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熊谷3バックの練習は「やっていました」

 琉球戦でのジェフはメインシステムの4-4-2では何度もピンチを迎えてしまいましたが、59分に新井が負傷し増嶋が投入された後に5-4-1へと変更。
 それ以降はピンチの数も少なくなり、1点のリードを守り切った展開でした。

 安田も「勝っている状況で5バックにするトレーニングはやっていました」と話していましたし、5バックを準備していたのは事実なのでしょう。
 一方で尹監督は5バックに変更したことに関して「早い時間でしたが」と話しており、どこかで妥協していた部分もあったはずです。
 4バックでもうまく戦えていた展開でジェフがリードし5バックに変更したというならまだしも、4バックがうまくいかったために早期に4バックせざるを得なかったのではないかと思います。


 熊谷もこのように話しています。

熊谷アンドリュー「間違いなく内容は良くなかったですが、しっかりとこういう試合に勝つことが第一目標でした。」
3バックの練習は事前にしていましたか?
「やっていました。全員が声を出して、しっかりと守れたと思います。」(Jリーグ

 「間違いなく内容は良くなかった」とまで話しており、勝利できたことはもちろんよかったのでしょうが、反省点も多かったということではないでしょうか。
 熊谷はこれまでのコメントでも、正直に話すことが多い印象ですね。

 一方で米倉は楽観的といえば聞こえはいいですが、どこか試合やチームに関しての感想がアバウトすぎるのではないかと思うことがあります。
 琉球戦に関しても「やばいところは通されていない」と話をしていますが、尹監督も攻められていたと語っている右サイドの選手がそう言っていいものなのか…。
 今回に限らず昨年も大雑把な感想が多い印象で、それがプレーにも表れているし、チームの主軸になり切れない要因なのかなとも感じてしまいます。


 ともかく、ジェフが5バックにしてからは、それまでより琉球のチャンスは少なくなったと思います。
 アウェイでの開幕戦で琉球にも疲れが見えて、ボールを引き出す動きが減ってしまった面も大きかったのではないでしょうか。
 それとともに、ジェフがスペースを消して守るようになったこともポイントでしょう。

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 図の通り、5バックにすることによって、横を5人で守ることが出来る。
 そうすれば4バックの時のように、SHが前方中央寄りの位置で空くことも減るし、サイドのスペースもなくなる。

 しかも、琉球戦でのジェフは開始早々に先制してそこから長らく引いて守っていたため、初めからDFライン裏のスペースを気にする必要性はほとんどなかった。
 ということは、縦のスペースは問題なく、横のスペースさえケアすればよかったわけですから、5バックにしたことによって一気に楽になった。
 昨日取り上げた図と見比べてみると。

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 サイドのスペースが狭くなった上、パスコースも減ったことになります。
 サイドへのスライドも必要がなくなったわけではないですが、スライドする距離が短くなりサイドへの守備で遅れることが減りました。

 さらに5バックの図において青い四角で示した通り、DFライン中央の密集度が増したことで、中に入ってきたボールも潰しやすくなった。
 これによって、中も外も4バック時より強くなって守れることになったということになるはずです。
 これらが、5バックがうまくいった要因でしょう。


 5バックにして後方に人数が増えた分、本来ならば前方でのプレッシャーが甘くなり、押し込まれる時間が長くなるはずです。
 しかし、ジェフは4バックでもそもそもプレッシャーに行けていなかったため、その点におけるマイナス面がなかった。
 押し込まれる時間帯に関しても、もともと防戦一方の展開だったから、大きな変化がなかったといえるでしょう。

 5バックでもシャドーが前に出ていったり、ボールサイドのWBがそれに合わせてプレスに行き、DFラインは残りの4枚がスライドして守るなど、組織的なプレスをかけるチームもあります。
 そのため、5バックだからといって一概にプレスをかけられないわけではないですが、それには組織的な準備が必要になってくるし、この日のジェフはSHが前へと出て行く意欲が初めから薄かった。
 そのため、少なくともこの日の5-4-1は、引いて守ることが前提の守備システムだったといえるでしょう。


 昨日取り上げた7分のシーンなどは、相手ボランチも相手SHもほぼフリーな状況なままシュートまで持ち込まれたわけで、パスの出し手もパスの受け手にも守備へ行けていなかったことになります。
 だからこそ、相手のミス待ち状態という印象を受ける状況でした。
 しかし、5バックにしてからはパスの出し手への守備は変わらないものの、スペースを消したことによってパスの受け手に対しては守備に行きやすくなった。

 ここが大きな変化と言えるでしょう。
 ただし、昨日も話した通り、コンパクトな4-4-2の基本は相手の出し手へも守備に行き、相手を追い込んでいく形が基本となるはず。
 開幕戦途中からの5-4-1はあくまでも相手の出し手への守備は諦めた形ですから、そもそものコンセプトが異なるといえるでしょう。


 すなわち、メインの守備のコンセプトはうまくいっていなかったと言えるだけに、手放しでは喜べないと思うわけです。
 メインの守備ということは逃げ切りの守備よりも本来は時間が長くなるはずですから、後者がうまくいったことは喜ぶべきだとは思いますが、前者がうまくいかなかったことの方が不安に感じるのも当然のことだと思います。
 しかも、前者の守備の問題にはクレーベなどが大きく関わっているわけですが、クレーベの守備問題は今に始まったものではないわけで、解決も難しいところがあるでしょう。

 昨日の話の続きにもなってしまいますが、C大阪時代の杉本、柿谷もしっかり動ける選手だったし、鳥栖時代の豊田、池田もハードワークがウリのコンビでした。
 しかし、クレーベと川又では大きく状況が違う。
 選手や時代も異なる上で、どういった対応を取るのかが重要となってきますね。