アウェイ大分戦はジェフの逆転負け。
これでジェフの無敗は、7試合連続で終わりました。
前半の戦い方はうまくいってセットプレーから先制し、そこから試合をコントロールするという前回同様の勝ちパターンに持ち込みかけていました。
後半序盤にも追加点を上げ理想的な展開だったはずですが、後半半ばから足が止まって大きく失速。
サンドバッグのように攻め込まれて、一気に3失点を浴び逆転負けという展開でした。
怪我人が多かった上、GK新井と熊谷も欠いた影響も大きかったかもしれません。
ただ、大分も怪我人は多いだけに、そこを言い訳にはし辛いところがあると思います。
この試合に関しては、怪我に苦しんでいるのはお互いさまではないでしょうか。
確かに完全にガス欠の起こった後半途中からは、選手交代のカードが欲しくなる展開ではありました。
ただ、尹監督は交代策があまり得意ではないイメージで、この日もベンチには米倉、高木、福満など実績ある選手が並んでいました。
しかし、選手交代が遅く後手を踏んだ印象があるだけに、交代カードはあまり関係なかったかもしれません。
さらに、ピッチに立っている選手のほぼ全員が疲労困憊状態でしたので、いくら交代枠が5に増えたとはいえ、交代策だけではどうしようもなかった可能性もあります。
それ以前の問題として、完全なガス欠状態に陥った原因を究明すべきでしょう。
確かに気温は高く、アウェイではあったとはいえ、終盤の運動量には明らかな差があった。
やはり全員がファイトして、球際で勝負するフィジカルサッカーなだけに、夏場には弱いところがあるのか。
大分も前半は出来が悪く、選手の動きが少なく、ボールばかりを動かそうという意識を感じましたが、あれも夏場の気候を考慮したゲームプランだったのかもしれない。
スタイルに原因があるのであれば、夏を迎える今後にも不安が残るかもしれません。
■田口の見事なFKからジェフが先制
GK新井と熊谷が出場停止のジェフはGK松原が初スタメン、小林も代わりにスタメンに入りました。ベンチには米倉と川又が復帰。
ホームの大分は下田がスタメン復帰して、17歳の安田とボランチコンビに。
元ジェフGK高木もスタメンを継続しています。
増山、野村、小出など少しずつ怪我人も復帰してサブに入っていますが、それでも元ジェフ町田、羽田、ペレイラ、刀根、高畑、香川、小林成豪、小林裕紀、ネットなどが負傷中なのではないでしょうか。
キックオフ直後、ジェフの攻撃。
中盤の右から風間が早いタイミングでクロスをあげると、ブワニカが頭で狙いますが、枠の外。
立ち上がりは、ジェフが積極的に2トップにロングボールを蹴り込む展開で押し込んでいきます。
11分には大分のチャンス。
上夷の縦パスから渡邉、保田と繋いで、渡邉が裏を狙って、こぼれたところを井上がダイレクトクロス。
長沢が飛び込んで頭で合わせますが、ゴールの右。
しかし、14分、ジェフがセットプレーから先制。
中盤右で得たFK。
田口が高精度のボールをファーに送ると、チャンが触ってゴール。
そこからはジェフがボールを持っても無理に攻めなくなり、試合が落ち着いていきます。
31分には大分の攻撃。
藤本が高い位置で西久保からボールを奪い、そのまま持ち上がりクロスを上げますが、GK松原がキャッチ。
32分には、相手のミスからジェフのチャンス。
保田のパスミスから、ブワニカが右サイドでクロス。
ブワニカが逆サイドで合わせますが、枠を捉えきれず。
得点直後はジェフがうまく試合をコントロールしていましたが、前半途中からは大分もサイド攻撃で押し返していきます。
前半終盤には大分のセットプレーが続きましたが、ジェフが抑えて1‐0で前半を終えます。
■後半途中から足が止まって立て続けに失点
後半開始と同時に、大分は保田を下げて弓場を投入。48分、大分の攻撃。
ロングボールに対し長沢がチャンに競り勝ったところから井上がクロスを上げると、ファーの藤本が足元で狙いますが、風間がブロック。
52分、ジェフが追加点。
相手がGKから繋ごうとする流れでジェフがプレスをかけていき、中盤で相手のミスを誘うと見木が浮き球のスルーパス。
これをソロモンがうまく前に持ち込み、シュートを流し込んで2‐0。
54分、大分は中川、井上を下げて野村、増山を投入。
60分にもジェフのチャンス。
右サイドの西久保からロングスローを上げると、ニアでチャンが触り、中央で新井一耀が合わせますが、ゴールの左。
61分、大分が1点を返します。
カウンターからの弓場のドリブルは跳ね返しますが、こぼれたところを下田に拾われ左の藤本、三竿と展開。
三竿がダイレクトでクロスを上げると、長沢がチャンの前を取ってゴール。
その直後にも大分の攻撃。
渡邉が中盤でボールを拾うと、長沢がワンタッチで裏へ送り、藤本が抜け出しかけますが、トラップも長くGK松原が前に出て対応。
後半途中からはジェフの足が止まり防戦一方に。
75分にも大分の決定機。
左サイドで藤本とのワンツーから下田が中を取ってグラウンダーのクロスを上げると、ファーの増山が合わせます。
ゴールを割ったかのようにも見えましたが、GK松原がキャッチ。
78分、大分は渡邉を下げて呉屋を投入。
79分にも大分の攻撃。
中盤の左でフリーになった三竿がクロスを上げると、中央で長沢が競り勝ち、頭で合わせますがゴールの左。
その直後にも大分のチャンス。
中盤中央をテンポよく繋いでいき、左サイドの藤本がクロス。
ファーの野村がフリーで合わせますが、ゴール前でチャンがブロック。
ジェフは完全に足が止まって苦しい展開に。
81分、風間を下げて米倉を投入。
右WBに米倉を入れ、西久保がCBに回り、中盤を3枚にする5‐3‐2に。
しかし、その直後、大分が同点ゴール。
長沢が浮き球のボールを落とすと、下田がスルーパスを出し藤本が左サイドを抜け出し鋭いクロス。
これが新井一耀にあたりバーに直撃すると、呉屋が押し込んで2‐2に。
84分、大分は藤本を下げて梅崎を投入。
85分、大分が逆転ゴール。
田口のパスミスから3対2の状況になり、長沢からのパスを受けた呉屋がゴールを決めて2‐3。
91分、ジェフはブワニカ、小林を下げて、川又、高木を投入。
94分にもソロモン、秋山を下げて、佐久間、福満を投入。
試合終盤は大分が賢く時間を使い、2‐3で敗戦となりました。
■ガス欠から2トップ脇を取られ球際でも苦戦し逆転負け
前半のジェフは素晴らしい出来だったと思います。攻撃時にはロングボールで2トップを狙う。
前節は守備で大きく貢献したソロモンとブワニカの2トップですが、この日はロングボールのターゲットに、キープにと攻撃面でも活躍しました。
特に大分の3バックは上背はあまりないので、アバウトなロングボールでも勝負できると判断したのかもしれません。
そこからセカンドボールを拾う形で、ジェフが相手を押し込んでいきました。
そして、今回もセットプレーから先制し、理想的な展開で進めます。
ジェフは守備でも2トップだけでなく、2トップ脇をケアしたプレスを実施。
先に先制したこともあって、無理に前線から追う回数は少なかったですが、SHも前に出て対応していきました。
この時に注目すべきなのが中盤のラインで、MFライン全体を押し上げることでSHの位置を上げ、2トップ脇から攻撃を作らせないようにしていました。
しかし、これをするには中盤全体の負担も大きくなるだろうし、全体のラインが維持できていなければ難しい。
後半からは運動量が下がって、ラインの維持なども難しくなっていって、いつも通りの引いた守備になっていきました。
すると、幾度となく左CB三竿からチャンスメイクをされ逆転負けということで、2トップ脇の問題は完全には解決していないように見えました。
また、試合前にも話したように、中盤での球際の勝負が大きく左右した試合だったとも言えるのかもしれません。
前半はジェフの方が球際で優っていましたが、後半は失速してセカンドボールも完全に相手ボールに。
それによって押せ押せの展開を作られてしまいました。
ジェフの2トップも相手に競り勝てていましたが、長沢も高さでチャンに勝っていた。
それだけに、あとはセカンドボールで競り勝てればどちらも良い展開が狙えただけに、球際の勝負が大事な試合となった印象があります。
ジェフの場合は前半は球際で勝てていましたが、初めから飛ばし過ぎて苦労した部分もあるのかもしれません。
また、大分の攻撃はサイドの外を狙うボールが多かったですが、あれも左右にジェフの守備網を揺さぶり、疲れさせようという意図だったのかもしれません。
大分はもともとサイド奥を狙う意識の強いチームではありますが、いつも以上に逆サイドに振るボールが多かったようにも思います。
東京Vも逆サイドを狙うクロスなどが何度かありましたし、今後はジェフ対策としてボックスの外を狙ってくるチームが増えるのかもしれませんね。
総じて、局所局所では勝てていたけれど、大局で負けた試合だったと言えるのかもしれません。
田口のFKなどは戦術兵器かと思えるほど素晴らしいキックですが、前半好きにやらせて疲れさせ、後半勝負を仕掛けた大分の方が戦略的には賢く戦えていたのかもしれません。
今後迎える夏に向けて、賢いゲーム運びや足が止まった後の対処がより重要となってくるかもしれませんね。