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岡野は町田に大槻が山口に移籍 小田と溝渕も退団

 年末に向けて発表が立て込んできましたので、長くなりますがまとめてしまいたいと思います。
 1つめに取り上げる岡野の移籍は、船山に次いで驚きのニュースでした。
 ただ、今季の起用法を考えれば、気持ちはわからなくもないと思います。

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 ジェフU-18から2016年にトップ昇格を果たした岡野は、CBながらも1年目から終盤の7試合に出場。
 関塚監督の後を受けた長谷部監督の下で、主力として抜擢され可能性を感じるプレーを見せてくれました。

 しかし、翌年からは大きく出場機会を伸ばせず、2018年夏から2019年末には大分にレンタル移籍し、J1も経験します。
 ただ、大分でもまとまったチャンスはなく、2020年にジェフへ復帰。
 昨年も10試合に出場したものの、スタメンは4試合と活躍できずにいました。


 それでも、今年は大きな転機が訪れました。
 序盤の不調もあってチームが3バックへシフトすると、岡野は右CBで起用されます。
 フィジカルを活かした対人守備だけでなく、積極的な攻撃参加からのクロスで、幾度となくチャンスを演出しました。

 もともと岡野は187cmの高さとスピードだけでなく、キック力もあって強いパスも出せる選手。
 そこは長谷部監督時代から感じられていたところで、当時から前線へ鋭い縦パスを出していましたが、今回は3バックということもあって、サイドから勢いのあるクロスも見せアシストもマークしています。
 大分での経験も活きたのか、攻撃的なストッパーとして活躍しました。


 けれども、若干不安定な部分もある岡野のプレーが評価されなかったのか、左CB鈴木大輔から攻めたいという意図があったのか。
 あるいは、左WBの小田や末吉を仕掛けさせたいという狙いだったのか、左WB裏が心配で左CBでカバーしたかったのか。
 または、当初は左右CBが上がって、ボランチが下がる動きだったので、それを嫌ったのかはわかりませんが(ただ、それでも岡野が攻めて鈴木が引く選択もできたはず)、7月途中から新井一耀にポジションを奪われると、左CB鈴木が攻めて、チャンと一耀が後方に残る戦い方に変わっていきました。

 そこから岡野は大きく出番が減ってしまい、CBに何かあっても本職ではない高橋が出場することすらありました。
 しかし、高橋のプレーはボランチの動きをDFでやっているのと同じような印象で、相手との間合いや駆け引きに大きな不安があった。
 その高橋が優先して起用されたというのは、岡野にとって非常に悩ましい状況だったのではないでしょうか。


 尹監督は高橋に期待していて、いろいろなポジションを試していたのかもしれませんが、「誰かを選ぶ」ということは「誰かを選ばない」ということ。
 その選んだ選手が明らかに優れているのであれば仕方がないとも思うのですが、そうではないとチーム内に不満も出てくるでしょう。
 結局、高橋のCB起用はモノにならなかった印象ですし、CB高橋はもう諦めるべき選択ではないでしょうか。

 また、現状だと左CBが攻め込むため、左利きで攻撃も出来るCBが欲しいオフとなっていますが、決して左からの攻めにこだわる必要もないはずです。
 左WBにタフな選手がいないためWBとCBで前後を住み分けていたのかもしれませんが、オフも挟むわけですしタフな左WBを探すよりも左効きの攻撃的なCBを探す方が大変ではないでしょうか。
 左CBを残して右CBから攻め込む展開も出来なくはないはずですから、そこは柔軟に見ていく必要がありますし、そうなれば岡野の価値も違ってくるかもしれません。


 岡野としては今季26試合出場と、初めて20試合以上出場を果たしました。
 一度はレギュラーとしてプレーし、手応えを感じたからこその移籍だったのではないかとも思います。
 もちろん24歳という年齢もありますし、タイミングとしては理解できるものではないでしょうか。

 しかし、ジェフとしては他CBも頼りない部分があって、だからこそ3バックにせざるを得なかったところもあるでしょう。
 岡野は高橋を除けばCB4番手だったはずで、現状だと他のCB候補はいない。
 3バックであれば5人は計算できるCBがいてほしいところではないかと思うだけに、数的に厳しいですね。

 岡野はアカデミー出身選手と言うことで心情的にも期待していたし、選手としても高さもスピードもあるCBは貴重ですのでいつかは主軸として確立してほしいと思っていただけに残念です。
 町田は4バックで岡野は3バックの方があっているのかなと思わなくもないですが、長谷部監督時代には4バックを立派にこなしていただけに、そこは使い方次第でしょう。
 奇しくも契約満了が発表となった水本と入れ替わりとなりますが、岡野ならレギュラー獲得も可能だと思いますし、来季からは町田での飛躍を見守りたいと思います。


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 大槻も山口への完全移籍が、発表になっています。
 ただ、こちらは今年7月に山口へレンタル移籍していたので予想通りだと思います。

 今年、山口から加入した大槻は開幕からスタメン出場を果たすなど、期待されていた選手だったと思います。
 しかし、ゴールが遠かったことと、3‐4‐2‐1のカウンターサッカーにシフトしたこと。
 さらに、サウダーニャが当初は素晴らしいスタートを切ったこともあって、山口へと移籍になったのだと思います。


 ただ、チームはその後サウダーニャをスタメンから外し、ソロモンを1トップに起用してプレスをかけていくサッカーにシフトしていきました。
 ところがソロモンも一時は疲れが見えていたし、川又なども負傷していたようで、他に前線で走れるFWがいなかった。
 もし初めから一貫してプレスをかけるサッカーを展開していたら、走れて守備の出来る大槻の立場も変わっていたかもしれません。

 この辺りが頻繁に戦い方が変わる大きなデメリットと言えるでしょうし、戦い方が変われば当然必要な選手も変わってくるはずです。
 それだけに監督を続投したとはいえ、補強も、成績も読めない部分が多いのではないかなと思っています。
 山口に移籍した大槻は終盤にレギュラーとして定着しゴールも決めていますし、来年も主力候補として期待される存在になるのではないでしょうか。


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 昨年は町田にレンタル移籍し右SBでレギュラーとして活躍した小田ですが、今年はジェフにレンタル移籍し左サイドでプレー。
 開幕戦こそベンチスタートでしたが、第3節からは主力として左SBに入ります。
 その後、ジェフが3バックに変更してからも、左WBに定着しました。

 特に4月5月は好調で、小田のパワーある前への推進力が活きて、左サイドからの攻撃がチームの武器になっていたほどでした。
 セットプレーのターゲットとしても高さを見せ、今年は2ゴールを上げています。
 対人守備の強さも見せ、攻守においてチームに貢献していました。


 ただ、それ以降は勢いも落ちた印象で、当時の活躍は一時的な好調だったようにも思います。
 また、6月からはゴールが欲しい状況で交代されることも多くなり、尹監督が小田の攻撃面をあまり評価していないようにも感じられました。
 ジェフは左CBが前に出て左WBを押し上げる攻撃を狙い始めていたので、左WBには個人で打開できるアタッカーが欲しかったということなのかもしれません。

 7月途中から怪我で離脱すると終盤に復帰しますが、ジェフが好調だっていたこともあって、スタメン復帰は出来ませんでした。
 代わりにキレのあるドリブルを持った末吉が、レギュラーポジションを獲得。
 怪我もあったとはいえ、小田としては悔しいシーズンになったのかなと思います。


 ジェフとしても、小田は残したい選手だったのではないでしょうか。
 終盤はサイド3番手だったとはいえ、福満、末吉はスタミナやフィジカルには不安がある。
 長期的に見ればいつかまた4バックに戻したいとなるかもしれませんし、左右サイドでパワーもあってタフに戦える小田は貴重な存在だと思います。

 さらに安田も退団が決まって、純粋なSBは手薄な状況となってしまいました。
 小田は23歳と将来性も期待できる選手ですから、ジェフとしては惜しい人材だったと思います。
 鹿島も来年は今までの路線は違うスイス人監督が指揮を執るだけに予測がつかず、まずは出来るだけ様々な戦力候補を残しておこうということなのでしょうか。
 
 J2降格後のジェフは鎌田、武田、高橋峻希、山中、茶島などサイドにレンタル選手を補強することが多いですが、なかなか残ってくれませんね。
 だからこそ、レンタル補強は嫌な印象が残っているのですが、そこも強化部のトップが頻繁に変わっているので失敗を共有できず、繰り返してしまうところがあるのでしょうか。
 鹿島は永戸が横浜FMに移籍するなどチャンスはあるかもしれませんし、戻って挑戦するからにはうまくいってほしいですね。


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 続いて、溝渕が契約満了となりました。
 溝渕は2017年に慶応大から加入すると、その年の後半からレギュラーとしてプレー。

 北爪に代わってポジションを勝ち得た形でしたが、押し出される形となった北爪は横浜FCに移籍してすぐに主力となってJ1昇格を果たしJ1柏にも移籍。
 逆に溝渕はジェフに残りますが、翌年からは主力に定着できず。
 そのままジェフで活躍できずに退団しているわけですから、賢く運営できていない印象が残ります。


 溝渕は2019年にJ1松本にレンタル移籍をするも、その年はカップ戦出場のみ。
 しかし、昨年栃木にレンタル移籍すると当初は右SBで、途中からは左SBでレギュラーとして活躍。
 パワフルな栃木のサッカーにおいて、粘り強い守備と運動量豊富なスプリントを見せ、堅守速攻のチームを支えました。

 今年は一度ジェフに戻り、3試合出場を果たしますがスタメン起用はなし。
 すると、夏に再び栃木に戻って、左SBのポジションを奪取。
 栃木のJ2残留に貢献します。


 ジェフには一度戻ったものの戦力としてみなされなかったわけですから、尹監督の続投もあって契約満了の予想は出来ていたと思います。
 しかし、意外にも栃木でも契約満了となってしまいました。

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 来年の栃木はJ3福島を率いた時崎監督が指揮を執るので、監督交代もあって溝渕の評価が変わったのでしょうか。
 栃木には若い左SB面矢もいますし、予算も潤沢ではないですから、他に補強したい部分があるのかもしれません。

 溝渕は自分に合ったチームに入れば、もっと活躍できる力を持った選手だと思いますので、いいクラブが見つかってほしいですね。
 一方でジェフは、来年もサイドの選手探しが続くのでしょうか。
 特に運動量豊富で守れるWBがいない印象ですし、何とかうまい補強を期待したいところだと思います。