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2021年シーズンを振り返る後編 中位のメンタリティからの脱却を

 前編では2021年のチームの推移に関してお話ししたので、後編では来年の話をしてきます。
 尹監督の続投が決まっているだけに、良い面でも悪い面でも予想はしやすいと思うので、その上でどう賢く準備していくかが大事ですね。

■頻繁に変わるスタイルに積み上げは?

 前編でもお話ししたように、尹監督2年目のジェフは今年も頻繁にスタイルを変えて戦った印象です。
 それだけに、シーズン終盤に好調だったスタイルを来年も維持できるかが、来年初めの注目点となるのではないでしょうか。

 以下の通り、尹監督は昨年もスタイルの変更が多かった印象です。

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 特徴として、1つのスタイルが頭打ちに合うと、次の戦い方を模索する傾向があると思います。

 例えば京都のキジェ監督は湘南時代から変わらないスタイルを持っているため、今季もぶれずにチームを強化してきた印象です。
 それと比べると、尹監督はダメなら次へという手法で、戦ってきたと言えると思います。
 どちらが良いかというよりタイプの違いとも言えるのかもしれませんが、正直2年間でこれだけ頻繁に変わるとそれだけでも不安になる部分があります。


 監督のポリシーとして、守備重視という傾向はあるにしても、プレスに行くのか引いて守るのか。
 ポゼッションなのか、カウンターなのか。
 厳しく言えば行き当たりばったりにも感じ、本当に尹監督がやりたいサッカーが見えにくかっただけに、積み上げも期待しづらいところがあるのではないでしょうか。

 例えば、今季の3バック変更も多くの関係者が、予想は出来なかったと思います。
 そうなると、当然補強も難しくなるし、実際今年はシーズン中に退団する選手も多かった。
 初めからスタイルやそれに伴うシステムがはっきりしていれば、もっと上手いやり方もできたはずだと思いますし、逆に来年4バックに戻しても驚きではないでしょう。


 そして、昨年も今年もスタイルを変えた直後は成績が上がりますが、徐々に成績が下がってきてしまう傾向も感じます。
 実際、シーズン終盤も無敗記録が始まった9月下旬から10月末までは5勝2分と素晴らしい成績でしたが、11月初めから最終節までの成績は3勝3分と成績が落ちていることになります。

jefunited.co.jp
 こういったタイプの監督は、現戦力でのベストの戦い方を見つけだすことがうまいのかもしれませんが、戦力が変わればまたそのベストの戦い方も変わってしまう可能性があるはずです。


 あるいは、巡り巡った結果、今のスタイルがベースとなり、来年は積み上げの年とできるのか。
 いずれにせよ、少なくともこの2年は積み上げて成長したというより、スタイルを入れ替えててやりくりしてきたと言えるだけに、ここからの成長・飛躍に関しては、また別の能力が問われるのではないかと思います。
 特にジェフの場合はシーズン終盤には強いという傾向もありますし、終盤の好成績を手放しで喜んでいては危ないのではないでしょうか。

 積み上げる方向で行くのであれば、具体的に強化ポイントを考えると、前編でも話した通り押し込んだ状況で安定した戦い方が出来ていただけに、それを強化して引き延ばせるのか。
 あるいは、押し込めない状況でも安定した戦い方が出来るように、セットした状況での守備やカウンターを改善できるか。
 また、攻撃がセットプレー頼りだったことは否めないので、流れの中での攻撃が構築できるかが課題となると思います。

■中位のメンタリティからの脱却を

 色々な見方があると思いますが、来季に向けての一番の心配は油断ではないかと思います。
 確かにシーズン終盤は久々に好成績を収め、危なげない勝利も見せていました。
 ただ、そうはいっても、1年間トータルで言えば8位とプレーオフ圏内にすら入れていません。

 10月に発売されたサカマガのジェフ特集で、ちょうど巻も話していましたが、2008年の奇跡的な残留を果たした後のオフは非常に緩い雰囲気でした。
 残留争いをしていたにも関わらず、まるで翌年の大活躍が約束されたかのような空気感のままオフを過ごしたのですが、実際には惨敗でJ2降格となっています。
 それ以降もジェフはシーズン終盤は好成績を上げることが多いですが、それを翌年に繋げず停滞することが多くなっています。


 また、今季終盤も同点に追いつかれて引き分けたり、相手に合わせて緩いプレーが増えてしまうことも多かった。
 今季のJ2は降格チームもなく、全体のレベルが低かったと思いますが、そこで満足してはいけないはずです。
 来季は一気に4チームも降格するわけで、むしろ例年以上に気を引き締めていかなければいけないと思います。

 オシム監督や新井章太、巻なども現在のジェフの課題の1つとして、厳しさが足りていないのではないかと指摘しています。
 J2に降格してもスタジアムや練習場は立派で、サポーターも大きくは減らず、人件費はむしろ増加している。
 そこにどこか甘えがあるのではないかと思います。

yukkuriikou.hatenablog.com

 オシム監督はJ1時代に上位争いをしてもリーグ優勝までは行けなかったジェフに対し、「中位のメンタリティ」が蔓延っていると何度も指摘していました。
 中位・下位で終えることが多かっただけに、一時的に成績が良かったり、少し上位に立っただけでもそれに満足してしまう。
 今のジェフはJ2でそれが起きているのかもしれません。


 尹監督には当初そういった気持ちの部分での改革を期待したのですが、ジェフに来てからはむしろ笑顔が印象的な優しい監督にも見えています。
 個人的には少々残念な点でもありますが、メンタリティに関しては、監督だけで解決できるものでもないでしょう。
 コーチも、選手も、スタッフも、サポーターも含めて、改善していかなければいけないところではないかと思いますし、好成績で終えたからこそ油断することを警戒し、より厳しく前へと進んでいかなければいけないのかもしれません。

 実際、ホーム最終節で戦った京都は、他のJ2レベルとは1つ抜けたサッカーをしていた印象でした。
 あのレベルに至らなければ、自動昇格は難しいと考えると、ジェフもシーズン終盤に好調だったとはいえ、ここから1ステップも2ステップも成長しなければいけないはずです。
 例えばF1でも下位から中位に上がるのは比較的楽ですが、中位から上位に上がるのが極めて難しく、さらに優勝となれば至難の業ですから、ジェフもここから上位争い、昇格争いをするためには、より強い意識を持って戦ってほしいと思います。