ジェフの経営情報を見て改めて。
すっかり私の中では忘れさられていたのだけど、スポーツ紙にも取り上げられサッカー雑誌にも書かれていたオーウェンやらデコの獲得ですが、いったいジェフのどこにそんなお金があるのかさっぱりわかりませんでした。
考えてみれば「冬のオフにもミシェウ獲得に動いていたけれど移籍金が高かったから諦めた」という話しがあったのに、その10倍以上もの移籍金がかかるであろう選手達を買うという話しが出てくること自体、なかなか理解できないことです。
考えられるのは、JR東日本からの特別マネーでしょうか。
しかし、何度か言っていますけど、親会社に頼ることを私はよしとは思えません。
1つの会社に頼りきれば当然不安も多くなる。
いつJR東日本が方向転換するかだってわからないわけで、親会社への依存率が高まればその分クラブ経営の危険性が高まるといってもいいでしょう。
しかも10億円規模のお金ともなれば、現在の『広告料収入』(約13億円)とほぼ同額です。
『人件費』1年分ともほぼ同等の額になる。
たぶんオーウェンではなくデコの移籍金ともなれば、それ以上のお値段でしょう(リュングベリはともかくとして)。
もしもそれで獲得したとしても、その補強が失敗したら笑って済むようなレベルではないはずです。
例えばイルハンみたいに3試合出場しただけで帰国したとして、JR東日本の幹部や株主は本当に納得してくれるんでしょうか?(最近ではワンチョペか)
せっかくあげた10億円を目の前でドブに投げ捨てられても、その後も変わらないサポートをしてくれるんでしょうか。
それに年俸も馬鹿にならないはずですけど、その選手がいる間、継続して面倒を見てくれるつもりだったのでしょうか?
いくら補強が成功したとしても、それらでかかった分の費用をぺイバックできるとは(広告効果も含めて)全く思えないのですが。
集客の面で考えたとしてもどう頑張ったって1万7000人ちょいしか入らないスタジアムに、大金を叩いて“パンダ”を呼んだところで大した増加は見込めないと思うのだけど。
1万7000人規模を作った時点で、「地道にこつこつと積み上げていくのがジェフの進む道だ」と決めたはずだったんじゃなかったんでしょうか。
それに例えオーウェンやデコを呼んだって、海外のサッカーファンなどが本当に見に来てジェフサポになってくれたり、露出が爆発的に増えてスポンサーが集まったりするんですかねぇ。
彼らの求めているモノも、またちょっと違うところにあるんじゃないかと思うのだけれど…。
それこそベッカムとかなら女の子達が集まるかもしれないですけどね(でも今となってはそれもどうなんでしょ)。
セルジオ氏や後藤健生氏は経営的に多少無茶であっても、そういったスター選手の補強を希望するようなコメントをしていました。
確かにJリーグへの窓口を広げるためにも、そういった「夢」のある補強があっていいかもしれない。
(だから他の大きなクラブがそれを目差すのであれば、否定するつもりはない。)
けれど「夢」と一口に言ったって、「ジェフの見る夢」ってそういう類のものなんでしょうか?
ジェフサポの多くの「本当の夢」って、そんな簡単に達成できるシロモノではないんじゃなかと私は思うのですが…。
無名の選手だとかジェフで育った選手だとか、ジェフを本当に愛してくれる選手達が、少ない戦力でも一致団結して強豪と渡り歩いていく…。
そういったものが、ジェフというクラブの根底にあるビジョン、「本当の夢」なんじゃないんですかね。
もちろんビジョンを変えることでその分何かを得れる可能性は否定できないけど、今までのビジョンと「夢」を覆すのであればそれ相応の“何か”を失うんじゃないかと私は思います。
一時のマボロシを見れたとして、いったい誰が幸せになるんでしょうね?
現実をしっかりと受け止めて、フクアリでこつこつと戦っていくべきなんじゃないかと思います。
「夢」を見るにしても、今ジェフにいる選手達の中からオーウェンやデコのような選手が出てくることを期待すべきなんじゃないでしょうか。
だって、可哀想でしょ…さすがに。
自分達の年俸をすべて合わせても足りないくらいのお金でやってくる選手と、一緒に戦うだなんてね…。
それこそ『そんなことに使うのなら年俸をあげてやれよ!』と私なら思いますけど。
私は愛するクラブが小さな規模のクラブで世界的なスターがいないからといって、悲観もしなければ絶望もしません。
こういった小規模でも頑張って戦っているクラブは世界中にいくらでもあるだろうし、その中でそれぞれが違う「夢」を抱いて共に戦っていくのが真のサッカーの姿なんじゃないかと思いますし。
今のビジョンでやりきってクラブの限界が見えたとかならわかる。
あるいは新たな大規模スタジアムを作って、大きなクラブに移行しようというのならわかる。
けれど今はまず現在のビジョンの先にある「ジェフの夢」を達成するために努力することが、大切なんじゃないかと私は思います。
「夢」を金で買おうというのであれば、それは甘え以外の何物でもないのではないでしょうか。