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2018シーズンを振り返る 熊谷アンドリュー編

 2018年の熊谷は出場試合数、スタメン数、出場時間数の全てにおいてチームトップ。
 出場40試合ということで、全試合出場こそ逃しましたが、チームの主軸として活躍しました。
 町田や近藤などは怪我などもありましたし、昨年のジェフは熊谷のチームだったと言っても過言ではないのかもしれません。

 2017年後半からアンカーでのプレーが増えて、対人守備での強さが増していったように思います。
 さらに左右に大きくボールを振れることによって、エスナイデル監督の好むサイド攻撃に繋げることが出来る。
 現在のジェフにおいて欠かせない存在で、2018年はプレーに安定感も出てきたように思います。


 ただ、2017年のまとめでも話しましたが、決して気の利いた守備が出来るタイプではないと思います。
 2018年は1ボランチでありながらも、熊谷がサイドに飛び出して中央を開け、ポッカリと空いたバイタルエリアを突かれる試合も目立ちました。
 対人守備は強いものの守備センスに秀でているわけではなく、カバーリングやバランス感覚の優れたタイプではないように思います。

 昨年は「中後と同じようなイメージ」と話しましたが、より最近の選手で言えばパウリーニョにも近い選手でしょうか。
 パウリーニョも1対1には強いものの、勝手に外に飛び出していって大事なポジションを開けてしまう課題がありました。
 熊谷はあそこまで極端ではないものの、傾向としては似通った部分があると思いますし、対人守備に強いことと守備センスに長けていることは別の話だと思います。


 奇しくも昨年のパウリーニョと一昨年の小島は、ボランチとして藤田とコンビを組んでいたことになります。
 藤田はシンプルにパスを繋げるだけでなく、カバーリングが得意でハードワークができて、守備でバランスを取れる優秀な守備的ボランチだと思います。
 やはりジェフも本来なら、藤田のような選手が欲しいところだったのではないかと思います。

 今後、熊谷と小島が中盤でコンビを組んでいくのであれば、守備面で不安が出る可能性もあるのではないでしょうか。
 熊谷に関しては1対1での強さはあるだけに、チームとして組織的に守備を組めさえすれば、不安も解消されるかもしれません。
 しかし、少なくともエスナイデル監督にはそこを期待できないし、自分たちでバランスを取らなければいけないチーム状態になると、去年のように大きな穴を作ってしまう問題が出てしまう恐れがあると思います。


 また、攻撃面においては、昨年後半に小島が試合に出始めてから、熊谷が前に飛び出すことも増えていきました。
 熊谷はフィジカルも強いので、ゴール前に飛び出す動きにも迫力があるし、力強いスルーパスを出すことが出来る。
 やはり攻撃センスのある選手だと再確認することが出来ました。

 アンカーに起用されてからの熊谷は、左右にパスを繋ぐことが攻撃時のメインタスクとなっていました。
 そして、2018年の開幕前には、自分の守備面を見てほしいという話をしていたと思います。
 しかし、後方で左右にパスを散らす動きというのは、非常に難易度の低いタスクであり、正直それだけでは物足りなさを感じていました。


 そういった状況が続いた10月14日の山形戦後、熊谷はこのような話をしています

最近は(小島)秀仁くんとダブルボランチだが、バランスを見ながら上がるように意識している。もともとラストパスが得意だったので、最近は守備だけじゃなく、攻撃をやることも意識している。今日は数多く出せたが、得点につなげられるようにならないと選手としての価値は上がらない。

 明らかに攻撃面においての意識が、変わったのではないかと思います。
 この試合で何があったのかというと、小島がジェフ加入後2つ目のゴールを決めています。
 このことからも、小島が中盤で定着始めていたこともあって、熊谷に焦りが生まれつつあったのかもしれません。

 小島は9月頃から、コンスタントに試合に出始めていました。
 中盤後方からのパスワークの形成という点において、小島が存在感を見せ始めていた。
 これによって中盤の主導権争いにおいて、熊谷にライバルが誕生したということではないかと思います。


 それまでは監督に言われてサイドに散らすだけで良かった熊谷ですが、小島は中央でも細かくパスを繋ぐことが出来る。
 さらに決定的なプレーにも絡み始めて、「熊谷のチーム」だった状況から若干の変化が生まれ始めていたのではないでしょうか。
 熊谷は勝った試合でも内容は悪かったと発言するタイプで、基本的に正直な性格ではないかと思いますので、上記のコメントからも素直な焦りが出ていたのではないかと思います。

 先ほども話したように、熊谷が後方で左右に散らすだけの仕事に専念するのは勿体ないことだと思っていましたので、結果的に小島の登場は良い刺激になるのではないでしょうか。
 ただ、小島も守備面では課題が多いので、今年コンスタントに試合に出場できるかどうかはまだ読めません。
 さらに攻撃面においても、2人がどういった役割分担をしていくべきなのかは、まだはっきりと形作られていないと思います。


 しかし、2人とも攻撃面では能力は高い選手だと思いますし、持ち味も違うところがあると思うので、うまく共存できれば面白い組合せになるのではないでしょうか。
 小島の方がクレバーに周りを使えるタイプではないかと思いますし、意外と攻撃面で言えば熊谷が前に出て行った方が良いのかもしれないですね。
 実際、昨年の試合でも小島がDFラインまで下がってボールを散らす仕事を受け持ち、熊谷を前に押し上げていた場面も目立っていたと思います。

 やはり問題なのは、守備面ではないかと思います。
 1ボランチにせよ2ボランチにせよ、あるいはプレスにせよ引いて守るにせよ、昨年は中盤全体のバランスに問題を抱えていました。
 守備に長けたボランチを並べれば組織的に課題があっても対処できるかもしれませんが、そういったタイプの2人ではないだけに個人能力だけではどうしようもないところがあると思います。

 さらに中盤の守備面で大いに貢献していた町田もいなくなったということで、より中盤の守備は大きな不安を抱えることになるのではないでしょうか。
 攻撃面を活かすためにも守備面の安定は重要だと思いますから、熊谷などを中心にいかに守備のバランスを保てるかに注目だと思います。