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第37節 ジェフ 0-2 山形 ゴールへの道筋、勝点への道筋が曖昧なままライバルに敗北

 ジェフからすると、アウェイ連戦となった山形戦。
 ただ、ジェフの出足は良く試合序盤はボールを拾い、後半途中からもスタミナでは相手に勝っていたと思います。

 ジェフとしては選手も動けていて、僅差の試合にもなりました。
 しかし、動けていた試合だったからこそ、それでも山形に上回られて勝てなかったというショックは大きいですね。
 チームとしての完成度の差を感じてしまいましたし、これがこのチームの限界ということなのか。


 金沢戦、岩手戦には勝利できたとは言っても、やはり上位相手となるとさらにワンランク上を目指さないと厳しいのかもしれません。
 金沢には完勝だったものの、岩手戦は内容も厳しく運を味方につけての勝利だったと思います。
 もちろんそれでもプレーオフを目指せる位置にいるのは確かですが、厳しく言えばそこ止まりとも言えるでしょう。

 山形もリトリートした時の守備は怪しく、ただ4×4でスペースを埋めているように見えました。
 それでも攻撃には強みが明確にあって、攻め込んで守備機会を減らし、失点よりも得点を増やして勝とうという発想なのではないでしょうか。
 特に攻撃の形は非常に明確で、選手間の意識共有もハッキリしていたように思います。


 ジェフも後半途中からは山形の足が止まって、攻め込む回数が増えていきました。
 しかし、攻撃に転じたことによって、逆に山形との攻撃の質の差が如実に出てしまったように思います。
 一方の山形は攻撃の狙いが明確なだけに、苦しい後半だったものの最後までゴールを狙えて、追加点を奪えたのだと思います。

 もちろん、攻撃が全てではないのがサッカーですが、堅守を目指すのであっても、どのように得点を狙うのかは明確にしなければいけない。
 ジェフの場合はカウンター作りもあまりうまくはないし、ゴールを奪えなければ勝点も増えていかない。
 ゴールへの道筋は言わば勝点への道筋だとも思いますし、その点で山形との差を感じた試合だったように思います。

■山形が狙い通りの崩しを見せて先制

 連勝中のジェフは熊谷がスタメンに復帰し、秋山も先発に戻りました。
 ダニエルが控えに回り、高橋、風間がメンバー外になり、ベンチにブワニカが入りました。

 山形は元ジェフGK藤嶋、藤本、岡崎、新垣、横山などが負傷中。
 デラトーレ、樺山、松本が控えに回り、ディサロ、國分、川井がスタメンに復帰。
 サブには前節途中出場で復帰した、山田康太などが入っています。


 3分、ジェフの攻撃。
 相手のパスミスを、ソロモンが高い位置で拾うとそのままミドルシュート
 しかし、GK後藤がセーブ。

 5分にもジェフの攻撃。
 ジェフのプレスからボールを奪い、熊谷が中央へパス。
 高木が受けてミドルシュートを放ちますが、GK後藤の正面。


 8分には山形の攻撃。
 河合が藤田とのパス交換で、バイタルエリアを取ってミドルシュート
 しかし、チャンがブロック。

 立ち上がりから、山形がパスワークで攻めて行きます。
 しかし、ジェフも出足が良く、カウンターを仕掛ける展開。
 一進一退といった展開でした。


 しかし、21分、山形が綺麗な崩しで先制。
 半田がバイタルエリアで受けたところから、藤田、半田と繋いで逆サイドへラストパス。
 加藤がシュートを決めて0‐1。

 失点後、ジェフは立ち上がりの勢いが若干落ちていきます。
 山形はその後も果敢に攻め込む展開。
 シュートこそないものの、惜しいシーンを作っていきました。


 43分、ジェフは田邉が負傷交代し、ダニエルを起用。
 その直後、山形の決定機。
 南、川井、河合と繋いで前線にスルーパスを出すと、半田が走り込みシュートを狙いますが、GK新井がセーブ。

 このシーンで新井が負傷するも、なんとかプレーを続行。
 そのまま0‐1で折り返しました。

■後半は山形の足が止まるもゴールを奪えず

 46分にも山形のチャンス。
 左サイドで藤田と川井がパスを繋いでいって、川井が鋭いグラウンダーのクロス。
 ディサロがシュートを狙ま須賀、オフサイドの判定。

 49分、ジェフの攻撃。
 右サイドからのロングスロー。
 西久保が投げると、ソロモンが高さで勝ちますが、GK後藤の正面。


 54分、ジェフはソロモン、高木、秋山、西久保を下げ、レオンソ、ブワニカ、リカルド・ロペス、米倉を投入。
 ダニエルが左SB、右SBに米倉、右SHにブワニカ、左SHにリカルド、レオンソと見木の2トップによる4‐4‐2になりました。
 その後は山形の運動量が、少しずつ下がっていきます。

 61分、山形はディサロ、國分、加藤を下げて、デラトーレ、樺山、チアゴを起用。
 その直後、ジェフの決定機。
 相手のFKがからチャンが持ち上がってリカルドが繋いで、レオンソがGKとの1対1になりかけますが、川井のカバーを受けて決めきれず。


 71分、山形は河合に代えて山田を投入。
 その直後、ジェフの攻撃。
 熊谷からのロングパス、米倉がクロスを上げると、こぼれたところをリカルドが拾い、田口がミドルシュートを放ちますが、枠の外。

 ジェフが攻め込みながらもチャンスを作れずにいると、84分に追加点。
 GK後藤からのロングキックを南が拾い、チアゴと繋いで南がスルーパス
 樺山が抜け出してシュートを放ち0‐2。

 91分、山形は南を下げて小西を投入。
 ジェフは最後も、ハイクロスを上げるもシュートまでは行けず。
 この試合を、象徴するようなラストになりました。

■両ウイングがワイド前方に張り出す山形の攻撃

 山形はパスワークに勢いを感じましたね。
 特にバイタルエリアを取る形が、やはりうまかったと思います。

 山形は1トップとトップ下が、中央でボールを受ける動きを狙ってくる。
 FWディサロも下がって受ける動きが多く、ポストプレーも効果的だったと思います。
 ただ、ディサロが下がって起点になるだけであれば、ジェフDF陣はそこについて行って、プッシュアップすればいい。


 しかし、山形は両ウイングが、ワイドで高い位置をキープする。
 これにジェフの5バックが釣られるので、簡単にはラインを上げられないし、守備陣形を左右に引っ張られる。
 さらに、ジェフのWBが前に出て、中盤の守備をサポートしづらくなる。

 このウイングのポジショニングによって、ジェフはDFラインが押し込まれ、MFラインと間が空いて、バイタルエリアにスペースの出来やすい状態に陥っていたように思います。
 ウイングが大外に開く分、右SB半田と左SB川井がハーフスペースを使って攻撃参加してくる。
 さらに、南や藤田も前へパスを出せて縦へ侵入もできるということで、うまく攻撃の関係性がハマっている印象でした。


 ウイングがワイドに張り出すシステムは、今ではそこまで珍しくもないのかもしれません。
 ただ、それを実際に実行して、形にするのは簡単ではないと思います。
 最終的には細部をどれだけ詰められるかではないかと思いますし、そこが山形の攻撃を形作った要因ではないでしょうか。

 逆にジェフは、攻撃の細部を作り切れていないことになると思います。
 そういったチームではないと言えばそれまででしょうし、山形のような細部にこだわった攻撃を作るスタイルではないのは確か。
 しかし、それにしても攻撃がアバウトすぎて、人数をかけてアーリークロスを上げるか、ミドルシュートを狙うしかない状況と言った印象です。

 それでは遅攻はもちろん、速攻でもなかなかチャンスを作れない。
 あとは相手のミスや相手の足が完全に止まるのかを待つかといった印象で、なかなかそれではコンスタントに得点を挙げるのは難しいですね。
 山形の攻撃作り、ゴールへの道筋がはっきりとしているだけに、尹監督3年目終盤にして、その差が明確に出てしまった試合だったと思います。