まずやはり雨天延期試合と天皇杯もあって、連戦だった長崎の動きが悪かったですね。
序盤から動きが重く、後半もペースを上げられなかった。
特に前節も途中交代している中心選手のカイオなどは、コンディションが厳しいのではないでしょうか。
ただ、それを差し引いても、ジェフからすれば好ゲームだったと思います。
前からプレスに行けていて、裏や中盤を取られることも少なかった。
パスの出所を抑えられているから、中盤から後方も前に潰しに行けて、相手に自由を与えませんでした。
そして、攻撃でもしっかりとパスを繋いで、攻め込むことができた。
特にこの日いつもと違ったのは、ソロモンが前線中央で起点になれていたこと。
これによって中央からも攻撃が作れたことで、ゴールに攻め込むことができた。
ソロモンはゴールという結果も残せましたし、見事なプレーだったと思います。
ソロモンの活躍もあって、今季ベストの試合だったのではないでしょうか。
これを続けられるかが、注目ですね。
■CKからソロモンのゴールでジェフが先制
ホームのジェフは、スタメン変更なし。サブから伊東が外れて、高橋が戻りました。
連戦中の長崎は、水曜の試合で負傷交代したウェリントン・ハットがメンバー外に。
高卒二年目の加藤聖が復帰し、左SB米田が右SHに回って、毎熊は右SBに。
ベンチには、元ジェフのGK高木和や八千代高などで米倉と戦った山崎などが入りました。
ジェフはこの試合でも、高い位置からプレスをかけて行きます。
一方の長崎も慌てず冷静に4バックとボランチで、パスを繋いでいきます。
長崎がボールを持つ時間帯が目立つものの、徐々にジェフもボールを持つ時間が作れ始めていました。
そして、13分、ジェフが先制。
左サイドからのCK。
矢田が蹴るとゴール前でソロモンが競り勝って、ヘディングシュートを決めました。
18分にもジェフの攻撃。
右サイドからのCK。
福満が蹴ると、こぼれたところを末吉が狙いますが、GK富澤がセーブ。
26分には長崎のチャンス。
左サイドからのFK。
毎熊が蹴ってニアでエジカルがフリーで合わせますが、GK新井の正面。
27分にはソロモンの個人技でチャンス。
後方からのFK。
ソロモンが競ってこぼれたところを奪い返し、ターンで一人かわしてシュートを放ちますが、GK富澤がセーブ。
32分にもセットプレーからジェフのチャンス。
左サイドからのCK。
一度は跳ね返されますが、再び放り込み混戦状態になったところを鈴木が狙いますが、GK富澤がセーブ。
36分には長崎の攻撃。
左サイド後方からのFK。
加藤聖が鋭いボールを蹴って、エジカルが合わせますが、枠を捉えきれず。
39分にはジェフの攻撃。
左サイドからのCK。
福満が蹴ってチャンがヘディングで合わせますが、GK富澤が正面でキャッチ。
43分、長崎の攻撃。
新里からゴール前へのロングパス。
こぼれたところを加藤大がダイレクトで狙いますが、GK新井がセーブ。
その直後にも長崎のチャンス。
カイオが、矢田からボールを奪たったところからカウンター。
エジカルが繋いで米田につなぐと、米田が仕掛けて鋭いシュートを放ちますが、ゴールの左隅を逸れます。
徐々に長崎もペースを上げていきましたが、ジェフの1点リードで折り返します。
■試合終盤に追加点を上げて2‐0で勝利
後半も一進一退といった展開。55分、長崎はエジカル、加藤大、澤田を下げて、都倉、植中、鍬先を投入。
都倉と植中の2トップになり、名倉が右SHに回りました。
57分、ジェフの攻撃。
左サイドのスローインから田口、見木と繋いで、末吉がクロス。
足元で受けたソロモンが反転してシュートを放ちますが、加藤聖がブロック。
60分頃から徐々にジェフの運動量が落ちていき、61分には長崎の攻撃。
中盤の間で受けた米田が、右足でミドルシュート。
しかし、GK新井がセーブ。
65分、ジェフはソロモン、矢田を下げて、サウダーニャ、船山を投入。
68分にも、福満に代えて安田を起用。
70分には左サイドのCKを船山が蹴ると、こぼれたところを見木が狙いますが、サイドネット。
72分には長崎の攻撃。
右サイドで見木から名倉をボールを奪い、植中につないで、中央の都倉がヒールキック。
米田がミドルシュートを狙いますが、大きく枠を逸れます。
77分、ジェフは足のつった熊谷と新井一耀をさげて、高橋と岡野がが入りました。
同時に長崎も加藤聖を下げて、山崎を投入。
米田が左SBに回りました。
80分、長崎の攻撃。
左サイドで山崎と米田が繋いで中央へ。
間を取った鍬先がミドルシュートを放ちますが、ゴールの左。
試合終盤、ジェフの運動量も落ちて引いて守る時間帯が続きましたが、長崎もペースを大きくは上げられず。
96分には長崎のアバウトなキックを田口が受けて、見木がスルーパス。
これを船山が決めて2‐0で試合終了となりました。
■プレスとポストプレーが効いて快勝
システムも4バックから3バックに変更し、引いて守るスタイルや現在のハイプレスなど、戦い方がふらふらしているシーズンなので評価も難しいですが、個人的には今季ここまでのベストゲームではないかと思います。特に試合序盤から60分程度までうまく戦えたことが、2‐0での快勝に繋がったのではないでしょうか。
長崎はキックオフ直後から4バックとボランチでパスを繋いで、ジェフのビルドアップを外そうとしてきました。
ここ数戦、ジェフは高い位置からプレスをかけて行くようになったので、逆にうまくそこを剥がせればその裏を取ることが出来るという判断だったのではないかと思います。
しかし、そこに対して、ジェフもしっかりと対応していきました。
ジェフは1トップ2シャドーでプレスをかけて行くということで、対する長崎は4バックで広くパスを繋いでいきました。
特に右SB毎熊が後方から前に顔を覗かせつつボールに絡むことによって、左シャドーの見木を後方に押し込んでいった。
これによって、ジェフのプレスを分散させ、圧力を弱めていこうという狙いだったように思います。
ただ、ジェフも見木は押し込まれても、矢田が前方に残ることによって、ソロモンのプレスを孤立させなかった。
長崎の若い左SB加藤聖は素晴らしい左足を持っているものの、パスワークへの絡みはもう少しだったので、そこはある程度無視していいという判断だったのかもしれません。
その分、見木が後退してもソロモンと矢田が残って、相手2CBに圧力をかけていきました。
それでも長崎が右サイドから中央に戻して、ボランチに繋げることも多かったですが、そこに対しては田口と熊谷が前に出て対応していった。
これによって長崎は中央からもパスワークを作れず、ドリブラーの名倉などもなかなか前を向けない状況を作れていたと思います。
ボランチが前に出ていけたのもラインをキープ出来ていたからで、それを可能にしたのも前からのプレスだったと思いますし、サイドで前を向かせないスライドも含めて、全体的に良い守備が出来ていたと思います。
さらにジェフは攻撃面においても、ボールは持ててもシュートまで行けない。
攻め込めてもサイドからしか仕掛けられないということが多かったですが、この試合ではソロモンが前線で起点になったことで、中央からも攻め込むことができた。
ソロモンは空中戦だけでなく、足元でのポストプレーでも起点になっており、そこから攻撃が作れていました。
中央から攻撃が作れればゴールにも近いし、中央を警戒されればよりサイドも空いてくる。
さらにソロモンが入ったことでゴール前にも強さが生まれ、サイド攻撃やセットプレーでも怖さが生まれましたね。
ここ最近はサイドからクロスを上げてもゴールの匂いを感じませんでしたが、ソロモンがうまく競ることが出来れば何かが起こるのではないかという可能性を感じるようになりました。
欲を言えばもっと流れの中から攻撃を作れればとも思いますが、それ以上に今のジェフとしては今回のような試合を今後も続けられるかどうかが大事でしょう。
毎試合ではなくとも、2試合に1試合、3試合に2試合と、その確率を上げられるか。
それが安定感というものだと思いますし、そのためにもこのスタイルで固定化できるかどうか、チームの方向性を決めてそれを諦めずに目指すことが出来るのかが、足りていない部分ではないかと思います。
今回は長崎の動きがもう1つだったことも考えなければいけないと思いますし、ソロモンや福満など最近入ってきた選手の状態が良いからこそ良い試合が見せられた部分があるかもしれません。
特にソロモンのコンディションは重要で、昨年ターンオーバーをしていたBチームの時も、ソロモンの高さに頼っていた時期があったはずです。
このままソロモンがブレイクすることに期待しつつも、ソロモンを極端に消耗させないことに気を付けつつ、戦っていかなければいけないのかもしれませんね。
今回見せた可能性を、今後にうまく繋げてほしいと思います。