松本戦でのゴールを改めて振り返ると、ブワニカがボールを奪取し、福満がマイナスのクロスを上げて、高橋がシュートを決めています。
ブワニカのボール奪取や福満のサポートも良かったですが、高橋のシュートセンスが光った場面でもありますね。
山口、山形と2年間の武者修行を経て、2020年にジェフに復帰した高橋は昨年3ゴール上げています。
1点目は金沢戦で見木が左サイドを突破して、マイナスのクロスを上げると、高橋がダイレクトで合わせてゴール。
2点目も岡山戦で右サイドを船山が突破して、マイナスのクロスを上げると、高橋がダイレクトで合わせてゴール。
3点目は昨年の最終節北九州戦で、船山のシュートがポストに当たったところを、高橋がダイレクトで合わせてゴール。
これもマイナスのクロスではないものの、似通ったパターンと言えるのではないでしょうか。
今回はダイレクトのシュートではないですが、マイナスのクロスを受けてシュートを放つという展開が、高橋の得意のパターンとなっていますね。
さらに振り返りと、プロ入り後初ゴールとなった2017年の群馬戦でも、右サイドを抜け出した北爪のマイナスのクロスを、高橋が合わせて決めています。
2ゴール目となった同年の徳島戦は、清武がうまいキープを見せてスルーパスを受けた高橋がミドルシュートを決めています。
レンタル移籍した山口、山形ではゴールがなかったので、徳島戦でのゴールが唯一、マイナスのボールを受けてシュートを放った展開以外でのゴールということになりますね。
改めて、高橋はミドルシュートのうまさを感じる選手だと思います。
ここまでダイレクトでのシュートが多かったですが、大きくふかすことが少ないのは、それだけ軸がぶれずに強いボールを打てるからなのでしょう。
さらに左右の足でシュートを放てるため、迷わずに振り切ることができる。
青森山田時代からシュートのうまさは言われていましたが、プロに入ってもその武器が変わらないというのはすごいことだと思います。
それだけミドルシュートに自信があるのでしょうし、自信があるからこそ思い切ってシュートを選択できる。
開幕前にも話しましたが、昨年もチームの攻撃面での課題があったため、高橋の得点力に期待した部分もあったのではないかと思いますし、今年も大事なパターンの1つになりつつあるようにも思います。
ただ、マイナスのクロスからの展開が多いのは、自ら打開できるタイプではないからとも言えるのかもしれません。
スピードがある選手ではないため尹監督体制でのSHには合わないでしょうし、裏に走り込んで決めるタイプでも、自分で強引に持ち込んでシュートを狙うタイプでもない。
だから、他の選手がえぐって、2列目、3列目の位置からミドルシュートと狙うという形があっているのでしょう。
シュートセンスだけを見れば、前方で起用したくなる選手でもありますが、前方で起用すると前を向くのが難しくなるかもしれない。
そう考えると、ボランチで起用して、クロスの2番目の選択肢として、マイナスのボールを待つくらいの方が、ミドルシュートのセンスを引き出しやすいのかもしれませんね。
そうなってくると、ボランチとしてのセンスをより極めていく必要があるのでしょう。
体は強い選手だとは思いますが、相手との間合いの詰め方などには課題を感じるため、守備で強さを発揮できている試合はまだ少ない。
また、ロングキックの精度も高い選手ですが、それを活かして良い展開を作れることはあまりないと思います。
今季のボランチは主軸と目されていた田口が離脱している上、熊谷もピリッとせず、小島も球際などには課題がある。
ここに小林が入ってどうか…という状況ですが、今のところボランチはうまくいっていな印象です。
その中で高橋は今回1つの結果を残したわけで、ここからさらなる活躍に期待したい状況ではないでしょうか。
ただ、ボランチが本来ベースとすべきなのは、ゲームメイク力や守備力など、試合を作る仕事ではないかと思います。
そういった点では高橋も課題が多いと思いますし、細かな仕事を継続してハイレベルでやれることが大事なのではないでしょうか。
それを踏まえた上で、プラスアルファとして得点力もあるというのが理想ではないかと思います。
近年のジェフは米倉、熊谷、高橋など、一発の能力がある選手が多い。
鋭いクロスやフィジカル、シュートセンスなどには高いポテンシャルを感じますが、一芸に秀でているものの他に課題がある選手は、チームの体制によって大きく評価と立場が変わってしまうこともあります。
一芸がありつつも総合的に能力の高い選手というのが理想だと思いますし、他の仕事もそつなくこなせるようになれるかどうか。
高橋もまだ若い選手ですから今後どうなるかはわかりませんが、安定してチームの軸となるためには、総合的に能力の高い選手となってほしいところではないかと思います。
まずは今年、ボランチとしてどこまで結果を残せるか。
いつ復帰できるのかはわからないものの田口もいるはずだし、小林も前節途中から試合に出場していますから、ボランチ争いの勝負はここからかもしれませんね。