当ブログはプロモーションを含みます

町田とジェフのサイド攻撃の差

 試合後にも話した通り、町田とジェフとではサイド攻撃のクオリティに大きな差を感じてしまいました。
 以下の図は、3分の町田の攻撃。

f:id:aratasuzuki:20190902165944p:plain

 左サイドからのパスワークから、平戸が中央に侵入しようとしています。
 しかし、森村のパスが少し中央方向にずれたことによって、平戸がコントロールしきれず。
 ジェフがクリアして李漢宰が中盤で反応し、パワーのあるミドルシュートを放ちますが、枠には飛ばなかったシーンです。

 李漢宰のシュートが良かったので、そちらの方がインパクトに残る攻撃だったかもしれません。
 しかし、その前の流れで、町田は完全に左サイドを崩しています。
 森村のパスさえずれていなければ、平戸が斜め45度付近からペナルティエリアに侵入し、フリーでシュートを打てていたと思います。


 まずロメロ・フランクが、小島の股の間を抜いて森村にパス。
 この時に土居が縦に動き出したことによって下平がつられて、平戸の前がぽっかりと空いてしまいました。
 また、平戸についていた船山はロメロ・フランクからのパスコースを警戒していたため平戸が背後にいたわけですが、ロメロ・フランク、森村、平戸と素早くつながれたことによって、前を取られてしまったことになります。

 さらにこの図の前のシーンでは、FKのこぼれ球を町田が拾って、左サイドのミドルエリアで森村がボールを保持しました。
 すると素早くロメロ・フランクと平戸が同サイドに開いて、パスを受ける動きをしています。
 この動きからしても、町田はチームとしてサイドに開いて相手守備網を広げてから、ゴール方向に侵入していこうという共通理解を感じることが出来ます。


 一方のジェフもサイド攻撃がメインで、大外を攻略しようという意識を感じます。
 しかし、そこから縦へ仕掛けてクロスという展開ばかりで、相手を崩してゴール方向に侵入していくという攻撃はほとんどできていない。
 そのため相手の守備も予測がしやすいし、単調な攻撃になっているところが大きな課題となっているのではないでしょうか。

 図のシーンでの町田はロメロ・フランクが大外で起点となりつつ、3人もの選手が中央寄りの位置取りをして、攻撃に絡んでいることになります。
 ジェフも堀米を右SHで起用した時などは、サイドに人数をかける攻撃をしていましたが、あくまでも人数をかけてあふれた選手を使うだけといった印象でした。
 中央寄りの選手も縦への動きばかりを狙っていたし、テンポよくパスを繋いで崩すといった意志はあまり感じられず、複数人が絡む展開といったものも作れていなかったと思います。


 町田戦でのジェフはまた左右SHの組み合わせが変わり、左SHに為田、右SHに茶島を起用したことになります。
 これは町田対策でコンパクトな町田の守備に対して、SHが開いて縦に素早く仕掛ける攻撃を狙ったのではないでしょうか。
 素早く縦に蹴り込む意図を持っていた印象で、同点ゴールの直後にも下平からのロングボールに反応した為田が競り合ったところから、チャンスが生まれた展開もありました。

 町田は常時コンパクトな隊形で戦ってきますから、サイドを素早く縦に蹴り込めば相手がスライドする前に、薄くなったサイドを突くことが出来る。
 縦への動きに特徴がある為田と茶島で、その弱点を突こうとしたのではないでしょうか。
 それによって、ある程度の効果は見られたと思います。


 ただ、一方で先週も話したように、相手対策の効果はある程度出ていたものの、毎週そうやって戦い方を変えていては、自分たちの戦いは積み上げることができないかもしれない。
 町田対策で確かにいくつかは良い形も出来かけましたが、そこから中央でどう受けるのか、裏を取った後にどのように攻めるのかといった点に関しては、詰めが甘い印象を受けました。
 それも毎試合のように戦い方が変わってしまうので、選手間の連携などが深まっていかないからなのではないでしょうか。

 それに比べると町田は攻撃に関しても意図がはっきりとしていて、チームとして戦い方が熟成されている印象を受けます。
 あのサッカーに比べると現在のジェフは単発での攻撃が多いし、個人能力に依存しすぎているように感じてしまいます。
 そこがJ2の中では予算が豊富でも、ジェフがこの成績にいる大きな要因の1つでしょう。


 数試合いいプレーをしていた工藤も、この試合であっさりとメンバーから外されてしまいました。
 アクシデントなどもあるかもしれませんが、前節も控えに回っていましたし、縦に仕掛けるサッカーをすることを考えて外したということなのではないかと思います。
 そう考えると理に適っているとも言えなくもないのかもしれませんが、相手ばかりを見過ぎて"策士策に溺れる"状態になっているようにも感じます。

 江尻監督は前回監督時にも、手駒が多すぎてそれを管理しきれなかった印象を受けます。
 その結果として、使いきれていなかった巻の退団につながったところがあったようにも感じていました。
 チームとしてはまず軸を確固たるモノにしなければ熟成も進んでいかないと思いますし、ぶれない軸を作った上でそこから相手対策などを考えていくべきなのではないでしょうか。