前半はジェフがプレスをかけて優勢に戦うも、後半は東京Vが巻き返し1ー1の引き分けとなった試合。
ジェフからすれば、前半のうちにもう1点を取りたかったところだったと思います。
ただ、それは後半の東京Vにも言えることだと思いますし、引き分けが妥当だったのではないでしょうか。
前半のジェフのプレスはうまく機能していましたし、そこからチャンスも作れていました。
しかし、岐阜ほど相手は甘くなかったといえるでしょう。
気温の高い中でのアウェイゲームと考えれば勝点1でも悪くはない試合だったと思わなくもないですが、これから夏に向けてこのサッカーで戦うということで考えれば、本来は勝ちたい試合だったのではないでしょうか。
■ジェフがプレスから優勢に立った前半
前節岐阜に勝利したジェフは、スタメン変更なし。しかし、ベンチからは工藤が外れて、山本真希が入りました。
林、端戸と1トップ候補が負傷中の東京Vは、前節負傷交代したコイッチの状態も心配されましたが、この日もスタメン。
コパ・アメリカに出場する日本代表に、J2から唯一選出された渡辺もインサイドで出場。
近藤、若狭、小池と元ジェフ選手も出場し、前節からメンバー継続となりました。
2分、ジェフのファーストシュート。
左サイドで為田、船山、熊谷とつないで、クレーベへ。
右サイドの茶島に繋ぐと、クレーベが再び受けてミドルシュートを放ちますが、上福元がキャッチ。
7分には東京Vの攻撃。
佐藤から左サイド前方へ展開すると、小池がコイッチとの1ー2でゴール前へ。
小池がそのままシュートまで持ち込みますが、増嶋が素晴らしいブロック。
10分、ジェフが先制。
矢田からのパスを為田が受けると、フリーで左サイドを仕掛けてクロス。
これをクレーベが合わせるとポストに直撃し、最後は船山が押し込んで1ー0に。
13分にもジェフのチャンス。
中盤でボールを拾ったところから、為田がフリーでクロス。
これが逆サイドに流れて、茶島がシュートを放ちますが、GK上福元がセーブ。
前半はジェフが積極的なプレスで、流れを掴んでいきます。
東京Vはコイッチの守備への貢献度が低いこともあって、中盤でジェフのマークを掴み切れない。
中盤で後手に回るのでサイドの為田も空き、ジェフが優勢で試合を進めていきました。
しかし、20分頃から東京Vも2列目の選手がプレスをかけにいくことによって、少しずつ盛り返していきます。
30分には東京Vのチャンス。
河野からのパスを受けた渡辺が右サイドを抜け出し、触れば1点というクロスを上げますが、コイッチは合わせきれず。
その直後にはジェフのチャンス。
為田が激しいタックルでマイボールにしますが、ノーファールの判定でクレーベが受けて再び為田へ。
為田がそのままシュートを放ちますが、ゴールの右を逸れます。
前半ATには東京Vの攻撃。
左サイドのスローインから井上がつないで、佐藤が中盤で受けてミドルシュートを放つも、ポストの左にそれます。
ジェフが1点リードのまま前半を折り返します。
■後半から東京Vが巻き返し引き分け
後半からは、東京Vがボールを保持する時間が長くなっていきます。ジェフは前半ほどのプレスがかけられなくなっていきました。
51分にはジェフの攻撃。
右サイドを茶島が持ち込み、矢田が逆サイドへ展開。
ダイレクトで為田が中央に折り返し、堀米が狙いますが枠を捉えきれず。
54分、東京Vはコイッチを下げてレアンドロを投入。
その直後、東京Vのチャンス。
左サイドからのCKを佐藤が蹴ると、ニアではじかれファーの若狭が頭で合わせますが、決めきれず。
61分、東京Vが同点ゴール。
ジェフがGKからつなごうとしたところ、新井のところに佐藤がプレスをかけると新井がパスミス。
奈良輪が受けて素早くゴール前へ供給すると、レアンドロが頭で落とし河野がシュートを決めて1-1。
65分、東京Vは河野を下げて梶川を投入。
その直後にはジェフの決定機。
為田からのクロスを矢田が足元で合わせますが、バー直撃でゴールならず。
67分、ジェフは矢田が足を痛めて山本を起用。
76分には堀米を下げてアランを投入。
両チーム、運動量が落ちてオープンな展開が増えていきました。
81分、東京Vの決定機。
左サイドで得たFKを佐藤が蹴ると、近藤が増嶋の前を取ってヘディングシュートを放ちますが、バーの左を逸れます。
85分、ジェフは船山を下げて寿人を投入。
その後もお互いに積極的に攻めあいますが、スコアは動かず。
1ー1で痛み分けとなりました。
■状態は上向きも勝点を稼げるか
東京Vは林、端戸の負傷で、ここ数試合コイッチが1トップを務めています。コイッチは足元の技術もあって、パスを引き出せる動きもできる選手だとは思うのですが、運動量が少なく守備への関与が限定的。
そのため、ジェフ戦に限らず、中盤の選手たちが守備で奮闘する展開が増えている印象です。
東京Vは4-1-4-1でプレスがはまらない時は、4×5のような状態で引いて守る守備が基本となっています。
それに対してジェフは3-4-2-1で、中盤にはボランチ2枚とシャドーの2枚がいることになる。
この日はシャドーの2枚が相手の1ボランチ脇、ボランチの2枚が相手のインサイド前に立つことによって、そこから優位な展開を作れた印象でした。
東京Vからすれば、インサイドがシャドーを見るべきなのか、ボランチを見るべきなのかはっきりせず、マークを捕まえきれなかった。
中盤でマークを掴み切れないため、結果的にサイドも空いてしまった。
特にジェフの左サイドの為田に対しては、河野の守備も緩く楽に仕掛けられる状況になっていました。
為田の仕掛けはジェフのストロングポイントとなっていますから、そこで自由に仕掛けられたのは大きかったのではないでしょうか。
さらに前半のジェフは積極的なプレスによって、東京Vのパスワークを遮断することができていた。
これらによって、攻守に優位に戦えた前半だったと思います。
しかし、後半からはジェフのプレスが甘くなっていった。
前半は1トップ2シャドーで相手の2CBとアンカーを追い回すことができていましたが、そこへのプレスが少しずつ遅くなっていった。
それによって東京Vに後方から前を向いてパスを出されてしまい、DFライン裏も狙われる機会が増えて、相手のリズムが作られていきました。
また、後半からは東京Vが高い位置でプレスをかけるようになってきた。
特にレアンドロが入ってからは、3バックへ数的同数でプレスをかける機会も増えていき、東京Vの中盤が押し込まれる展開も減っていきました。
レアンドロはポストプレーでも機能していましたが、途中出場だったこともあってか、守備面での貢献度も高かったと思います。
後半に巻き返されて同点とはなってしまいましたが、ジェフとしては全体的に悪い試合ではなかったと思います。
岐阜戦で大勝した効果もあったのか、コンディションも上がっているのか、全体的な調子も上がってきているのかもしれません。
前半のプレスのかけ方も良かったと思いますし、後半もがたっと大きく失速したわけではないでしょう。
ただ、このサッカーで勝っていくのであれば、やはり前半のうちにもう1点取れるようにならなければいけないのでしょうね。
さらに後半に入って相手にプレスをかけられるとバタバタとし、そこから失点したところを見ても、やはり後方でのボールのつなぎ方に関しては依然として課題があるように思います。
プレスをかけて相手を押し込んだ状況であればボールを繋げますが、そうではない遅攻状態の質に関しては改善すべき点があるのではないでしょうか。
また、このプレッシングサッカーを実行していくのであれば、夏場に持つのかという不安もあると思います。
この日も気温が高かったとはいえ、本格的な夏に入れば湿度の問題も出てくるし、蓄積した疲労によって動けなくなる部分もある。
この日もプレスがかけられなくなった後半から裏を取られるケースも増えてしまいましたし、決定的なシュートシーン以外でも危ない場面は少なくなかった印象です。
それでも一時期の低迷よりは、光明が見えつつあるのかもしれません。
戦い方がはっきりとしてきたことによって、選手の迷いも減ってきたのではないでしょうか。
ここから具体的な勝点にどう繋げるかが、次のテーマとなってくるのでしょうか。