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2018シーズンを振り返る 小島秀仁編

 2018年に愛媛からジェフへ完全移籍した小島。
 昨年はシーズン後半こそコンスタントに試合に出場していましたが、シーズン序盤は出場機会が伸びず25試合の出場に留まりました。
 それでも高校時代から言われていた通り、この選手は天才だと思います。


 普通の試合だと中継で見ているこちらの方が俯瞰目線で試合を把握できるので、ピッチ上の選手よりも早くパスコースを見つけられることも多いと思います。
 しかし、小島は俯瞰目線でピッチを見ているこちらよりも、早くコースを見つけていることが多い。
 さらにそこへ間髪入れずに、パスを出すことが出来る。

 また、パスワークに絡む時もワンタッチを多用する傾向がありますが、そのワンタッチパスを出すタイミングも非常に早い。
 ワンタッチパスと言っても一呼吸おいて出す選手が多いと思いますが、小島の場合はノータイムで出すイメージです。
 足元でのテクニックだけでなく、ピッチ上における状況把握能力が高いこと。
 そして、そこへとパスを出す判断スピードが非常に早いことこそが、小島の大きな特徴なのではないかと思います。


 加えて、その能力をボールを受ける側でも活かせる印象で、他選手がパスを繋いでいる状況で、ここに選手がいれば次へと回せるというポイントにスッと入ってボールを受けることができる。
 そこで素早くボールをさばいて、また動き出して次へ…と動くことによって、パスワークを推し進めることが出来る。
 あるいは高い位置でも同じように受けて、スルーパスでチャンスメイクという展開も作れていた印象です。

 素早くパスコースを見つけて、素早く繋ぐことによって、相手がコースを消す前に攻撃を展開することが出来る。
 さらに相手の守備組織が固まる前にボールを動かすことによって、チャンスを作り出すことが出来る。
 あまり目立つプレーではないかもしれませんが、判断力や判断スピードも含めた総合的なパス能力の高さが印象的でした。


 この小島の存在によって、エスナイデル監督の就任以降ほとんどなかった中央での縦パスが、小島が出場し始めた2018年後半からようやく増えていったと思います。
 基本的には後方から縦パスを出して、パスワークに絡むために前進していくという動きが得意な印象ですので、やはりボランチの方が合っているのかなと思います。
 2018年後半は4-1-2-3ではありましたが、左インサイドが前寄りにプレーして、右インサイドの小島が下がり気味でプレーしていたので、結果的にボランチに近いタスクをこなしていた印象です。

 ただ、守備においては課題も非常に多く、ボランチとしてはサイズも小さくフィジカルも弱いので、相手を潰せず押し込まれがちになって、DFラインに吸収される場面も目立っていた印象です。
 さらにインサイドなど前目の位置でプレーしても、プレスのアプローチが遅く寄せも甘い。
 どこでプレーするにしても、守備面が大きな課題となる可能性があると思います。


 そういった課題も理解した上で、チームとしてどこまで小島の才能を取り込めるか。
 天性のパサータイプがジェフに加入したのも久々だと思いますし、アタッカータイプが多いチームだからこそ、うまく小島の良さを活かしたいところ。
 しかし、そのためには小島の守備の弱点を、どうにか隠せるようなチームになっていかなければいけないと思います。

 小島本人としても守備の課題を克服しなければ、もう一歩先には進めないのではないかと思います。
 攻撃面では状況を先読みできる能力が高いわけで、守備面でも集中して次を読むことによって、素早く反応できるようになれば…と思わなくもありません。
 フィジカル的な課題に関しては改善できない部分も多いのではないかと思いますし、守備面における技術を伸ばしていくしかないのではないでしょうか。


 まずはフルシーズン、ジェフで主力として試合に出場できるか。
 それが本人にとってもチームにとっても、大きな目標となるのかもしれません。
 ジェフでブレイクすれば、将来的にはステップアップということも考えられるのではないかと思わなくもありませんが、そのためにはよりタフな選手になっていかなければいけないのではないでしょうか。

 その前に小島の天才性を、ジェフで存分に発揮できるようにならなければいけないと思います。
 パスで崩すサッカーが作れていないだけに、小島が能力を発揮できているという点で言えば、間瀬監督が率いた愛媛の方がうまくやれていたでしょう。
 現状のままだと愛媛のパスサッカーのようにはいかないとは思いますが、それでも小島のパスセンスを少しでも有効に活用できるようになっていきたいところではないかと思います。