注目されたジェフのスタメンですが、今までのAチームとBチームを混ぜたような顔ぶれとなりました。
ユン監督もターンオーバーをやめることを示唆したようでしたし、今後ははっきりとチームを分けることはないのでしょうか。
また、愛媛戦では積極的にプレスをかけていった印象でした。
これまでもプレスをかける時間はあったものの、キックオフ直後やビハインドの展開など、状況に合わせたものだったと思います。
しかし、この試合ではなるべく常に、相手にプレスをかけていこうという意思を感じました。
クレーベなどをスタメン起用せず、比較的走れる選手が多かったこともあってか、終盤に体力が落ちることなく戦えたと思います。
特に後半途中からは、集中して守備に入れていた印象もあります。
単純にいつもよりも、気持ちが入っているかなといったようにも思えました。
ただ、前半は何度も中盤の間を取られていましたし、やり方を変えただけで中身は変わっていなかった印象も受けました。
後半の方がうまく戦えていたようにも見えましたが、それでも何度も愛媛にチャンスを作られていた。
では、何が今までと一番違ったのかと考えると、愛媛の決定力だったように思います。
それだけに、この試合だけでは何とも言えず、今後の試合でこの戦い方の評価が固まってくるのではないかと思います。
プレスにいったとしても、この日の前半のように簡単に交わされれてしまっては、逆に相手にスペースを与えかねない。
大事なのはプレスに行って、プレスで相手の攻撃を止められるかですから、その点ではまだまだ課題が多いといった印象です。
■攻め込まれるも2-0で折り返し
田口が出場停止となったジェフは、ゲリア、船山、クレーベがベンチに回り、新井、堀米がメンバー外。鳥海、本村、三木、為田、矢田、川又がスタメンに入りました。
愛媛の岡本は町田戦で2失点に絡むミスを犯して、ここ2試合試合に出ていませんでしたが、この試合で復帰。
また、今年2月に左足アキレス腱断裂で全治半年と診断されていた吉田眞紀人も、ベンチに復帰しました。
そのほか、前野、西岡大志、田中、渡邊一仁、長沼といったメンバーが先発復帰しています。
3分、早い時間帯に、ジェフが先制。
中盤でのセカンドボールから、為田が競り勝って縦へ突破。
中央でフリーになった川又が決めて1-0。
しかし、その後はジェフがプレスをかけていくものの、愛媛がかいくぐってチャンスを狙う展開が続きます。
6分、愛媛の攻撃。
渡邊が見木のプレスを交わして縦パス、森谷が間で受けて西岡がクロスを上げると、丹羽が飛び込みますがオフサイド。
14分にも愛媛の攻撃。
逆サイドからの大きな展開を受けた長沼が、カットインしてミドルシュート。
しかし、ジェフの選手にあたって枠の外。
15分、愛媛の決定機。
左サイドからのスローインで長沼が抜け出すと、中央へクロス。
西岡がフリーで合わせますが、ジェフのDFにあたり、こぼれたところを森谷がつめますが、GK新井がキャッチ。
27分にも愛媛の攻撃。
渡邊からの縦パスを間で受けた、森谷がダイレクトで前方へ。
横谷が仕掛けますが、ここは鳥海がストップ。
先制後は愛媛ペースですが、後半終盤は若干勢いが落ち着きます。
すると、43分、小島からのロングパスを受けた本村が相手に押されてPK。
これを川又が決めて、2-0で前半を折り返します。
■愛媛がチャンスを作るも決めきれず2-0で勝利
2点ビハインドの西岡、田中、渡邊を下げて、山瀬、有田、川村を投入。丹羽が右WB、有田と森谷の2トップ、1ボランチに川村となりました。
52分、愛媛の決定機。
中盤右で得たFKを、森谷が蹴ります。
ファーでフリーになった丹羽が合わせますが、ネットの外。
56分にも愛媛の決定機。
間で受けた森谷から、長沼が抜け出しクロス。
フリーの丹羽がファーで合わせますが、GK新井がファインセーブ。
このプレーで得たCKでも、愛媛のチャンス。
一度はジェフが跳ね返しますが、再び森谷が鋭いクロス。
ニアで山瀬が飛び込んで、ファーで丹羽が飛び込みますが、ここでもシュートを決めきれず。
59分にはジェフのチャンス。
セカンドボールがこぼれたところを、安田が拾ってロングフィード。
山下が抜け出してループ気味のシュートを放ちますが、枠をとらえきれず。
その直後にも愛媛の決定機。
右サイドの森谷から鋭いクロス。
山瀬がニアで触ってファーで有田が触ってゴールかと思いきや、有田のところでオフサイド。
67分、ジェフは矢田を下げて船山を投入。
69分、愛媛は横谷を下げて藤本を投入すると、このタイミングで丹羽が左、長沼が右に入れ替わりました。
その直後には相手のパスミスから、船山がシュートを放ちますが決めきれず。
75分、ジェフは川又、本村を下げて、クレーベ、ゲリアを起用。
83分にも、愛媛のチャンス。
CKの後に愛媛が繋いで、川村がクロスを上げると、丹羽、山崎、茂木とシュートを放ちますが、決めきれません。
その後、丹羽を下げて吉田を投入。
吉田が右ウイングに入り、攻撃時は前野が左SBに上がる変則的なシステムに。
86分、ジェフは為田を下げてアランを投入し、右にアラン、左に船山を起用。
90分にも愛媛の決定機。
川村からの縦パスから、前線で落として有田がシュート。
しかし、GK新井が正面でセーブし、2‐0でジェフが逃げ切りました。
■このプレスを整備することができるのか
冒頭で話した通り、前半はあまりこれまでと内容は変わらなかったと思います。確かにこれまでとは違って、常時プレスをかけようという意欲は感じました。
しかし、プレスがはまりきらず、かわされてしまうことが多かった。
中途半端に囲いに行ったり、単独でボールホルダーに行って、裏を取られてしまう場面も目立っていました。
結果的にプレスに行っても、中盤の間を取られることには変わらず、問題の本質は変わらなかったように思います。
ただ、愛媛は試合前にも話した通り、大事なところでのパスミスが多い。
この試合ではシュートミスも多く、愛媛のミスに救われた試合だったと思います。
そういった最後の部分は選手の質が問われるところだと思いますし、愛媛が下位に低迷している要因だと思います。
愛媛に限らずJ2ではよい戦いをしていても、ゴール前での精度の問題で勝ち点を稼げない。
それによって、下位に低迷するチームが多いですね。
この試合もチームとしての方向性や組織的な整備は、愛媛の方が上だったようにも思わなくもありません。
ジェフは攻撃に関しても、得点シーン以外はほとんどチャンスを作れていなかったと思います。
内容に関しては大きく変わっておらず、前線へのロングボールからの落としと、ボランチからの大きな展開によるサイドアタック。
それ以外の攻撃は作れていなかった印象です。
それでも、基本的にはこの戦い方がメインとなるのでしょう。
攻撃は長いボールを主に使って、アバウトに勝負。
そして、守備で何とか粘ると。
スタメンもなるべく守備ができる選手、走れる選手を使って粘り強く戦う方がいいのではないでしょうか。
そのためにも、大事なのはこのプレスをしっかりと整備できるかどうか。
この苦境に立たされて、今からプレスを整備するというのもどうなのかと正直思いますが、それにかけるしかないようにも思います。
6試合ぶりの勝利とはいえ、20位のチームにチャンスを何度も作られての辛勝。
決して喜ぶべき内容ではなかったと思いますし、ここからさらなる変化を遂げられるかが求められるところではないでしょうか。