2021年シーズンを振り返る前編 1年間のチームの推移

 今年もシーズンのまとめを2回に分けて、行っていきたいと思います。
 昨年は新型コロナウイルスの影響による中断期間も長かったので、今年のJリーグは長く感じましたね。
 シーズン序盤の状況は記憶が薄れつつもありますが、少しずつ思い出しながら振り返っていきたいと思います。

■4‐4‐2によるプレスと左サイドからのパスワーク

 尹監督体制2年目となったジェフ。
 前年はクレーベなどの起用もあって、前線からプレスは緩くなりがちでした。
 今年J1鳥栖で活躍し更なるステップアップも噂される山下よりもクレーベを重視していたことからも、尹監督はFWの守備力をそこまで重視していないように見えます。

 それは今年一時期サウダーニャを1トップで起用したことからもわかることで、前からのプレスも必要であればかけていきますが、尹監督の中でマストではなく、それよりも得点力という発想ではないかと思います。
 しかし、今季序盤は選手の入れ替えもあって、大槻、見木、ブワニカなど走れるFWが増えたこともあって、前からプレスをかけて行くことが増えました。
 それによって、昨年より押し込まれる時間帯は減ったように見えました。


 ただ、プレスを整備しきれずに掻い潜られたり、4バックの鈴木大輔新井一耀、チャンなどのパワーが足りず、失点が目立つ展開となってしまいます。
 チャンは今でこそ評価が高まっていますが、あくまでも3バックのセンターだからやれているところもあるのではないでしょうか。
 鳥海の穴は大きかったように思いますし、このままチームは崩れていってしまうのではないかという雰囲気すらありました。

 また、攻撃においては福満を右SHに起用して、逆サイドまで流れて岩崎や見木、小田などとパスを繋いでいきました。
 昨年もサイド攻撃が多かったとはいえ、細かくサイドでパスを繋いではいなかったし、昨年見られなかったサイドで四角形を作ってハーフレーンからフォローするという動きも見されました。
 そこは攻撃を任されていると言われていた小林コーチの存在が大きかったとは思うのですが、そこからゴール前に侵入するという展開までは作れず、得点面でも苦労した序盤戦となってしまいます。

■5バックで引いて守ってカウンター

 1勝2分3敗と厳しいスタートとなったジェフは、4月11日の金沢戦途中から5バックに変更し1‐0で逃げ切ると、次の栃木戦では3バックでスタートし0‐0の引き分けに。
 そこから3バックで戦うこととなったわけで、当初は望んで3バックにしたのではなく、4バックで苦戦したため仕方なく変更したのだと思われます。
 3バック初期には大槻やソロモンなどを使って積極的にプレスをかけていきましたが、これもまずはプレスと5バックで守備を立て直すという意図だったのでしょう。

 しかし、新型コロナウイルスの影響で合流が遅れていたサウダーニャが、5月に合流するとスタメンに抜擢。
 サウダーニャはドリブル突破力が高く、1人でチャンスを作れるため、カウンター重視になっていきました。
 ただ、安定したプレスは期待できない選手なので、どうしても引いて守る時間帯が長くなっていきます。


 初めのスタメン5試合で3ゴールを決めたサウダーニャでしたが、徐々にドリブル対策が取られ、他に強みがないこともあって、封じ込められる試合が増えていきます。
 ちなみに、サウダーニャの今季のゴールはその3つのみでした。
 また、3バック当初は活躍していた米倉も怪我で離脱し、小田も一時期は好調でしたが勢いがなくなり、右CB岡野の攻撃参加にも魅力を感じましたが、安定感に難があると見られたのか新井一耀に代わっていきました。

 引いて守る守備に関しても対策が取られ、後方から縦パスを出される形で崩される回数が増えていった印象です。
 さらに、ボール奪取の位置が低いため、カウンターも狙いづらいという問題がありました。
 このスタイルも長くは続かず、オリンピック中断明け後の8月中旬からソロモンが起用されることになりました。

■プレスとボール保持から押し込むサッカーで巻き返す

 再び前線のソロモンからハイプレスをかけて行くことで、打開を図ることになりました。
 また、それにより、ボール保持の時間も長くなっていった印象です。

 当初は3バックに変更したことにより、パス回しにもぎこちなさがありました。
 また、前後しますが、5月末に負傷した米倉に続き、7月中旬には小田も負傷し、WB不足の問題も発生。
 しかし、8月中旬からは右に福満、左に末吉とWBも固定化され、徐々に連携が深まっていった印象です。


 そして、9月から無敗街道を突き進んでいきます。
 守備で積極的なプレスをかけ、サイドから持ち上がることによって、相手を押し込む。
 そこからボールを蹴らせて、ボランチが回収し、さらに仕掛けるという得意のパターンが生まれます。

 これによって、守備機会を減らし、攻撃機会を増やすことによって、成績を上げていきました。
 この時期は全体的にコンディションも良く、個々のインテンシティが強く、球際で競り勝つことがベースとなっていたのではないかと思います。
 また、田口を中心としたパス回しも質が上がっていき、簡単には奪われなくなっていきました。


 攻撃時には左CB鈴木が外に開いて前に出て、左SBのような役割を果たし、後方は2CBが残る。
 そして、鈴木、末吉、見木、田口などが左サイドでパスを回す、シーズン序盤の攻撃に近いものが見られるようになっていきます。
 これによって高い位置までボールを持ち込み、時間を作り、相手を押し込むという流れが作られていたと思います。

 ただ、今回もそこからゴールを奪う回数は少なく、遅攻の質は課題のまま終わった印象です。
 得点源として威力を発揮したのが田口が蹴るプレースキックで、ピッチ中央からでもチャンスを作れる高精度のキックを連発していました。
 序盤は怪我で出遅れた田口でしたが、夏頃から調子を上げていったことも大きかったのではないでしょうか。


 田口のFKに加えて、ターゲットにはソロモンと3CBがいる。
 セットプレーのターゲットが増えることは、3バックの隠れたメリットの1つだと思います。
 ただ、プレースキックに頼るだけでは安定した攻撃に結びつかないと思いますし、田口に何かあった時の不安も残りますね。

 また、相手を押し込み続ければ良い流れで戦えますが、そうではない時は逆に押し込まれてシーズン中盤のような苦しいサッカーになっていました。
 来年以降を考えるとジェフが押し込む時間を増やすのか、ジェフが押し込まれても戦える状況を作るのか、いずれかの解決策が必要となるのではないでしょうか。
 結果的に最終節まで負けずに終えましたが、中位から上位チームとの対戦が増えた終盤は、引き分けも多い結果となってしまいました。


 チームの推移を1つの図にまとめました。

 今年も戦い方の入れ替わりが多かった印象で、特にシーズン序盤は苦労した年だったと思います。
 そこから立て直せたことは非常に良かったですが、そこからどうなるのかといったところで後編に続きます。