8月中旬ということで、真夏の試合となったジェフ対町田戦。
選手たちもきつそうで、特に町田はいつもほどプレスをかけてこなかったようにも思います。
前半途中から町田の動きが落ちた印象があって、その間にジェフが先制した展開だったように思います。
ジェフからすれば、得意とする先行逃げ切りのパターン。
今回はセットプレーから先制した直後に、追加点を奪えたのが大きかったですね。
これによって後半は、かなり楽に戦えたように思います。
なかなか攻撃の流れが見い出せない印象のジェフですが、1つの狙いはセットプレー。
もう1つはクロスだと思うのですが、クロスといっても単純にクロスボールをターゲットが直接狙うのではなく、今回のようにこぼれ球を拾って決める展開を狙っている印象があります。
この試合の2点目も、GKからのロングフィードを山下が落として米倉が決めるという極めてシンプルな展開でしたが、ジェフの1つの形ではあるのでしょう。
前半のうちに2点リードすれば、気持ちの面でも焦らず守ることが出来る。
町田の最後の精度にも課題を感じましたが、ジェフは集中力も切らさず、運動量も落とさずに無難に守って逃げ切れた試合だったと思います。
これでジェフは4試合ぶりの勝利となりました。
■前半終盤にジェフが2点先制
ジェフは前節負傷交代した田坂に加えて、鳥海、熊谷もメンバー外に。矢田、為田も控えに回って、ゲリア、新井一耀、見木、米倉、船山がスタメン。
控えから増嶋が外れて、岡野、小島が入りました。
町田は若いFW安藤にかわって、ベテランの中島がスタメン。
ここまでの町田はジェフとは対照的に、過密日程の中でも大きくメンバーを変えていません。
選手層の問題もあるのかもしれませんが、オシム監督同様に弟子のポポヴィッチ監督もチームの熟成を重視するという発想なのかもしれません。
序盤は一進一退の展開でしたが、徐々に町田が攻め込んでいった印象です。
13分、町田の攻撃。
中盤後方の高江からのロングボール、こぼれ球を町田が拾うと、平戸がミドルシュートを狙いますがGK新井の正面。
16分、町田のチャンス。
高江からの縦パスを、中島が反転して受けて平戸へ。
平戸がマソビッチにパスを出すと、GKと1対1になりますが新井がセーブ。
その後、給水タイムを挟むと、町田の運動量が落ちていった印象です。
30分には見木が中盤後方から、思い切ってミドルシュート。
これはGK秋元がはじき出します。
このプレーで得たCKで、ジェフのチャンス。
田口が蹴ると、山下がファーでフリーになり、頭で合わせます。
しかし、GK秋元の正面。
40分、ジェフが先制。
中盤低い位置でのFK。
田口がグラウンダーのシュートで直接狙うと、平戸が触って軌道が変わりゴール右隅に決まります。
その直後、ジェフが追加点。
GK新井からのロングフィードを山下が落とすと、川又にあたって米倉へ。
これを米倉がダイレクトで合わせ、2-0で折り返します。
■町田が攻める展開もジェフが逃げ切り
2点ビハイドになった町田は、HTで吉尾を下げてステファンを投入。ステファンが前線に入り、中島が右SHに回りました。
後半開始直後、ジェフの攻撃。
新井一耀からの大きな展開を受けた米倉が、左サイドの船山へさらに大きく展開。
船山が見木に戻すと、見木が1人をかわしてミドルシュートを放ちますが、ゴールの右を逸れます。
その後は町田がパスで崩す展開を狙い、ジェフは守りながらカウンターを伺う展開。
61分、ジェフの攻撃。
船山のアーリークロスから、山下が落とし川又がキープして、最後は米倉が狙いますがポストの左。
その直後、ジェフは川又を下げてソロモンを投入。
63分、町田はマソビッチを下げて安藤が投入され、安藤がFW、平戸が左SHに回りました。
その後、給水タイムを挟んで69分、町田は中島を下げて森村が入りました。
その後はより町田が攻め、ジェフが守る試合になっていき、70分に町田の攻撃。
右SB小田からのアーリークロス。
安藤が競ってファーにこぼれたところ、平戸が拾ってミドルシュートを放ちますが、GK新井の正面。
83分、ジェフは米倉、船山を下げて、矢田、為田を投入。
88分には町田の森村が、中盤で田口をかわしてミドルシュート。
しかし、GK新井がセーブ。
後半AT、ジェフは山下、田口を下げて、小島、岡野を投入し、5-4-1で守ります。
97分には町田の森村のクロスから、平戸が飛び込んで頭で狙いますが、枠を捉えきれず2-0で逃げ切りました。
■守備的なサッカーだから感じる相手のラストパスの質
町田のビルドアップは、狙いが明確だったと思います。ボランチの高江が下がってCB2人とパスを繋いで、相手の中盤を中央に引き付ける。
そこから、サイドに繋いでそこを起点とする。
ボールを受けるサイドの動きもチームとして狙いを持っている印象で、SBが外に張るだけでなくインサイドに回って、SHが外に出たり。
逆にSHがハーフスペースで足元に受けにきて、相手SHを引き付けておいて、外のSBを使ったり。
そこから逆サイドへの展開、中央への楔のパス、アーリークロスなど、勝負のパスを狙っていく形だったと思います。
ただ、ジェフが守備で構えて守るサッカーをしている分、相手の攻撃の質が重要になるというか、相手の攻撃がこちらからも目についてしまいますが、町田もそこからの攻撃の質に課題を感じた。
前々節の山形も町田と同様に、ビルドアップからパスワークで崩す"道筋"は見えた。
しかし、勝負のパスの質に、課題が感じられたと思います。
チームの狙いなのでしょうが、山形の場合はラストパスもパススピードが非常に速い。
確かにパススピードが速い方が、相手もゲートを閉じにくく、対人対応も遅れる可能性がある。
しかし、速いスピードのパスは、パスそのもののコントロールがずれる恐れもあるし、パスの受け手がトラップを失敗する可能性も高まる。
町田の場合も、タッチ数の少ないパスを狙っている印象があります。
しかし、ダイレクトパスなどはミスが増えることが多くなるし、そこは一呼吸置いてもいいのでは…と思うところでも、焦ってパスを出してミスをしてしまう印象がありました。
もちろんスピードの速いパスやダイレクトパスは、通ればチャンスになる可能性も高まるわけですが、選手の質の問題もかかわってくるはずです。
その点、田口のパスはレベルが高いですね。
受け手が取りやすいパススピードな上に、コントロールも正確。
視野の広さやパスを出すタイミングも含めて、パスセンスの高さを感じます。
ただ、ジェフは町田や山形のように、パスで崩す手法は持ってない分、田口のパスセンスもそこまで機能していない印象があります。
ジェフの攻撃の場合は、冒頭で話したように、セットプレーとクロスのこぼれ球を拾う攻撃がメインになっていると思います。
テクニックよりも、フィジカルを前面に押し出したサッカーということですね。
そうなってくると、ターゲットは川又やクレーベ、ソロモンなどとして、セカンドボールを拾ってゴールを狙える選手が欲しい。
それが山下であり、米倉などとなるでしょうか。
この日、惜しいシュートを狙っていた見木も、そのサッカーにあっているのかもしれません。
ただ、拾ってのシュートだけでなく、クロッサーも欲しいし、単独でのドリブル突破も、守備もできてほしい。
そう考えていくと、ジェフもSHの質がやはり要求されるのではないかと思います。
2列目に多くの仕事を要求されるところが悩ましいところで、だからこそSHが流動的なのかもしれません。
ジェフはパスサッカーを狙っているわけではない分、連携面の熟成以上にその時のコンディションなどが重要と考えて、スタメンが入れ替わっているのかもしれません。
町田戦では米倉が1つ仕事をした。
しかし、それでもフル出場とはいかなかったことからも完全に信頼されているわけではないのかなと思いますし、SH争いを誰がリードしていくのか注目ではないかと思います。