少し前の話ですが、オシム監督がNumberのインタビューに答えています。
前編後編に分かれており、前編では欧州の移籍マーケットに関して語っています。
基本的には移籍が活性化するのは歓迎すべきで、それによってクラブ間、リーグ間の距離が縮まる方向に進んでいるという考えのようです。
個人的には、後編の内容をより興味深く読ませていただきました。
「サッカーの能力だけに限らない。知性やメンタル面でのクオリティなど、様々な面を見ていかねばならない。サッカーだけを見ていればいいのではない。(中略)学校に行って学ぶことが絶対に必要だ。」
「知性がとても重要だ。サッカーでは大金を得ることができるが、その金をどう使えばいいかを考える。(中略)人間にしろ組織にしろ、支援ができるものたちがいる。他方で彼らの支援を必要としているものたちも大勢いる。彼らを助けねばならない。知性やノウハウなどすべてを動員して。」
この後に新型コロナウィルスの話もされていますが、このコロナ禍で大きな影響を受けたイベント業界や飲食業界など一部関係者は、「自分たちの文化や業界を潰さないで」と強く訴えていました。
気持ちはわからなくもないですが、狭い世界で考えれば理解できる意見であっても、社会全体で考えるとどこかズレていることもある。
特に現在は多様性が進んだ社会となっていますから、ある人にとっては命よりも大事な音楽・スポーツ・娯楽であろうとも、他の多くの人たちから見れば必要のないものかもしれない。
だからこそ、自分たちの欲求を訴える以上に、自分たちがいかに社会にとって必要なのかを証明しなければいけない。
自分たちの価値を高めるためにも、周りを助ける努力をしなければいけないのだと思います。
そのためにも、お金などの使い方も学ばなければいけないのかもしれないし、自分の関係する業界の発展のためにもそういった知性が必要ということなのかもしれませんね。
そう考えていくと、改めてオシム監督の愛弟子ある巻が震災で大きな活躍を見せたことは、忘れてはならない大事なことだと思います。
それによって選手としてのパフォーマンスが落ちた部分もあるかもしれませんが、それでも社会に大きく貢献したことは1人のプロ選手として大きなことでした。
そういった活動が認められれば、自分たちが苦労した時に周りが救ってくれるかもしれないし、常日頃から自分たちの必要性を証明する努力をしていかなければいけないのかもしれません。
ジェフもJ2歴が長いですが、それでもスポンサーは残り、環境も良く、高額な年俸も払えて、サポーターもいる。
そのため、ジェフ内部から見れば大きな問題はないのかもしれませんが、社会から見ての価値は徐々に下がりつつあるのかもしれない。
特にこのコロナ禍で一度離れた人たちもいるかもしれないわけで、今こそジェフというクラブの価値をいろいろな観点で高める努力をしなければいけないのかもしれませんね。
さて、ジェフの次の対戦相手は、そのオシム監督の弟子でもあるポポヴィッチ監督率いる町田となります。
町田は現在16勝7分9敗で勝点55の6位ということで、ジェフは久々に上位チームとの対戦となります。
ジェフは現在11勝11分10敗の勝点44の10位ということで、順位は4差ですが勝点では大きく離されています。
ポポヴィッチ監督率いる町田は、鋭い縦パスとダイレクトパスなどによる速い攻撃が特徴的。
そこからうまくスペースを取る動きを意図として感じ、迫力のあるカウンターを見せてきます。
攻撃に入った時の選手のスプリントの数と質は、オシム監督時代のジェフも彷彿とさせるところもあるかもしれません。
縦が封じられれば、ポストプレーや横パスも使って、フリーな選手を作り出してさらに縦へ。
遅攻時にもスピードある楔のパスからの展開を狙っており、縦パスに連動して他の選手も走り込んでくるイメージです。
就任1年目はそのスピードある展開に選手たちの技術が対応しきれていなかった印象ですが、若い選手たちを中心に起用することで、そこへの慣れを感じるようになってきました。
また、守備においても4‐4‐2で相手を睨みながら、縦へ速くプレスに行くことで相手を潰していく。
縦だけだと苦しいはずですが、多くの選手がアップダウンを繰り返すことで、チーム全体でバランスを取っているのではないかと思います。
前への姿勢を見せることで、個々の粘りも生まれてきた印象で、攻守に成長を感じるチームではないでしょうか。
町田は前節までの5試合で、4勝1分と好成績を収めていました。
しかし、前節は優勝を争う磐田と対戦すると、うまく相手が町田のプレスをかわすパスワークを展開し、2‐1で敗戦してしまいました。
昇格圏内にいるチームを直接叩くチャンスを逃してしまったことで昇格もかなり厳しくなったように思いますし、それによるメンタル面の低下も気になるところではないでしょうか。
また、ジェフ戦は昨年から見ていくと、1勝2分でジェフが勝ち越し。
ジェフもここ3戦は2勝1分と好調ですし、ジェフとしては良い印象で試合に臨めるかもしれません。
町田はカウンターがメインのチームですので、後方を固めるジェフは相性が良いのかもしれません。
ただし、最近のジェフはボールを保持して、相手を押し込む時間も増えています。
ダブルボランチが両者とも前に出ていくことも珍しくないし、左右CBも攻撃参加していく。
ここ最近のチームはあまりカウンターが怖くなく3試合無失点で切り抜けていますが、町田は6月13日の秋田戦以降毎試合ゴールを決めていますし、その町田相手にどこまでやれるのか楽しみですね。
両チームともにセカンドボールへの対応を重視している印象もありますから、中盤での球際も勝負所ではないかと思います。
そこで勝てたチームが、試合の主導権を握れるのかもしれません。
田口、熊谷とベテランの域に達するボランチに挑む、若手の高江、佐野という構図になるのでしょうか。
また、ジェフはここ3試合で2得点止まりということで、どうゴールを目指すのか。
町田はボールに寄ってくるチームだと思いますので、うまく揺さぶってシュートまでもっていきたいところではないでしょうか。
ジェフは昇格も降格もほぼない状況となっていますが、久々の上位チームを相手に自分たちの価値を示せるように頑張ってほしいですね。