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ジェフ過去最低成績でシーズン折り返し

 私事ではありますが、7月15日(月)に行われる精神障がい者バスケの大会に運営として参加します。
 そのため、その前後は忙しくなり、ブログの更新も不定期になる可能性がありますが、ご了承ください。
 なお、大会の観戦は無料ですので、お暇な方はぜひお越しください。

 さて、J2も21節を終了し、シーズン折り返し地点に立ちました。
 ジェフは5勝8敗8分で勝点23の18位。
 降格圏の21位福岡との勝点差は6と、かなり厳しい成績でシーズン後半に進むことになります。


 ジェフがJ2に降格した2010年から今年にかけて、折り返し地点での順位と平均勝点をグラフにまとめてみました。
 なお、2010年のJ2は19チームで、36試合で行われていたため第18節時点での成績を。
 2011年のJ2は20チームで、38試合行われていたため第19節時点での成績をピックアップしています。

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 最終的にはシーズン終了時の順位や中身が大事だと思います。
 例えば2015年などはシーズン序盤がやたらと好調でしたが、そこからは右肩下がりで一度も浮上のきっかけをつかめず、大きく最終成績を落として終わりました。
 逆に2014年や2017年はシーズン終盤に帳尻合わせをしたわけで、一概にこのグラフだけですべてを語れるものでもないでしょう。


 しかし、全体的に見ればやはりジェフは右肩下がりの傾向で、成績を落としていることがわかります。
 それだけ長年J2にいることで、クラブの総合力が下がってしまっているということ。
 さらに長期プランが構築できていないため、J2でチーム力を伸ばすということが出来ておらず、ただの消耗戦となっているため年を重ねるごとに苦しくなっているところがあると言えるのではないでしょうか。

 また、特にここ3,4年の落ち込みが目立っているように思います。
 ジェフは2015年末に選手の大幅入れ替えをしているわけで、その影響も出ているのかもしれません。
 2017年からは再び積極的な補強を実施していますが、選手構成がいびつな印象もあり、駒は多くても飛びぬけた選手は少ない印象があります。


 オシム監督は強豪だった当時のG大阪に対して遠藤や橋本、二川、宮本などを中心に、長年同じメンバーで戦ってきたことで意思疎通が図れている効果が大きいと分析していたことがあります。
 それは阿部、巻、勇人、羽生などを擁したジェフ黄金期にも同じことがいえると思いますし、主力選手が定着することによって連携が深まり、安定した戦い方ができるということではないでしょうか。
 一方でジェフは2007年末の大量流出が、2009年のJ2降格に繋がったところがあります。

 2007年末は望んで行った入れ替えではないのでしょうが、今回も結果的に近いものを感じる部分があります。
 あの時も翌年には積極補強で何とか残留を果たしたもの、継ぎ接ぎ感を感じるチームだったことは否めなかったですし、現在もそれに似たところがあると思います。
 いずれにせよ結果も残せていないわけですし、2015年末の大幅入れ替えからここまでの補強の流れは、もう一度精査されるべきものなのではないでしょうか。


 それにしても、今季の数値はかなり大きな落ち込みのように見えます。
 江尻監督に関してはシーズン途中からの引継ぎですし、成績に関しては責任は問いにくい部分もあるでしょう。
 しかし、内容に関しても芳しくなく、前任からの方向性を維持して同じ課題を抱えてしまった疑問は大きいように思います。

 成績が厳しくとも試合内容に可能性を感じたり、若手が多く活躍しているような状況であれば、未来に希望を抱けるとは思います。
 しかし、成績も内容も将来への期待も抱けない…となれば、クラブや強化部への責任問題に発展する可能性もあるのではないでしょうか。
 ともかくまずは残りシーズンでの残留が目標となる状況ですが、未来への希望が見えなければ結果もついてこないと思いますし、何らかの突破口を見出してほしいところです。


 現在のJ2の順位を確認すると、最下位は岐阜、21位は福岡と監督交代を実施しているクラブが下位にいて、18位のジェフもそのうちの1つとなります。
 ただ、これは監督が交代したから下位に沈んだというよりは、下位に沈んでいるから監督を交代したと考える方が自然ではないかと思います。
 ジェフはシーズン折り返しの初戦でその岐阜と対戦し、翌戦には福岡と対戦することになります。

 岐阜は大木監督から北野監督へとバトンを渡してジェフ戦が4試合目となりますが、これまでの試合でも監督交代の効果が出ているように見えます。
 監督交代初戦となった山口戦は0-4で敗戦。
 2戦目の東京V戦も1-2で敗れていますが、前節はライバルの福岡に3-1で勝利をあげ8連敗を止めたことになります。


 特に守備においての変化が明確に出ていて、山口戦、東京V戦では5-3-2、福岡戦では4-4-2とシステムは異なりましたが、セットした状況での守り方が整備された印象です。
 DFラインとMFラインでボックスを作って、2トップとサイドの選手を中心に前へ出ていき、パスコースを消すことで簡単にボックス内にボールを出させない。
 シンプルながらも等間隔に守る綺麗な守備組織で、北野監督が指揮を執っていた讃岐の守備を思い出す陣形になっている印象です。

 また、攻撃時も細かくテンポの良い繋ぎは残されているものの、選手が密集するだけではなく距離感を開けることで縦への展開が多くなったと思います。
 加えて、2トップに前田とライアン・デ・フリースを固定化して、前田が起点となってライアン・デ・フリースが縦に仕掛ける攻撃を狙っていく。
 2トップの役割が明確になったことによって、そこから逆算した攻撃を組み立てることが出来るようになり、周りの選手の目標もはっきりしたのではないでしょうか。

 選手の起用法にも違いが感じられて体を張って戦える選手が増えた印象で、その一環として一昨日松本から塚川をレンタルしたのではないかと思います。
 山岸や川西のように中盤で攻守に活躍できる選手の出場機会が増していますが、こういったタイプは今のジェフにも不足がちな選手ではないでしょうか。
 また、元ジェフの竹田も監督交代によって、レギュラーに復帰したことになります。
 

 対するジェフはまた変化が感じられ、柏戦で完敗を喫してからの2試合は無理にハイプレスをかけない守備になっている印象です。
 しかし、ある程度構えて守るのであれば、簡単にボックスの中にパスを通されてはまずいし、パスを通されたとしても潰せるようにしなければいけないはずです。
 また、ボールを保持したいのであればチーム全体として意図を持った回し方をしなければいけないと思いますが、水曜日にも話したようにこの辺りがうまく整備しきれていないように思います。

 細かな約束事を作ってチーム全体として攻守の整備していく部分こそ、監督の手腕が求められるところと言えるのではないでしょうか。
 一昨日ジェフの公式サイトに江尻監督のインタビューが掲載されましたが、確かにエスナイデル監督からの悪い流れや体力的な課題もあるとは思います。
 しかし、チームの癖や個々の能力の問題は残ったとしても、組織的な約束事作りに関しては別問題だと思いますし、実際に関塚監督の後の長谷部監督や大木監督の後の北野監督などはすぐに守備の整備を実行してきたと思います。


 江尻監督はエスナイデル監督のいい部分を継続するという話もしていますが、昨年から今年に渡ってあれだけ厳しい状況だったチームのいい部分がどれほどあったのか。
 むしろそれを継続したことによって悪い部分のほうが目立っているように思いますし、そこの見極めも含めて監督の手腕となるのではないでしょうか。
 Twitterでも話しましたが、一番エスナイデル監督に引きずられてしまっているのは、選手ではなく江尻監督自身ではないかとすら感じます。

 個人的には江尻監督就任時にもゼロからスタートしてほしいという話をしましたし、苦戦して解任された監督の後というのはその方が自然だとも思います。
 また、就任当初は良い兆候も見られた印象でしたが、江尻監督は「守備的に戦うと攻撃のいい部分が消えてしまう」とも話しており、攻守のバランスが難しいと話しています。
 しかし、そこで大事なのが、監督としてどんなサッカーをしたいのか、目先の良し悪しではなく、確固たる信念を持ってチーム作りに着手できるのかではないでしょうか。


 江尻監督は前回監督時にも今回と同じように、最終的には練習で質を高めることが大事であるという話をしていました。
 確かに練習の質や量は重要だと思いますし、エスナイデル監督時代には欠けていた部分なのかもしれません。
 特にコーチ目線となるとそこが欠かせない部分だとは思うのですが、一方で監督という立場ではチームをどういった方向に導くのか、ぶれない方向性を提示することも非常に重要なことだと思います。

 それを前提とすることによってどういったトレーニングをして、どういった動きが必要になるのかという部分も明確になってくるのではないでしょうか。
 インタビューを読んでいても、江尻監督自身そのあたりに迷いがあるのではないかとも感じなくもありません。
 やはり監督としては、優しすぎるということなのでしょうか。


 ともかく、ここ2戦の戦い方から察するに、ハイプレスはかけずにある程度コンパクトに戦いたいということなのでしょうか。
 また、インタビューにおいては「ボールを保持する」と語っていますが、そこが全くできていないことも気になるところではあります。
 前回監督時もコメントと実際の試合内容が違うことが多く、そこがフラフラしているように感じる要因の1つではあるのですが、コメントに関しては理想で、実際にはピッチ上の現実を重視してしまう結果、方向性が定まらないところがあるのかもしれません。

 それも含めて監督ではなくコーチ的な視点が強すぎるのではないかとも思うわけですが、江尻監督自身も話しているように戦術は「いい悪い」の話ではないはずです。
 どんな戦術にも利点と欠点はあるはずだからこそ、監督がどこかでスパッと線を引いて、それを目指して戦わなければいけない。
 現状だとそれが出来ていないだけに、戦い方が頻繁に変わって、チームの熟成も進んでいかないように感じてしまいます。

 シーズンも残り半分。
 チームの残留はもちろん大事ではありますが、江尻監督の将来もここで決まるのかもしれません。
 クラブの功労者である江尻監督には頑張ってほしいとは思うのですが、一方で実力社会のプロスポーツにおいて適さない人員配置は本人を苦しめることにも繋がるでしょうし、監督としての可能性を残り試合で見せてもらわなければいけない状況だと思います。