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2019シーズンを振り返る 為田大貴編

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 2017年6月末に福岡からジェフにレンタルで加入した為田は、2018年に完全移籍を遂げて2019年には37試合に出場。
 2018年も31試合に出場していますが、スタメンは19試合のみでした。
 昨年はスタメン32試合ですから、大幅に伸びてチームの中でも主軸となったことになります。

 出場時間も2018年の1964分から、3105分に大きく伸びています。
 為田が3000分以上出場したのは、2012年に大分でトップチームに昇格して以来初めてのこと。
 ジェフの中でも出場試合数はクレーベに次ぐ2番目の成績で、スタメン出場数と出場時間もクレーベ、熊谷に続いて3番目の結果でした。


 2019年の為田は開幕スタメンではなく、第3節が初スタメン。
 その後も出場機会は安定しませんでしたが、江尻監督にバトンが渡された後の第10節横浜FC戦で約1か月ぶりのスタメン出場を果たすと、そこからはレギュラーとして活躍していきました。
 当時は3バックでしたが攻撃の手立てがなく、為田の個人技に打開を求められたのではないでしょうか。

 3バックの左WBでも活躍していましたが、本格的に目立ち始めたのは4バックになってからだったと思います。
 為田が鋭く仕掛けて突破口を開き、そこに下平も絡んで2人で攻撃を作る。
 さらにシーズンの途中からは右SHなどもフォローに行き左サイドに選手が密集する形をとっていきますが、この狙いも単純に為田と下平というジェフのストロングポイントをサポートするという発想からだったように思います。


 ただ、チームとして左サイドに密集して攻撃を作る展開は、そこまで追求しきれずにシーズンを終えてしまった印象です。
 また、シーズン中盤は強みだった左サイドの攻撃も、シーズンが進むにつれて徐々に勢いを落としていったように思います。
 為田自身も夏場以降は、あまり目立たなくなってしまいました。

 そうなった原因は、相手からの対策というのもあるのではないでしょうか。
 為田は以前からスペースがあるオープンな状況なら得意の仕掛けでチャンスを作れますが、大外に押し込まれたり裏のスペースを消されたりすると持ち味が出しにくくなってしまう。
 また、簡単に飛び込まずにじっくりと対応されると、抜き切れず苦労するところもある印象です。


 さらに、為田のプレーの質にも課題があり、ドリブルに関しては鋭いもののクロスの精度はもう1つなため、シーズン終盤は相手から蹴らせてもOKといった対応をされてしまったように思います。
 それもあってか、ジェフは他の選手がペナルティエリア脇を縦に走って、そこに為田がグラウンダーのパスを繋ぐ展開を狙うようになりましたが、そのパターンもあまり進歩が見えてきませんでした。
 また、為田はドリブルしか選択肢がないため、相手が対応しやすいところもあったのではないでしょうか。

 さらに、ほぼフルシーズンを主力として戦ったことによって、体力的な問題が出たのかもしれません。
 今まで1年間レギュラーだったことはないわけですし、終盤に疲労が出たところもあったのではないでしょうか。
 為田は前年も好不調の波があった印象でしたし、そこも大きな課題と言えると思いいます。


 Football LABによると、結局2019年の為田は2アシストしかしていないことになります。
 ただし、為田は2017年後半のジェフでの5アシストが自身最高成績で、その次が2018年の4アシスト。
 出場試合数から考えると、昨年に限らず物足りない数字と言えるでしょう。

 それだけドリブルでの仕掛けは出来るものの、ラストパスやクロスなどの質においては課題があるということではないでしょうか。
 単純なボールの精度というだけでなく、攻撃面におけるアイディアも足りていないところがあるのかもしれない。
 オープンな展開なら相手を抜き去って早目にクロスを上げればチャンスになるかもしれませんが、それ以外の展開だと苦労するところがある印象です。


 守備面でも課題が残ることを考えると、もっと最後の質を追求していかなければいけないと思います。
 2019年も3バックのWB時にはやることがはっきりしていたため、守備面で頑張れていたところがあったのだと思います。
 しかし、4バックになって前後に守備エリアが分かれ、プレスなどにもいかなければいけない状況になると、前年までのように中途半端なところが残ってしまった印象です。

 課題が多いのは攻守において、雑なプレーが多いからではないかとも思います。
 イージーなボールロストも目立つし、守備でもボールを見ずに体をぶつけに行く場面が多かった。
 あるいは、簡単に飛び込んで抜かれるシーンも多々ありました。


 1つ1つのプレーをもっと丁寧にやっていかなければ、ここからの成長は期待できないと思いますし、それは周囲もしっかりと見ていくべきだと思います。
 派手なプレー、自分の好きなプレーだけでは、プロサッカー選手として一流になるのは難しいでしょう。
 特に為田は2019年に主力の1人として活躍したわけですから、今度はそこからチーム全体のレベルを引き上げる存在にならなければいけない。

 それが出来ずにチームも為田自身も停滞してしまうことがあれば、お別れした方が両者のため…ともなりかねません。
 もっとも尹監督になって守備面やフィジカル、体力面などを求められれば苦戦するかもしれませんし、まずはまたポジション争いとなる可能性もあるのでしょう。
 その上でいかにタフに、そして丁寧に戦えるようになるかが、為田が次のステップに進むうえで非常に重要なところなのではないでしょうか。