昨日、ユン・ジョンファン監督がジェフ監督週に濃厚と、日刊、スポニチ、報知がこぞって報じました。
内容もほぼ同じでタイミングなども含めて考えれば、クラブからの内部リークがほぼ確実でしょうし、むしろリークできる状況が固まったところで江尻監督解任を発表した可能性すらあるのかもしれません。
ユン監督に関しては先月も取り上げたので細部は語りませんが、改めてエスナイデル監督の翌年にユン監督を招聘するというのは、あまりにも振れ幅が大きく如何にこのクラブにビジョンやポリシーがないのかを感じとれる出来事と言えるのではないでしょうか。
江尻監督を挟んでいるとはいえ「継続」を求めていたはずですし、シーズン中の交代だったため選手構成などは大きく変わっていません。
現状ではエスナイデル監督体制で攻撃特化な選手が多すぎるわけで、守備的なサッカーをするためには大幅な選手入れ替えがもう1度必要になってくるのではないでしょうか。
もちろんそれにはリスクも伴いますが、クラブの舵を大きく振るといことはそういった犠牲を伴う覚悟が必要だということ。
ユン監督も安定して成功しているとは言い難いわけで、やれることとやれないことがはっきりているタイプだと思いますから、それに対する準備をしっかりとしなければ成功は簡単ではないでしょう。
ここから再び改革を実行するというのであれば腹をくくって大きく変える必要があると思いますし、それだけの決意がクラブいあるのかが求められるところではないでしょうか。
さて、ユン監督に関してはここまでとして、昨日の続きを話していきたいと思います。
東京V戦では相手が中央へのパスワークを実施してくる状況で、中に絞った守備でジェフが対抗。
さらに相手の2CBと1ボランチに対して、2トップと縦関係のボランチでパスの出しどころを封じることで、前半途中は守備が安定していました。
しかし、前半終盤からは、東京Vが高い位置までボールを運べるようになってきました。
1つには単純にジェフの運動量が落ち前へプレスがいけなくなって、梶川や2CBが空き始めたということがあるでしょう。
元ジェフの若狭もこのように話しています。
若狭大志「千葉が最初は連動した守備できていたので、カジ(梶川 諒太)とも話していたが、それを90分やるのは難しいとも思っていた。焦れずにやって、(後半)空いてきたスペースを使うことはできたと思う。」
もう1つには東京Vが、動きに変化を加えてきたことも大きかったと思います。
図のように東京Vは途中から右SB奈良輪がビルドアップ時に、中央に寄っていき3バックのような状況になった。
こうすることで、ジェフの2トップからのプレスをかわし、奈良輪と平の左右CBから前へという狙いにシフトしていった印象です。
これが黒い影で示したエリアです。
さらに、左右インサイドが外に流れてジェフのSHとSBの間で受けたり、ウイングがSBの外に開いて受ける動きが増えていきました。
これが黄色い四角で表示したボックスの外で受ける動きで、これによってサイドを持ち込みジェフを押し込んでいった。
そうすることによって、ジェフは全体のラインが下がっていき、梶川などが空くようになっていった印象です。
そして、56分には以下のような決定的なシーンが。
左サイドからパスを回していき、森田から若狭へバックパス。
そこから右サイドに展開し、奈良輪が鋭い縦パスを供給。
佐藤優平が落としてレアンドロがキープすると、小池が飛び出しエベルトをスピードで振り切って、カバーの新井も交わしてシュートを放ちますが、ゴールの左を逸れています。
エベルトが走力で振り切られたこと、新井が交わされたこと。
その前のレアンドロに対して、工藤の対応が弱かったことなども問題ではあるでしょう。
しかし、その前に奈良輪を前に向かせてしまったことが大きな問題で、この場面に限らず何度も奈良輪から縦へボールを供給されています。
対面の為田が遅れたことが直接の原因と言えるでしょうが、昨日も話した通りそれまで為田はインサイドへのパスコースを消し、そこから前へ出ていく守備をしていた。
要するに4×4のボックスを形成していただけに、前に出づらかったということもあるのでしょう。
とはいえ、状況に応じて対応してほしいところではありましたが。
改めて振り返ると4-4-2でボックスを形成し、2トップとボランチの一角が前に出て相手の2CBと1ボランチに数的同数のプレスをかけることによって、前半途中はうまくいった。
しかし、相手が3CBと1ボランチになった途端、プレスがハマり切らなくなって、縦にパスを出される要因なってしまった。
それだけ相手対策は出来たものの、柔軟な対応はできていないということがいえると思います。
また、単純に運動量が落ちたことで全体のラインが下がり、為田から奈良輪への距離が開いてしまったとも言えるでしょう。
しかし、一方で下平は「前半はディフェンスラインが高すぎた」とも話しています。
対して江尻監督は「ディフェンスラインを上げてコンパクトに保ち」と話し、ラインの押し上げを高く評価している印象も受けます。
この辺りからしてもどこかチームとしての意思がはっきりしていない印象が残り、実際に米倉と下平は新井とエベルトの押し上げに対して、遅れることが多い印象です。
下平はラインが高すぎたことによってサイドチェンジされてたことを問題視していますが、単純にSBの2人はスピードや守備に不安があるため押し上げきれないところもあるのではないでしょうか。
最終的には個人での対応で賄っている印象ですが、組織としてどういった意志疎通を図るのか。
また、熊谷は相手のボランチを切れなくなってきたので、自分たちの判断で構えて守るようになったと話しています。
しかし、最後の最後で最終ラインが締めてくれたとも話しているように、決して良い体制での守備ではなかった印象です。
相手の攻撃に怖さがなかったから救われたものの、確固たる守備が形成できていたとは言い難いのではないでしょうか。
確かにうまく守れたいい時間帯があったのも事実でそこは収穫ではありますが、後半のようにあそこまで押し込まれる時間が長引けば試合展開としては苦しい状況だったと言えるのではないでしょうか。
そこからのカウンター攻撃という展開になりましたが、そもそもそういったチームを目指していたのかどうかも気になるところです。
東京Vにも課題を感じはしましたが、パスサッカーを貫いていた分、目指すべき方向性が見えていたのは相手の方だったともいえるのかもしれません。