東京V戦で、久々の敗戦を記録したジェフ。
内容にも乏しく攻守に対策が明らかになりつつあるのかなとも思いますが、3バックでも良い面を出せている部分はあると思います。
守備面では後方を埋めることに成功していますが、攻撃面での効果は岡野の攻撃参加がアクセントになっていることではないでしょうか。
3バックになってレギュラーに定着した岡野は5月5日の船山のヘディングシュートをアシストすると、5月29日の大宮戦でも見木のゴールを演出。
CBで早くも2ゴールをアシストしているというのは、見事だと思います。
先日の東京V戦でも岡野のプレーから、船山のシュートまで持ち込みました。
16分、小田のサイドチェンジは大きく外れますが、安田がボールを拾います。
そこからパスを繋いで低い位置から小林が縦パス。
これをうまく岡野が反転して佐藤優平とパライバの間で受けると、少し前進して船山にパス。
船山はそのままミドルシュートを狙いますが、枠を捉えきれず終わっています。
図の黄色エリアで示した通り、ポイントは右サイトに3人の選手がいることでしょう。
ジェフはシャドー、WBに加えて、ストッパーも後方から攻撃参加している。
基本的にはサイドを2枚で守ることが多いですから、数的優位を作りやすい。
これは、日本代表時代のザッケローニ監督も狙っていた形ですね。
守備的な尹監督がCBを攻撃参加させるのは意外な印象でもありますが、ザッケローニ監督も基本守備志向な監督でした。
岡野が上がっている時にはボランチは下がっていることが多いので、そこでカバーできれば問題ないという発想なのでしょうか。
その分、ボランチの攻撃参加は難しくなるかもしれませんが、もともと中央からの攻撃は少ないチームですので、マイナス面は少ないのかもしれません。
東京V戦でも岡野は右SBに近い動きをしていましたし、時には安田より前でボールを待っていました。
後方から3枚で細かなビルドアップをするという発想ではないだけに、岡野を前に出しやすいという面もあると思います。
岡野はもともと鋭いパスは出せる選手で、スピードもあって、前に出ていけるタイプでもあったと思うのですが、それらが3バックになって、攻撃面でも活かせるようになったということでしょう。
しかし、上記のシーンでは小林からのパスを受けて反転して前を向いていますし、キック力やスピードだけでなくうまさも見せてきたのは驚きでした。
攻撃参加のセンスなども含めて、大分で学んできたところも大きいのでしょうか。
一方で、チームとしてこのようなサッカーを積極的に展開していくのであれば、左ストッパーには左足のCBを置きたいところではないかと思います。
現状だと鈴木大輔が前に出ていくこともありますが、右利きなので中央寄りを走ることが多く、サイドで前に出ても詰まってしまうことがある。
結果的に3バックでの攻撃面の効果は、右サイドに偏っている印象です。
しかし、他に左利きのCB候補はおらず、そもそも今年はCBの頭数が少ないわけで、急遽3バックにした弊害も出ているように思います。
天皇杯でCBとしてプレーした高橋も、守備力などを考えればテストというより単純に人数不足で任されたのではないでしょうか。
小田あたりなら可能な気もしますが、守備的なチームでCBに本職以外を使うのもどうかと思いますし、小田を回せば今度はWBが少なくなってしまいます。
また、現状だと岡野の攻撃参加は、あくまでも攻撃にプラスをもたらすアクセントだと思います。
その動き自体が攻撃を作るのではなく、他でパスワークなど起点を作っている状況で、そこに岡野が加勢する形と言えるのではないでしょうか。
プラス要素をもたらしていますが、メインウェポンとは言いにくいと思います。
そのため、東京V戦でも岡野の攻撃参加が光ったのは、前半中頃の短い時間だったと思います。
この時間は全体的に相手を押し込めていたこともあって、東京Vが右サイドの3人を捉えきれず攻撃を作れていましたが、それ以外ではあまり目立たなかった。
パスワークなどその他の形で起点を作りつつ、岡野が飛び出してアクセントをつけていく形が理想ではないかと思いますから、やはり攻撃のベース作りが問われることになるのではないでしょうか。