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ジェフ復帰組の工藤が見せる献身性

 水戸戦から3試合連続でスタメン出場している工藤。
 試合直後にも話したように、前半から我武者羅に走って、ファーストディフェンダーになっていました。
 その後、工藤の足が止まると全体的なプレスが緩くなったことから考えても、工藤の懸命なチェイスによってジェフのプレスが成立している部分は大きいと思います。

 88分にはそのご褒美といった形で、工藤が決定機を得ました。
 浮き球のセカンドボールに熊谷が競り勝ったことで、結果的に相手選手2人を抜き去りにするような状態に。
 そこから船山がスルーパスを出し、工藤が裏へと抜けだしてGKと1対1になりました。


 しかし、試合終盤ということもあって、その時点で工藤は足が止まっていた印象です。
 完全には加速できず、そのままのリズムでシュートを放ってしまいました。
 それによって、前に出てきたGK一森がしっかりと止めたということになるのではないでしょうか。

 サイド攻撃がメインのジェフですが、その次の狙いとなるとセカンドボールなどで競り勝ってハーフカウンターという流れになるのかもしれません。
 特に水戸戦、徳島戦はホームで足が動いていた印象もあり、ハーフカウンターを狙いやすかったのではないでしょうか。
 その時にもポイントになるのがクレーベで、ボールを拾ったら前線に預けてクレーベのキープ力に期待という意識が、選手の中に生まれているように感じます。


 ただ、一方で何度も話していますが、クレーベは守備面に大きな不安がある。
 岡山戦の13分にも岡山が後方で左右にパスを繋ぐとクレーベが足を止めてしまい、濱田がフリーになって前線へスルーパスを出されています。
 結果的に中野の飛び出しはオフサイドの判定でしたが、タイミングとしてはぎりぎりでしたし、オンサイドだったら失点ものだったと思います。

 片や岡山の2トップは、守備面でも優れている。
 ジェフのボランチを見ながら、CBにもプレスをかけていた印象で、さぼらず守備をし続けていたと思います。
 現在は負傷中ですが、松本からレンタル加入した山本も守備が出来る選手ですし、この日スタメンだった若い中野も良く走っていました。

 そして、イ・ヨンジェも献身的なプレーができるだけでなく、現在18ゴールも上げています。
 イ・ヨンジェはゴール前での強さや守備力だけでなく、縦への突破もできるので、チャンスメイクなどでも貢献している。
 守備だけのFWというのは少なくないと思いますし、ジェフ戦ではそこまで目立たなかった印象もありますが、ここまでの試合ではしっかり攻撃面でも活躍できていることになります。

 
 守備面での問題も大きいクレーベですが、クロスに対しては絶対的な強さがあるし、前線でのキープ力なども見せている。
 他にチームとして得点源が少ないことも考えれば、ジェフとしては非常に貴重な存在だと思います。
 ただ、一方でジェフは守備にも不安があり、現代サッカーにおいてFWは守備の第一歩を任される存在なだけに、そこでさぼられると厳しくなってしまうところもあります。

 それだけにクレーベがさぼっても良い状態を、チームとして作ることが重要となる。
 そこで、工藤を横に置いて我武者羅に走らせて、クレーベが守備をしなくても被害を最小限に食い留める。
 それは1つの解決案として、考えられる手法だと思います。


 ただ、工藤ももう35歳と、大ベテランの域に入る選手。
 その選手がここにきて懸命に走り回らなければ成立しない状況というのは、チーム全体としてどうなのでしょう。
 さらに工藤の代わりとなるような選手がいない選手構成にも、やはり問題があるように思います。

 確かに現在の2列目は、テクニックもあって一芸には秀でている選手が多い。
 ただ、懸命に走って体を張って守備をする、さぼらずに献身的にプレーするといったタイプは少なく、どうしても守備面などには不安が残る。
 攻撃面においても個人技での打開は得意な選手が多いですが、連携した動きや周りを活かしたプレー、囮になる飛び出しなどは苦手な印象が少なくない。


 これらは一時期のジェフとは、真逆な印象も受ける選手たちではないかとも思います。
 強かったころのジェフは個人技での打開などが得意な選手は多くなかったものの、泥臭く体を張って周りを支援する。
 あるいは、個では勝てなくても連携面で勝つことを、得意とした選手が多かった。

 結果的に工藤や勇人といったジェフ復帰組の大ベテランが現在もレギュラーでプレーしているのは、そういった要素が今の選手構成において足りていないからなのではないでしょうか。
 2人は現在の強化部が志向している選手構成とは関係のない復帰組だからこそ、現在のジェフに確実に足りていない要素を持ち合わせていたのかもしれない。
 だから、シーズン終盤に入ったこの時期に、貴重な存在として活躍しているのではないでしょうか。


 しかし、一方で2人だけにその役割を任せるのは無理があるし、大ベテラン2人が走り続けるというのも無理がある。
 実際、勇人などはさすがに37歳ということもあって、プレーに衰えを感じる部分も出ていると思います。
 それでも勇人がスタメンとして出場し続けていることに、チームのゆがみを感じてしまいます。

 個人的な意見で言えば、スター選手などはいなかったものの、1人1人が献身的に走ってチームとして戦うジェフが好きだっただけに、あの頃から考えると戸惑うところもあります。
 ただ、当時からサポーターも大きく入れ替わっているのでしょうし、現在では個人技で打開できる選手の方が好まれているイメージもなくはありません。 
 そう考えれば、致し方のない変化とも言えなくもないのでしょう。


 しかし、考えてみれば、当時も水野など個人技で打開できる一部選手の人気は高かったわけで、言うほどサポーターの状況は変わっていないのかもしれません。
 それでも当時はクラブとして献身的に戦う選手を評価し、そういった選手を中心に集めていたところがあるわけですが、そうったものは本来まずフロントが決めるものなのでしょう。
 サポーターはそれに対して、イエスかノーかをリアクションすることくらいしか出ないというのが、現実的なところなのではないかと思います。

 その根底にはフロントがどういったチームを作りたいのか、クラブの方向性やビジョンといったものが明確にあったからだと思います。
 では、改めて今のクラブはどういったビジョンや方向性を持って、チームを作り上げようとしているのか。
 一芸に秀でた選手を多数集めるのもいいとは思いますが、それによって最終的にどういったチームを目指しているのか。

 あるいは単純なチームのスタイルだけでなく、どうやってチームを育て、どうやって強くしていくのかも含めてが、クラブのビジョンと言われるものになっていくのだと思います。
 総合的なクラブの将来像というものを描けているかどうかが大事だと思うのですが、その点に関して現フロントははっきりとした答えを示せていないのではないでしょうか。
 工藤や勇人といったジェフ復帰組が頑張れているうちに、次の将来像というものを示してほしいところではないかと私は思います。