この前も話した通り。
このたび11月8日(日)の川崎フロンターレ戦の試合結果をもちまして、来季はJ2に降格することが決定いたしました。ファン、サポーターならびにご関係の皆様から大きなご期待、ご支援をいただきながらも、不甲斐ない結果となりましたこと心よりお詫び申し上げます。
来季には、皆さまからの信頼を回復すべく、必ず1年でJ1に復帰することを絶対の目標に、あわせて長期的な視野に立ち安定してJ1に定着できるチーム作りに励み、上位を狙えるクラブを目指します。
今シーズンは、皆さまのご期待を裏切る結果となり、大変恐縮ではございますが、「1シーズンでJ1に復帰する」という新たなクラブの目標にご賛同いただき、変わらぬご支援、ご声援をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。(ジェフ公式サイト)
これから長期的な視野でチームを作っていくというのなら、江尻監督続投でもまだ納得はできます。
実際、育成面では期待できそうなところも少しずつ見えてきたし、チーム作りに関しても目標に向かってじっくりと作り上げている印象です。
しかし、「1年でJ1に復帰」というのなら、江尻監督の続投を簡単に決めてしまうフロントに不安と疑問を感じざるをえません。
確か江尻監督は少しずつ監督として成長している感もあります。
けれども、まだまだ選手交代などを見ても状況が変化してから動いているだけで先を読んでの先手を打った交代などはできていないし、実際問題として就任時からいまだにリーグ戦での勝利という結果を残せていません。
厳しい状況での監督就任だったことは今さら言うまでもないことですが、現段階で江尻監督を客観的に評価するとなれば「結果を期待するのは難しい監督」であると言わざるを得ないでしょう。
それに何よりも1年を通じてチームを導いた経験がないというのは、「1年でJ1復帰」を目指す上で非常に大きな不安要素になってしまいます。
チームに何か問題が起こった時や悪い流れになった際の解決方法、チームが良い状態での確実な成果の出し方、1シーズン通してのコンディショニングやモチベーションのコントロール、リーグ上位で戦う際のプレッシャーとの付き合い方…。
今年に関しては、ともかく「J1残留」に向け勢いに任せて戦えば良かったところがあると思うのですが、来季以降はそう簡単にはいきません。
現行のフォーマットのままだとJ2は非常に長いシーズンになるわけですし、本気で「1年でのJ1復帰」を目指すのであれば、経験豊富な指導者の起用も考えなければいけないのではないでしょうか。
確かに江尻監督をここで交代させれば、就任してからここ半年の積み重ねは無駄になってしまいます。
しかし、振り返ってみれば、江尻監督就任前までの戦い方と江尻監督が就任してからの戦い方は大きく違うわけで、積み重ねといってもたった半年程度のものです。
江尻監督は新人監督らしい迷いも見せてしまいましたから、実際には半年の積み重ねもないかもしれない。
そして、たかだか半年の積み重ねくらいで、「J1に1年で復帰」できるほどJ2は甘くないと思います。
もちろん江尻監督解任を考えるのは心苦しく、辛い思いもあります。
しかし、そもそもなぜそんな状況になってしまったのか。
江尻監督をこんな厳しい状況に追い込んでしまったのは誰なのか。
そのあたりを考えなければいけないはずです。
チームが難しい状況で江尻監督を起用した責任はフロントにあるわけですが、その責任の取り方はさまざまです。
江尻監督を残留させることも責任の取り方の1つとしてあるでしょうが、自分で選んでしまった江尻監督を非情と思われようとも解雇するというのもまた1つの責任の取り方だと思います。
もちろん「解雇せよ」ということを積極的に言うわけではありませんけど、「就任させた責任をとる」=「監督続投」だけが答えではないということです。
そもそも、なぜ今期ジェフはこんなにも苦しんでしまったのか。
私は昨年の残留劇からの慢心、気の緩み、自分達の甘さが一番の原因だと思っています。
その結果、冬の補強が中途半端なものとなり、その影響で夏の動向も迷走してしまった。
だとするのなら、ジェフ再建のためにはともかく甘えや慢心などを捨て、ジェフ自身が変わっていかなければならない。
その1つの案として、本気で「1年でJ1残留」を目指すのならば、現行の体制ではなく経験豊富な監督を連れてくる…。
それくらいの覚悟がなければ、ジェフは変わっていかないのではないでしょうか。
逆に「長期的な視野」でチームを考えるのなら。
江尻監督を続投し、ベテラン選手を解雇してでも若手選手を優先するシーズンオフにすべきだと思います。
新たなジェフを目指すのであれば選手の入れ替えも必要になってくるはずで、経営的な部分を考えても主力選手を解雇し、江尻監督のサッカーに沿った若手選手を獲得するといった考えも必要になってくるように思います。
三木社長のおっしゃっている「1年でJ1復帰」と「長期的な視野」は、絶対に並び立たないものだとは思いません。
しかし、大切なのはクラブとしてどちらを第一目標とするのか。
クラブにとっての最優先はどちらなのかをしっかりとあらかじめ決めておくことで、チームの方向性も来季以降の目標も大きく変わってくるはずです。
実際問題として、今のジェフには「1年でJ1復帰」を目指しながら「育成のジェフ」を作り上げられるほどのキャパシティはないと思いますし。
今回クラブから発表された文脈から察すると、第一目標は「1年でJ1復帰」なのでしょう。
しかし、私としてはそんなことは言わずに、じっくりとチームを育ててほしい。
今までのJ2降格クラブを見ても「1年でJ1復帰」を掲げてきたチームはたくさんありますが、多くのクラブは失敗に終わっています。
例えば1年でJ1に復帰した広島などは1年間経験豊富なペトロヴィッチ監督の下で指導を受け、活きのいい若手選手達もたくさんチームに在籍していました。
1年で復帰できるだけのベースが、既に出来ていたのだと思います。
けれど、今のジェフは監督もまだまだ経験不足で、若手育成も見事に失敗しています。
現在のジェフはしっかりしたベースのあるチームではなくこれからやり直さなければいけないチームであり、目先の結果を求めていいような状況ではないと思います。
そのあたりをしっかりと自己分析しなければなりません。
確かにスポンサーやサポーターの目線は気になるのかもしれないけれど、「1年でJ1残留」を目標に掲げておいて失敗したら、クラブはそれ以上の損失を受けるかもしれません。
それでもクラブ幹部の方達は辞任という手を打てばジェフから離れられるかもしれませんけど、残された者達は苦しみ続けることになります。
そのことを忘れてほしくないですね。
(「1年でJ1復帰」は口だけで…って可能性も考えたけれど、それだと嘘をつくことになってしまうし、これからのオフの狙いが大きく変わってしまうから、結局様々な問題が出てしまいますしね。)
それに、今年の苦戦はサポーターにも責任が全くないとは言えないと思います。
昨年のオフシーズンから少しずつ問題は生じていたはずなのに、明るく景気のいい話しばかりに耳を傾ける…。
あるいは、練習試合になぜか笑い声が聞こえてきていたことなど…(これに関してはまた詳しく)。
このあたりはバンプさんもおっしゃっていますけれど、そういったサポーターの気の緩みや甘さというものは、チームに悪影響を与えてしまったと思っています。
だから、我々サポーターは今期をしっかりと反省し、今は辛くても我慢しなければならないと思います。
チーム再建のためには、サポーターも長期的な視点でクラブを見ていかなければいけないのではないでしょうか。
そのためには「早くJ1に戻りたい」という欲求を抑えて、フロントに「1年でのJ1復帰」を無理強いさせないという考え方も、必要になってくるのではないかと思います。
今一番やってはいけないのは中途半端なチーム運営であり、ジェフに最も必要なのは明確な方向性を築きあげることだと思います。
そういう意味でも、育成のジェフを目指すのか、とにかく「1年でJ1復帰」を目指すのか。
それによって監督の選択も違ってくるし、補強・放出の動向も変わるし、コーチングスタッフや投資の面など、リソースの振り分け方が大きく変わってきます。
ですから、まずはクラブの優先順位をはっきりとさせ、ジェフというクラブに一本太い筋を通してほしいところではないではないでしょうか。