だいぶ期間が空いてしまいましたが、本日から2018年の選手の振り返りを再開していきます。
ちばぎんカップまでにはこれを終えて、シーズン開幕に間に合わせるつもりでいます。
まずは、昨年は苦労も多かった乾に関して。
2017年の乾は第17節愛媛戦から左サイドで主力してプレーしていきますが、第40節の町田戦で負傷。
そこで左膝蓋腱断裂の大怪我で全治6ヶ月と診断されます。
長期のリハビリを経て、2018年の6月6日天皇杯青森戦でスタメン復帰を果たします。
その後、リーグ戦では3試合の途中出場を経験しますがスタメンはなく、7月4日に左サイドのレギュラーだった高木が柏に移籍。
7月7日の第22節大宮戦から、乾が左サイドで主力としてプレーしていきます。
しかし、左サイドの守備に不安が生じて下平をレンタル補強することとなり、第28節の町田戦から下平にポジションを明け渡すこととなってしまいます。
改めて高木はポテンシャルの高いSBだったと思いますし、柏のスカウトもさすがだったということになるのではないでしょうか。
攻撃面における飛び出しや仕掛け、クロスの質などだけでなく、守備でも高さや強さ、1対1での対応の上手さを見せていたと思います。
シーズン前半のジェフではMVP級の活躍を見せていたと思いますし、移籍した柏でもレギュラーを獲得していきました。
乾もスルスルと抜けるドリブルやダイナミックなクロスなど魅力はあると思うのですが、守備面には課題があって総合力ではどうしても劣る部分があったと思います。
高木もまだ26歳でこれから長期に活躍できる存在だと思っていただけに、高木がまだジェフに残っていた頃には乾をSHにコンバートすることも検討すべきなのかも…といったエントリーも書きました。
当時も話したように、SHにはSHの難しさもあり取得すべき技能もあると思いますが、SHでうまくいけば乾の強みもより打ち出しやすいのではないかと思っていました。
下平が加入してからの左サイドは、ある程度は守備面での改善が見られたと思います。
ただし、ここで重要となったのが、左SHの人選ではないかと思います。
ジェフが下平が加入して試合に出てからも町田戦では3-3で引き分け、水戸戦は0-1で敗戦、東京V戦も2-3で敗戦…と失点が続き、勝ち星も上げられませんでした。
そこで続く山口戦からは守備に課題のある左SH為田を外し、左SHに矢田、右SHに町田と守備面でも計算できる選手を2列目に置いて、無理にプレスをかけない守り方に変えていきました。
これによって山口戦、岡山戦と2連勝を上げられ、シーズン終盤の引いて守る形にも繋がった部分があるのかもしれません。
ただ、その途中にあった山形戦、大分戦では再びハイプレス・ハイラインにチャレンジして失敗しているところに、エスナイデル監督のチーム運営を信用しきれないところがあるのですが…。
話を戻すと、下平加入前は高木が抜けて乾が入ったことによって、左サイドの守備が崩壊してしまった…という論調もあったと思います。
その後、確かに左サイドの守備は改善した部分もありましたが、実際には2列目の人選や戦い方も含めて大幅な変更をしたことによって、修正されたのだと思います。
そのため乾だけに守備の問題があったわけではないと思いますし、左SH為田も後方で高木が攻守にサポートしていたことによって、成り立っていたところがあったのではないでしょうか。
ただ、乾にももちろん課題はあると思います。
細かなポジショニングによるスペースの埋め方も苦手で強引に潰しにいってかわされることも多いし、攻撃でもシンプルな繋ぎが出来ずビルドアップで貢献できていなかった。
仕掛けや高さなどのポテンシャルはあると思うのですが、その他の基礎的なタスクがこなせていないため、本人自身が自分の良さを活かし切れていない印象です。
2017年は25試合に出場し、飛躍の年になったとも言えると思います。
ただし、試合に出場して公式戦のスピードなどには慣れていった部分もあったと思うのですが、課題を克服して成長したというところまではいかなかったように思います。
粗削りな部分は改善できず、そこが今年の苦戦に繋がっていったように思います。
2018年序盤には市船出身のルーキー杉山も3試合出場し、スタメンも2試合経験しました。
しかし、4月1日の大分戦でスタメン出場してからはベンチにすら入っておらず、今オフは富山にレンタルとなってしまいました。
下平は残ることになりましたが、サリーナスも退団しましたし、今年の左サイドは層の薄い状況と言えるのではないでしょうか。
2016年後半には長谷部監督代行が指揮を執り、岡野、乾と若い選手が抜擢されて可能性を見せてくれました。
しかし、今オフは監督も継続となったこともあって、岡野は来年もレンタル延長となってしまいました。
溝渕も出場機会を伸ばせず松本へレンタルとなってしまいましたし、鳥海と大野以外は若手育成の面でも苦労した年だったのかなと思います。
それだけに乾にも、もう一歩成長してほしいところではないかと思います。
ドリブルやクロスや高さなど飛び道具的な武器はある選手だと思うので、守備やパス回しなど基本的な動きを改善していくことが大きな目標となるのではないでしょうか。
2017年に一度は試合に出ているだけに、他チームからの引き合いもあるかもしれませんので、今年は乾にとって大事な年になるかもしれません。
また、クラブとしても乾のような存在を、自チームで一本立ちさせることが出来るのかは、非常に重いテーマとなっていくのではないでしょうか。