2018シーズンを振り返る 大野哲煥編

 今年のジェフは第2節終了後に、清水から高木和徹を育成型期限付き移籍で獲得。
 大野より2歳若く各年代の代表に選出されている23歳のホープですので、将来性を期待されての補強なのかなとも思いました。
 一方でプロ入り3年目の大野はまだ公式戦に出場経験がなかったため、厳しい立場に立たされているように感じました。


 実際、今シーズン前半に期待されていたのは、高木和の方だったのではないかと思います。
 ロドリゲスと優也がポジションを争う中でも、高木和は5月から7月にかけて天皇杯とリーグ戦の5試合でベンチ入り。
 決して安定して控えに入っていたわけではないものの、第3キーパーとして計算されているように見えました。



 一方の大野は2017年にリーグ戦で6試合にベンチ入りを果たしていたものの、今年はベンチ入りなし。
 そのため、立場は厳しくなっているのかと思いきや、9月1日の山口戦で突如スタメン出場を果たします。
 こちらの記事の内容からすると、コーチからの推薦もあったのでしょうか。


 すると、その試合でいきなりファインセーブを見せ、前線へのロングキックからゴールの起点にもなり勝利に貢献。
 さらに続く岡山戦では、PKストップも見せてチームは2連勝。
 一躍"時の人"となっていった印象です。



 大野は186cmという身長だけでなく、アスリート体系で体格も非常に良く、相手への威圧感も与えられる選手なのではないでしょうか。
 また、プロ入りからここまで公式戦に出場していないとは思えないほど自信を持ってプレーしていたように見え、それも良いプレーに繋がったのではないかと思います。
 タイプとしては、ボールへの反応が良いGKといった感じなのでしょうか。


 また、以前にも話しましたが、キック力があって前線へと大きく蹴ることによって、相手DFラインを押し下げて、相手DFが対応しづらい状況を作ることが出来る。
 それによってジェフの中盤が拾ってチャンスを作るという展開も見られ、結果的に攻撃面でも貢献できていたと思います。
 特に今のジェフはセカンドボールを拾って流れを作るところのあるチームでもありますから、その点で相性も良かったのではないでしょうか。



 ただ、GKとしての技術には課題も感じて、ボールへの反応は良くてもファンブルする場面が目立っていたように思います。
 キャッチングできるところでも弾いてしまう印象もあり、弾き方に関しても怪しい部分があったのではないでしょうか。
 パワーはあるもののプレーの柔軟性という点では、改善の余地があるように感じました。


 また、ジェフは遅攻時にGKもボールを触る機会が多く、GKから左右に振り分けなければいけませんが、それもかなり苦手だったように思います。
 ボールを持った時の判断にも課題を感じ、10月21日の大分戦では試合早々に相手のプレスからボールを奪われて失点し、その後も相手のプレスからFKを与えています。
 結局、その次の岐阜戦には試合に出場したものの、2連敗もあって続く徳島戦から優也にポジションを譲る形となってしまいました。


 その後、優也が活躍したことも考えると、GKの交代はチームとしては正解だったと言えるのかもしれません。
 ただ、ジェフはPO進出もなくなっていましたし、若手を育てるという観点で考えれば、残り3試合も大野を起用して来年以降へ繋げて欲しかった気もします。
 このあたりの起用法からしてもエスナイデル監督は若手育成に熱心なのではなく、単純に調子がいい選手や自分の好みに合った選手を優先して起用しているのではないかといった印象を受けます。



 大野が公式戦初出場を果たしたのが9月1日でしたが、9月6日には日本文理GK相澤ピーターコアミの加入内定が発表になっています。
 ガーナ人と日本人のハーフである相澤は、高校1年の冬にGKへと転向したそうで、これからの選手なのかもしれませんが、GK転向後にユース代表にも選出されています。
 若手有望株のGKということになるのでしょうし、大野としては立ち位置の危ういところだったと思います。


 その大野も今年でプロ入り3年目ということで、来年からはプロA契約に移行するのではないかと思われます。
 それを考えると今年はラストチャンスだったのかもしれませんし、その年の後半戦という大事な時期に1つアピールできたということになるのかもしれません。
 ただ、最終的には優也にポジションを奪われる形となりましたし、プロ3年で9試合と考えると決して良い成績とも言い難いでしょう。



 さらに25歳という年齢を考えると、もはや若手とも言い難くなります。
 しかし、GKは出場機会を得るのが非常に難しいポジションですし、選手育成というのも簡単ではないと思います。
 相澤も転向してからは順調と言えるのでしょうが、ここからどこまで成長できるのかは未知数でしょうか。


 また、ジェフは選手が頻繁に入れ替わっていることもあって、どのポジションでも若手がうまく育成できていない印象がありますが、特にGKは育成に時間がかかることもあって苦労しているように思います。
 中牧、佐藤慎之介など新卒選手を獲得していますが、芽が出ていませんし新卒でしっかりと活躍した選手と考えると、岡本以来となるのではないでしょうか。
 一方でプロ13年目にしてレギュラーを勝ち得た立石のような存在もいるわけですし、ちょうど昨日契約更新が発表になった大野も含めてGKに関してはじっくりと長い目で見てほしいところがありますね。