福岡はアウェイだったこともあるのか、全体的に動きが鈍かったですね。
そこで足を止めてぽっかりスペース空けちゃうの?ということがちょこちょこあって、根深い何かを感じた部分があります。
思い返してみれば福岡は開幕戦からそういった場面が目立っていて、水戸の選手達なら走っていただろうなと思う瞬間も多く、長谷部監督も苦労しているんだろうなぁと感じました。
一方のジェフもその福岡に勝てなかったわけで、安定した強さを発揮することが出来なかった。
いろいろ要因はあるとは思うのですが、やはりあれだけ攻めてFKからしかゴールを上げられないというのは残念ですね。
とどめを刺しきれなかったことが、勝点3を得られなかった要因の1つではないでしょうか。
ただ、この試合は似たスタイル同士の相手だったこともあって、戦術などより選手同士の殴り合いとなる死闘だったようにも思います。
そうなると戦力差がはっきりと出て、ホームのジェフの方が優位に戦えた。
単純に相手がパスサッカーではなかった分、力技で押し込みやすかったとも言えると思います。
しかし、だからこそ、最後に失点してしまったことが非常に残念です。
こういった試合こそ、力で跳ね返し、勝利への執着心を見せるべき試合だったのではないかと思います。
これで今季3度目となる終了間際の失点ということで、もはや偶然とは言い難いですし、まだまだ強固な守備のメンタリティを会得できていないということになるのではないでしょうか。
■開始早々に失点するもFKから追いつく
ジェフは前節北九州と同じスタメン。控え組も不動で、18人全員が前節と変わらない顔ぶれとなりました。
連敗中ということもあって、ここは勝ちに行ったということなのでしょうか。
一方の福岡は、一部メンバーを変更。
GKセランテス、篠原、石津がお休みで、GK村上、ドウグラス・グローリ、菊池がスタメン、湯浅がベンチで輪湖が左SB。
2トップもフアンマ、遠野がベンチスタートで、東家、木戸がスタメンに名を連ねました。
6分、早くも福岡が先制。
右サイドからのCK、サロモンソンが蹴ると、こぼれ球に対して田邉が競り勝ちゴール前へ。
これに反応した増山が、チャンの前を取って足で合わせ0-1。
11分にも福岡の攻撃。
右から中央にパスを繋いでいき、木戸がバイタルエリアで持って、左前方の菊池にパス。
菊池が追い越した輪湖を使うと、鋭いクロスを上げ田邉が飛び込みますが、GK新井がセーブ。
16分、ジェフの攻撃。
安田のラフなボールをクレーベが落とすと、船山が倒されてゴール前でFK。
これを田口が直接狙いますが、枠の外。
21分にもジェフの攻撃。
堀米の大きな展開から安田が受けてクロスを上げますが、中央で合わず。
早々に失点したこともあって、前半途中からはジェフが攻め込みますが、クロスが多く上島とグローリも高さがあって決定機は作れません。
それでも、31分にはジェフのチャンス。
右サイドでゲリア、堀米とパスを繋ぐと、小島の前がぽっかりと空いてミドルシュート。
しかし、ポスト直撃でゴールならず。
41分、ジェフがセットプレーから同点。
中盤後方からのFKを田口が蹴ると、ゲリアがファーで競り勝ちます。
高い跳躍力を見せ、ヘディングで合わせて1-1となり、前半を折り返します。
■FKから勝ち越すも試合終盤にファンマのゴール
後半開始早々、ジェフがカウンターでチャンス。田口が中盤でボールを奪うと、堀米が中央を持ち上がり左前方にパス。
山下がシュートを放ちますが、GK村上の正面。
48分にもジェフの決定機。
新井が持ち上がると、ぽっかりと安田が空いてクロス。
ゴール前の船山も完全にフリーでヘディングシュートを放ちますが、シュートはゴールの右。
50分、福岡の攻撃。
中盤で田邉がボールを拾い、東家、木戸、菊池と繋いでいって、輪湖がマイナスのパス。
木戸がシュートを放ちますが、ゴールの右。
55分、福岡は東家、菊池を下げて、ファンマ、遠野を投入すると前線に入り、木戸が左SHへ。
その直後、ジェフが勝ち越し。
中盤後方で得たFK、船山が落として堀米がクロスを上げると、新井が飛び込んでゴール。
50分頃からは福岡が攻め込む時間帯が続き、59分にも福岡の攻撃。
中央での上島の鋭い縦パスから、増山が落とし、遠野、ファンマと素早くつないで、最後は木戸がシュート。
しかし、バーの上。
その直後にも福岡の攻撃。
右サイドのサロモンソンから鋭いクロス。
ニアで増山が触ってファーの遠野がシュートを放ちますが、枠を外します。
64分、ジェフはクレーベが負傷交代し堀米も下げて、熊谷と米倉を投入し、熊谷のアンカーによる4-1-4-1に。
68分にはジェフのチャンス。
船山のスルーパスに山下が抜け出し、米倉が走り込みますが、一歩間に合わず。
70分、ジェフは小島を下げて見木を投入。
72分、福岡は木戸を下げて北島を投入。
前半途中からは福岡ペースだったものの、選手交代もあってジェフが押し返します。
78分、増山、田邉を下げて、三國と鈴木を投入し、DF三國が前線に入りフアンマと2トップになり遠野がSHに。
福岡はパワープレーを展開し、92分には福岡のチャンス。
鈴木からの逆サイドの展開、サロモンソンが鋭いボールを供給し、ファンマが狙いますが、合わせきれず。
その直後、ジェフは船山と山下を下げ、ソロモン、鳥海を投入し3バックに。
ラストプレーかと思われた95分。
松本がクロスを上げると、フアンマがチャンに競り勝ってゴールを上げ、同点で試合終了となりました。
■流れの中での攻撃と最後の守備
長谷部監督はジェフの攻撃に対して、対策を取ってきたのではないかと思います。立ち上がり、ジェフは斜めのボールが多かった。
ただ、あれは相手に蹴らされている印象も受けました。
先日も少し話しましたが、ジェフは早いタイミングで前線に蹴り込むことが増えている。
特に多いのがサイド後方からの斜めの前方へのパスで、SBからの供給が増えている印象です。
そこに対して福岡は積極的にSHがプレスをかけることでSBからの展開を警戒し、アバウトなボールを蹴らせてボールを奪取しようとしていたのではないでしょうか。
福岡のCBは高さがあって蹴らせてもいいという判断だったのではないかとも思いますし、実際に単純なボールだけでは跳ね返されていた印象です。
ただ、前半の福岡はその分、中盤中央が薄くなりがちだった印象も受けます。
そこでジェフはクレーベへの足元へのポストプレーと、堀米のハーフスペースで受ける動きによって、前半途中から攻め込む展開が増えた。
また、この日の前半は左右への展開も利いていたと思います。
福岡は攻め込まれると、ラインが下がりやすい傾向も感じられ、それによってさらに中盤が空きがちだったと思います。
これはジェフにも見られる課題で、こうなってくるといくら後方が堅くても、攻め込みやすいなと感じました。
人の振り見て我が振り直せ …ではないですが、ジェフも改善しなければいけないポイントだと思います。
それでも後半の福岡は、堀米に対して松本などがしっかり付くなど、対策を取っていきました。
さらに攻撃時にはSHが絞って間を狙うことによって、攻撃のポイントを作っていった。
それによって、後半からは挽回していき、後半途中までは福岡の流れになっていきました。
ただ、それでも試合終盤に失速していったのは、単純な力関係も大きかったのではないでしょうか。
同じようなスタイルだからこそ戦力差が明確に出たと思うし、コンディションにも大きな差が感じられました。
そのため、トータルで言えばジェフが良い形で攻め込める時間が長かったのではないでしょうか。
それでも、ジェフはとどめを刺せなかった。
田口や堀米のような良いキッカーもいることもあって、ジェフは例え後方で得たFKでもチャンスを作ることが出来るという、大きな飛び道具を持っています。
しかし、結果的にその飛び道具に頼ってしまう試合も多く、流れの中での攻撃には課題があるように思います。
ジェフは前半に何度かクレーベにあてて、船山などが飛び出す展開を作っていました。
しかし、そういった攻撃に、3人目、4人目が絡むことが出来ない。
厚みのある攻撃が作れていないことが、大きな課題ではないでしょうか。
福岡は59分の上島の縦パスからテンポよく繋いでいき、木戸がシュートを放った場面など、攻撃に入れば複数人が絡むパターンを作れていた印象です。
その頻度は少なかったし、チャンスもあまり作れなかったですが、攻撃のキレは感じることが出来た。
ジェフもそういった攻撃を、作りたいところではないでしょうか。
それとともに、やはり最後の失点。
ジェフは群馬、徳島に続いて、後半ATに失点している。
その失点により過去2試合は敗戦、今回は引き分けで終わっており、3試合ともに最後の失点で勝点を失っていることになります。
結果論ではありますが、試合終盤に最終ラインをいじったことによって、集中力が途切れてしまったところもあるのでしょうか。
いずれにせよ、90分間安定した守備を作れなければ、堅守とは言い難い。
精神面、体力面、戦術面も含めて、総合的に改善していかなければいけないのではないかと思います。
流れの中での攻撃や試合終盤の守備も含めて、細かなところにこだわるチームが作れるかどうか。
強いチームを作っていくためには、甘えや油断は許されないはずです。
そこを締めることが出来るのかが、重要ですね。