては失敗をしています。
 鈴木監督・関塚監督に関しては実績もありましたが、鈴木監督はジェフの空気に合わなかった印象もあり、関塚監督は実績はあっても手腕には問題があったように思います。


 しかし、この二人以外は経験の浅い監督だったわけで、その間は失敗するのも驚くべきことではないように思います。
 高橋GMは「過去に監督も選手も何度も入れ替えてきたが、ほとんど何も積み上げることができなかった」と話していますが(過去の話を鵜呑みにすれば選手を大幅に入れ替えたのはあなたでは…?という突込みはともかく)、そもそもとして何かをじっくりと積み上げることの出来るような地に足の着いたチーム体制が作れているのか。
 継続性やスタイルの維持を重視するも大事なことだとは思いますが、それ以前にその継続性やスタイルは本当にクラブを正しい方向に導いてくれるものなのかを吟味することから、まずはスタートすべきなのではないでしょうか。



 一般的に考えてもまずは監督選び、チーム体制作りが検討され、その後にチームに沿った選手集めとくるのが普通ではないかと思いますし、問題を考えるべき順番もそれに沿ったものとなるのが妥当ではないでしょうか。
 現状に関してもエスナイデル監督だけが問題なのではなく、そもそもとしてエスナイデル監督しか招聘できないフロントの状況に問題があるのではないか…。
 長年のジェフの苦戦も大きく見ると、やはり監督人事に問題がある場合が多いのではないかと思います。
 

 個人的は過去2年間でエスナイデル監督が大きく変わった印象は受けませんでしたし、2年間で変わらなかったものを3年目に期待するのは現実的ではないように思います。
 それでも続投が決定した今となってはエスナイデル監督は変わるんだ、もっと成長していけるんだという言葉を信じて、その"奇跡"を期待するしかない…ということになるのでしょうか。
 それとともに、現実的な話で言えば、今年の成績から考えてもJ2残留争いなども視野に入れて、現体制以降の準備もした上で来シーズンに臨むべき…ということになるのではないでしょうか。
 今シーズンが終わった直後にそういった話をするのも気が引けますが、しっかりと現実を見据えていかなければいけないように思います。