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第7節 熊本 1-0 ジェフ 16歳の神代慶人にPKを決められ停滞感を感じる敗戦

 ジェフは若い熊本を前に、0-1の敗戦で終わってしまいました。
 これでジェフは4試合勝ち星なしで、2試合連続無得点ということになります。

 PKでの失点のみと惜敗であったことは事実だし、ジェフにもチャンスのあった展開ではあった。
 とはいえ、ジェフのサッカーの内容は決して質の高いものではなかったと思いますし、今季はこんなレベルのチームを期待していたわけではなかったはずです。
 勝ち負けは別にしても、厳しいチーム状況となっていますね。

 試合の流れを振り返っても、やりたいサッカーがやれて、自由に伸び伸びと戦えていたのは熊本の方だったと思います。
 熊本は密集エリアでも勇気を持ってパスを繋ぎ、ジェフのプレスに臆することなく、自分たちのサッカーを貫いていきました。
 その中で狙い通り前を向く選手もうまく作れて、ジェフのプレスをはがし、チャンスを作るというシーンが何度もあった。


 熊本も最後の精度や攻撃の決め手に欠くところはありますが、そこはどうしても個人の質も要求されるところですから、仕方のないところもあると思います。
 一方のジェフは小森の決定力に頼るような展開が多く、組織としての攻撃はあまり感じられなかった。
 後半からはジェフも立て直して、圧力を高めて抵抗したところはありましたが、主な攻撃は相手の弱点であるサイドからのクロスがメイン。

 相手の弱点を突くことも大事ではありますが、自分たちのやりたい攻撃というのはあまり感じられなかったと思います。
 そういった意味でも、全体的に見れば熊本の試合だったと言えるでしょう。
 ここ数戦のジェフは熊本戦に限らず、昨年からの上積みが感じられず、単純に「強い」と思えない試合が多い印象ですし、停滞感も感じる状況になりつつあるように思います。

■熊本のパスワークを捕まえきれず劣勢に

 ジェフは加入直後の品田、椿、鈴木大輔がスタメンに入り、風間、ドゥドゥが控えに回ってメンデスは不在。
 サブには藤田、岡庭が入りました。
 ジェフは攻撃時も品田と小林の2ボランチに変更してスタート。

 熊本は開幕前に竹本に加え、開幕からスタメンだった古長谷、石川も負傷中。
 この日は東山、岡崎がサブに入り、左WB岩下、CB黒木がスタメン復帰。
 控えには、元ジェフGK佐藤や16歳の神代、17歳のFW道脇なども入っています。


 6分には熊本の攻撃。
 右サイドからの展開で、2回連続のクロス。
 豊田がこぼれ球をミドルで狙いますが、枠の外。

 その直後にはジェフの攻撃。
 左サイドの椿が、中盤からアーリークロス。
 ファーの田中が飛び込みますが、枠を捉えきれず。


 14分、相手のミスからジェフのチャンス。
 ジェフが高い位置からプレスにいくと、相手のパスミスを小林が拾います。
 横山が受けてシュートに行こうとしますが、相手DFがブロック。

 ジェフはいつも通り、プレスからゴールを狙う入りに。
 熊本は狭い局面でも、積極的にパスを繋いでいきます。
 ジェフは徐々に熊本のパスワークを捕まえきれなくなり、熊本ペースになっていきます。


 26分にも熊本の攻撃。
 後方右サイドからのFK。
 豊田が蹴ると、大西が合わせますが、枠の外。
 
 28分、ジェフのチャンス。
 前からのプレスで、横山がボールを奪うと、小森が受けてシュート。
 しかし、GK田代の正面。


 36分、熊本のチャンス。
 ゴール前左で得たFK。
 豊田が直接狙いますが、ポストの右。
 
 その後も熊本がパスワークでチャンスを伺い、ジェフが絶える展開が長い前半に。
 しかし、熊本も最後の決め手に欠き、スコアレスで折り返します。

■右サイドからの攻撃で攻め込むもPKを与えて敗戦

 48分、ジェフの決定機。
 高橋が右サイドから、左足でのアーリークロス。
 小森が見事なトラップを見せシュートを放ちますが、江﨑がゴール直前でクリア。

 後半からジェフは、攻撃時に品田を右インサイドにあげるようになりました。
 しかし、熊本が攻め込む展開が目立ちます。
 62分、ジェフは田中、椿、品田を下げて、岡庭、ドゥドゥ、矢口を起用。


 その直後、ジェフの攻撃。
 右サイドの高橋からクロスを上げると、小森が頭で合わせますが、枠の外。
 後半からジェフは圧力を高め、サイド攻撃を積極的に仕掛けていきます。

 65分、熊本は伊東、岩下に代えて、神代、東山を起用。
 69分、熊本の攻撃。
 ハーフスペースから豊田がクロスを上げると、東山がファーで合わせますが枠の外。


 71分、ジェフは横山を下げて風間を投入。
 74分、熊本はベジョンミンに変えて道脇を起用。
 76分、ジェフは日高を下げて佐々木を投入。

 その直後、ジェフの攻撃。
 左サイドに開いた風間からのパスを、佐々木が繋いでドゥドゥへ。
 ドゥドゥが角度のないところから狙いますが、枠の外。


 86分、熊本が先制。
 熊本のCKからの攻撃を何とか耐えたところから、PA内で風間が拾って切り返そうとするも、バランスを崩し相手に奪われて、後方から倒してしまいPK。
 これを16歳の熊代が決めて0-1。

 91分、ジェフの攻撃。
 岡庭の鋭い仕掛けからクロスが上がると、小森がオーバーヘッドで狙います。
 しかし、枠を捉えきれず。

 その直後、熊本は松岡を下げて大崎を投入。
 その後も若い熊本は厚い守備を見せて、0-1でジェフの敗戦となりました。 

■大木監督の接近展開連続とジェフの停滞感の要因

 特に前半のジェフは、熊本のパスワークを止められない展開になってしまいました。
 ジェフのプレスはマンマーク気味に、数的同数でもどんどん人に食い付いて、ボールを奪いにいくスタイル。
 そこからのカウンターが、攻撃の生命線にもなっています。

 しかし、それに対して熊本はあえて敵味方の選手を密集させ、狭い局面でもパスを付けていくサッカー。
 半歩でも相手選手との距離があればそこに繋いで、相手を食いつかせているうちに、逆を取ったり、次へ繋いだりというパスワークだと思います。
 ジェフ目線で見ると、そんな近くにジェフ選手がいるのに繋いでくるのかと、驚くほどのパスワークだったと思います。


 狭い局面でも、良い立ち位置や素早いパスワークで前を向く選手を作って、相手をはがそう。
 もし狭い局面ではがせなくても、相手を引き付けて、空いた選手にパスを出そう。
 これが日本代表コーチ時代にも良く語られていた大木監督の「接近展開連続」で、それを若いこのチームでも立派に披露しているのが凄いところですね。

 「人に食い付いて密集してボールを奪うジェフ」対「密集状態をあえて作ってパスワークで打開を狙う熊本」で、それに勝ることが多かったのが熊本の方だったと思います。
 もっとガツンとプレスにいけるかと思ったのですが、ここ数戦流れが悪いためか前半のジェフはプレスが甘かった。
 そして、プレスが甘いと頼りのハーフカウンターも作れないので、攻撃も物足りない状況になってしまう。


 遅攻状態での打開も今年は二の次のようですから、ボールを奪えない時点で厳しくなってしまいます。
 しかし、その遅攻状態での質を高めないことが、チームの積み上げを感じられない部分にも繋がっているのではないかなと思います。
 何度も言う通りプレスからのハーフカウンターは相手に警戒される上、チームのコンディションや気温などでも大きく左右されてしまう。

 完全にプレッシングチームを作るのであれば、もっとガテン系の選手を集めて堅守速攻を目指すべきなのではないか。
 しかし、右SBや中盤の構成を見てもテクニカルな選手が多く、パスワークにも色気を見せている。
 にもかかわらず、遅攻にはそこまでこだわらないようなコメントもしているような状態が中途半端な部分を生んで、チームの幅を広げられずに停滞感が発生してしまっているのではないでしょうか。

 相手の研究も進むスポーツにおいて、停滞は失速と同じですから、やはり例え昨年終盤レベルに達したとしても、それでは後れを取ってしまう。
 オシム監督も言っていましたが、常に先を見据えてチームを強化していかなければいけないのではないかと思います。
 そういった意味で正直物足りなさを感じる状況ですし、ちょっと今後もどうなるかわからないチーム状況となってきたのではないでしょうか。