2023年の高橋は、当初本業のボランチでスタート。
離脱者が続出したゴールデンウィーク連戦中の第13節山口戦では、ボランチでスタメン出場も果たしています。
しかし、レギュラーに定着するまでには至らず。
その後も2試合ボランチでのスタメン出場がありましたが、大きな転機となったのは第21節いわき戦。
この試合で初めて右SBで起用されると、その後シーズンのラストまでレギュラーとしてプレーしていきました。
昨年末のチームのまとめでもお話ししましたが、いわき戦前に日高が負傷して2試合スタメンから外れたことで、松田が左SBに入り、西久保が右SBでプレーしていました。
開幕時からそこまでのジェフは右SBが絞って後方でプレーし、後方3枚でビルドアップをスタートさせていましたが、日高離脱時の2試合は右SBが前に出て攻撃に参加する形に。
これが参考となったのか、いわき戦からは右SBに高橋が入って、ビルドアップ時も少し前に出て4バックで戦うようになっていきました。
右SBにコンバートされた高橋は、サイド後方でビルドアップに加わりつつ、ボランチにも近い位置でプレー。
結果的に、偽SBにも近いような動きになっていったと思います。
これによって、ジェフのビルドアップのエリアが高くなっていったイメージでした。
そこまでのジェフは後方の3バックでパスを回すものの、そこから前へのパスという点で苦労していた印象もあり、長いボールに頼りがちになる傾向も伺えました。
しかし、高橋がディフェンシブサードとミドルサードを繋ぐような形でビルドアップにうまく絡むことで、一歩チームが成長できたのではないかと思います。
高橋は長らくボランチでプレーしていただけあって、本職のSBよりもスムーズにパスを回していきました。
派手な展開などは少なかったですが、シンプルにパスを散らすことによって、円滑にボールを循環していったと思います。
高橋のSB起用がシーズン後半の巻き返しに繋がった、1つのポイントだったと言えるのではないでしょうか。
いわき戦以降の高橋は出場停止となった第30節山形戦以外、全試合でスタメンフル出場を果たしています。
ジェフは昨年も怪我人がちょくちょく出ていましたし、"無事これ名馬"という言葉もありますが、高橋がタフに戦えることを示せたことは、今後に向けても大きなアピールとなったのではないでしょうか。
高橋の資質も大きいのでしょうが、25歳という働き盛りの年齢であることも関係したのではないかと思いますし、やはりチームの軸は本来中堅年代に担ってほしいところですね。
その中堅年代に差し掛かる年齢で、戦える立ち位置が見つかって、高橋としては本当に良かったと思います。
本来は中盤でプレーしたい気持ちもあるかもしれませんが、この年齢までに試合に出続ける状況を作って、選手としての価値を示すことは極めて大事なことだと思います。
昨年もジェフで活躍できなかったら次がなくてもおかしくない状況だったと思いますし、何とか間に合ったとも言えるのかもしれません。
これにより、2023年の高橋は30試合に出場。
2021年には34試合に出場した経験がありますが、その年は途中出場が20試合と大半で出場時間は1460分。
今回はスタメンが24試合で2255分出場しているわけで、戦力としては昨年の方が貢献出来ていたと言えるでしょう。
ただ、細部に関しては、まだ詰めなければいけないところもあると思います。
プレーオフ東京V戦でも一歩相手クロッサーに詰められず、精度の高いクロスを上げられて失点してしまうなど、細かな守備に課題がある印象です。
ボランチとして起用された時にも相手への寄せが甘い傾向がありましたし、ドリブルなどへの対応も若干危ないところがあると思います。
また、攻撃面においても、ビルドアップに関しては良かったのですが、0ゴール1アシストとゴールに絡むことは少なかったことになります。
ミドルエリアまで持ち上がっても、そこから横パスなど無難なチョイスに終わってしまうことが多かったですし、もう少し攻撃に変化をつけたり、ラストプレーに絡んでほしかったですね。
足元の技術はある選手ですし、ミドルシュートなども持っているわけですから、もっと数字の部分も期待したいところだと思います。
今季の目標としては、フルシーズンレギュラーとしてプレーすること。
過去7年間、1年を通してレギュラーだったことはないわけですし、まずはそこが大事ですね。
そして、その上で攻守にワンランク上の選手に成長してほしいところだと思います。
右SBにコンバートされて活躍し、半年間レギュラーだったとはいえ、まだまだ物足りないところもあると思います。
守備では細部を詰めなければいけないと思いますし、攻撃でももっと決定機に絡んでいきたいところ。
もっとやれる選手だと思いますし、今季の更なる飛躍に期待したいですね。